潔くてしなやか。今、エレガンスが香る一本があれば。「パンツ」で始める、秋の華リュクススタイル

さまざまな人々が行き交う都心の駅でのこと。周囲を見渡すと女性は圧倒的にパンツ派が主流。全国的には？とウェブの市場調査に目を通すと、やはり７割がパンツ派らしい。私自身、移動が多い仕事柄もあるが、いつからかパンツがデフォルトに。スカートを手にとるのは改まった席に出かけるときか気分を切り替えたいとき、つまり月に２、３度程度だ。

　パンツ派が増加したのは10年ほど前から。’15年SDGs誕生により、ダイバーシティに目が向けられたことも作用している。女性のエンパワーメントが推し進められ、ようやく本当の意味で「女らしさ」という窮屈な概念から解放された。ジェンダーを超え、「自分らしさ」をのびのびと表現している女性がかっこいい。ひとりの人間としての心地よさを最優先していい時代になったのだ。そういった時代背景もパンツ派が増えた理由だろう。

　もちろん’70年代のサンローランのスモーキングスーツやヒッピーカルチャーのジーンズなど、戦後のエポックメーキングなパンツスタイルは先人の女性たちが解放を求めてきた証し。私たちの日常に寄り添うパンツはそんなふうに社会とも密接にかかわっている。

　この秋のパンツの傾向はといえば、引き続きしなやかなワイド系が主流。印象的な素材やシルエットならパンツを主役に、スタンダードなパンツはスタイリングで表情をつける。また緊張感をもたらすベルトでのウエストマークや、逆にリラックス感を添える少し長めの丈感なども覚えておきたいディテール。

　おしゃれに目覚めたころはラルフ ローレン、大人になってからはミニマルなフィービー・ファイロ時代のセリーヌ、そしてジル サンダー、ザ・ロウへ。エクラ世代はスタイルの核にパンツがある。パンツは年齢的に不可欠な、重く古く見えない抜け感も表現してくれる。まず親しみのあるパンツから、似合うデザインを見極めて。マニッシュさに対比する、エレガントな要素をバランスよく配して“華リュクス”に。パンツがかなえる余裕ある大人の女性像は、未来への希望でもある。

旬のマローネカラーのハイウエストタックパンツは、同素材ベルトのウエストマークでスタイルアップ。ペーパー加工ギャバジンの張り感でフォルム美を実現。ボウタイシャツで華リュクスに。

パンツ（共布ベルトつき）￥64,900・シャツ￥42,900／エム（ウジョー）　ピアス￥76,700・リング￥147,400／トムウッド 青山店（トムウッド）　バッグ￥364,100／モワナ 伊勢丹新宿店（モワナ）　靴￥35,200／アマン（ペリーコ サニー）

セミワイドなトラウザーズタイプのパンツは、美シルエットに定評のあるジル サンダーの一本。やや厚手のギャバジン素材が、スタイル全体にほどよい緊張感をもたらす。 パンツの黒のクールさを、ブルゾン風ジャケットのベルベットとエクリュのまろやかさが華リュクスな印象に導く。首もとにあしらった小花＆ストライプ柄のツイリースカーフもひとさじの甘さを。

パンツ￥214,500・ジャケット￥242,000・ピアス￥75,900・ツイリー￥42,900・ブレスレット￥104,500・バッグ￥280,500・靴￥159,500／ジルサンダージャパン（ジル サンダー）