エクラ世代におすすめしたい書籍を厳選! 人間の体の多様性を研究してきた美学者がインタビューから導き出す“生きるヒント”『体の居場所をつくる』、職場の「これってどうなの!?」をあぶり出すユーモラスな短編集『ノーメイク鑑定士』など4冊を厳選。
『体の居場所をつくる』
ままならない体とどう付き合う?
伊藤亜紗
朝日出版社 ¥2,090
病気や怪我、老化や心理的要因によって、自分の体が思いどおりに動かなくなることは誰にでもありうる。そうなったとき、体といかにして折り合いをつけるか。少しでも快適に過ごすため、どんな工夫が可能なのか。人間の体の多様性を研究してきた美学者が、摂食障害、原因不明の難病、コロナ後遺症など、さまざまな体の問題を抱えた11人にインタビュー。長い年月をかけて試行錯誤を重ね、自分にとって心地よい居場所をつくっていく姿は、生きるヒントに満ち満ちている。
『海をわたる言葉 翻訳家ふたりの往復書簡』
悩み、泣き、笑い、国を超えて人生はつながる
クォン・ナミ 村井理子
集英社 ¥1,870
韓国と日本、国は違えどともに50代、すぐれたエッセーの書き手でもある翻訳家同士がSNSをきっかけに絆を深めていく。家族との葛藤、仕事に追われながらの子育て、老親の介護……。1年間に交わしたメールと対談からなる本書に共感し、力づけられる読者は多いはず。
『ノーメイク鑑定士』
職場の「これってどうなの!?」をあぶり出す短編集
石田夏穂
中央公論新社 ¥1,980
「女子社員の誰がスッピンか見極め、化粧するよううながしたまえ」。取引先のクレームにビビる上司に命じられたのは、27年間ノーメイクなのに特濃ソース顔ゆえ疑われない主人公。誰もが漠然と感じているモヤモヤを独自の切り口でユーモラスに描く4編の味わいは、唯一無二だ。
『君の不在の夜を歩く』
「生きて、ここにいるだけで十分」なはずなのに
窪 美澄
新潮社 ¥1,980
高校の同級生だった5人の男女。グループの要、菜乃子が38歳で自死したことで、関係も人生も変わっていく。憧れと裏腹の嫉妬、愛する人に愛されない痛み、心を蝕む承認欲求……それぞれが、ひそかに抱えていたものをヒリつくような切実さで描く、直木賞作家の筆力にうなる。
photography:Ayumu Hayakawa text:Sayaka Hosogai ※エクラ2026年7・8月合併号掲載