【50代の更年期白書】産婦人科医が回答! 更年期症状遺伝はする? おすすめの漢方は?

更年期症状は遺伝する? おすすめの漢方は? みんなのリアルなお悩みから素朴な疑問まで、女性の健康に詳しい産婦人科医の吉野一枝先生がズバリ回答。
産婦人科医 吉野一枝先生

産婦人科医 吉野一枝先生

よしの女性診療所(東京・中野)院長。臨床心理士の資格ももち、ライフスタイルを含めた女性の健康悩みに詳しい。日々の診療に当たる一方、学校などでの講演やメディアを通じて、性教育や女性の健康についての啓蒙も積極的に行う。著書に『40歳からの女性のからだと気持ちの不安をなくす本』(永岡書店)などがある。

婦人科医を伴走につけて変化の激しい時期をのりきろう

「更年期はすべての女性に訪れますが、更年期症状の種類や程度は人それぞれ。スーッと過ぎてしまう人もいれば、社会生活を送るのが困難になる人も。でも何事もなくて婦人科を受診する機会がないことがいいのかというと、それはNO。更年期以降はがんや骨粗しょう症のリスクも上がるので、40代になったらぜひ婦人科を受診して、今後の健康について相談してほしい。そして一年に一回は婦人科検診を受け続けてほしいです。かつては“女性は男性の縮小版”という認識で、女性特有の年齢による変化や健康問題にはスポットが当たっていませんでした。ここ15~16年でだいぶ更年期のことがいわれるようになり、日本産科婦人科学会や厚労省のHPにも正しい情報は載っているのですが、まだまだお友だち情報やネットの口コミなどを鵜のみにしてしまう人も多いと感じます。更年期をのりきり、その後の人生を健やかなものにするには、正しい情報がなによりも大切。そのためにもぜひかかりつけの婦人科医をもってください。いい婦人科にめぐり会うにはとにかく行ってみること。相性もあるので他人がいいといっても自分とは合わない場合もありますが、受診が病気の発見につながることもあります。更年期を過ぎ60~70代になったら、それまでよりもっと元気でいきいきとした女性をたくさん見てきました。ぜひ自分に合う婦人科医を伴走につけ、更年期の変化をきっかけに一生の健康を考えてみてくださいね」

Q.私の更年期症状はホットフラッシュです。なかなか終わらないのですが、ずっと残ることもあるのでしょうか?(60歳・会社員)

A.更年期を過ぎているなら、自律神経のバランスの乱れかも
「閉経から5年以内であれば更年期の最中なので、症状が続くことは考えられます。でもそれを過ぎているなら、ストレスなどによる自律神経の乱れの可能性が高い。ときどき、20代など若い世代や更年期を過ぎた70代でそうした症状を訴える人がいますが、更年期に該当しない年代のホットフラッシュやのぼせ、異常な発汗などは、女性ホルモンの変動による影響ではありません。自律神経の治療が必要になるので、内科的な診察を受けるのがいいでしょう」

イラスト

Q.実母も更年期症状が重かったのですが、遺伝は関係しますか?(56歳・パート)

A.遺伝は関係ありません。生活環境が大きいです
「卵巣機能は遺伝性があり、閉経が母親と同じ時期ということはあります。ただ更年期症状は遺伝とは関係なく、その時期にどういう生活をしていたかによります。更年期の不調はストレスが重なるほど重くなる傾向があるので、お母さまがつらそうにしていたなら、その時期に多くのストレスを抱えていたのでは。エクラ世代よりも上の女性は、女性の生き方や健康に関して今よりも世の中の理解がなくハードな時代だったので、そうした人も多かったと考えられます」

Q.病気で子宮をとりましたが、更年期症状はあるのでしょうか?(46歳・主婦)

A.更年期症状にかかわるのは、子宮ではなく卵巣です
「子宮のあり、なしは更年期症状に影響はしません。子宮はあくまで子供を産むための器官であり、20~30代ではニワトリの卵くらいの大きさですが、年齢とともにだんだんと小さくなっていき、80代ではうずらの卵程度のサイズまで縮みます。それはもう必要ない器官だからともいえます。一方で、卵巣は女性ホルモンを作る器官なので、病気などで卵巣をとると突然更年期症状が出てくる場合も。その場合もHRTが有効です。子宮がない人ももちろんHRTは可能で、子宮のある人と薬の処方が異なります」

Q.漢方では効くまでに時間がかかりそうで、HRTはよくわからない。どの治療法がいいでしょう?(52歳・主婦)

A.漢方は冷えや肩こりに効果的。HRTは更年期症状全般に◎
「漢方、HRTそれぞれに得意分野やメリット、デメリットが。更年期症状に効く漢方は『当帰芍薬散』『加味逍遙散』『桂枝茯苓丸』などがポピュラーで、冷え症や肩こりなど慢性的な不調の改善にはいいといわれます。ただ『この症状にはこの漢方』という感じで、不調が多いと何種類も必要になり、効果を感じるまで1カ月はかかるのが普通。体に優しいイメージをもつかたも多いですが副作用もあります。HRTはそれだけでほぼすべての更年期症状に効きますが、乳がんの人には使えないなど条件も。漢方とHRTは併用もできるので、相談してみても」

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