次に読むならこれ!50代が思わず読み入ってしまう「恋愛小説」3選

まもなく夏本番!外出するのも憚られるくらい暑い日は、おうちでゆっくり読書はいかが。今回は、50代に読んでほしいおすすめの本をご紹介。毎月お届けしている連載「今月のおすすめ本」でこれまで紹介してきた本の中から、恋愛小説をピックアップ。

『新しい恋愛』

『新しい恋愛』

毒をはらんだ短編集にザワザワ、モヤモヤ、そして共感

高瀬隼子
講談社 ¥1,760

5編とも恋愛をめぐる話なのに、トキメキは皆無。好きな人への思いが他人の評価で少しずつ削られてしまったり、26歳年下の女性と結婚した上司の好感度が激落ちしたり……。自分でも認めたくないいびつな感情や、漠然と感じていた違和感を、芥川賞作家が見事にすくいとる。

『恋とか愛とかやさしさなら』

『恋とか愛とかやさしさなら』

愛する人が盗撮で逮捕。あなたならどうする?

一穂ミチ

小学館 ¥1,760

昨夜プロポーズしてくれた啓久(ひらく)が、電車で女子高生のスカートの中を盗撮。愛しているからこそ新夏(にいか)の心は揺れ動く。二度としないという言葉を信じたいが信じきれない。別れることも忘れることもできない。かつて痴漢にあった記憶が蘇り、婚約者に嫌悪感を抱いた次の瞬間、そんな自分のまなざしが彼を傷つけていると罪悪感に苛まれる……。啓久の視点で描く短編も収録。自分自身すら気づかないブラックボックスが誰の中にも存在するのだと痛感させられる、直木賞受賞後第一作。

『ファースト クラッシュ』

『ファースト クラッシュ』

読者の心をも砕く、甘美で痛い初恋の記憶

山田詠美 
文藝春秋 ¥1,500
アラフィーとなった三姉妹がそれぞれに、遠き日の初恋を振り返る。彼女たちをクラッシュさせたのは、父の愛人の連れ子で、子供時代をともに過ごした少年。中原中也や寺山修司の詩を巧みに取り入れた構成と、複雑な女心の描写があまりに見事で、いくたびも胸を突かれる。

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