更年期の治療、サプリやプラセンタ注射はいつまで続けるべき?HRT(ホルモン補充療法)の効果と副作用もチェック!

更年期症状の治療については、病院に行くかどうかという迷いから、治療法に関する疑問まで読者からさまざまな声が。治療をうまく取り入れる方法を産婦人科医 高尾美穂先生にうかがった。
産婦人科医・高尾美穂先生

産婦人科医・高尾美穂先生

たかお みほ●イーク表参道副院長。産婦人科専門医・医学博士。婦人科の診療を通して女性の健康をサポート。メディアでのわかりやすいアドバイスが人気。近著は『「自分が主役」で生きたらいいじゃん 頑張ってきたあなたに贈る80の言葉』(扶桑社)。

エクオールのサプリはいつまで飲み続ければいいですか?

ここ数年、ずっとエクオールのサプリを服用しているのですが、やめ時がわかりません。コストもかかるので、いつかはやめたいのですが……。(54歳・主婦)

Answer

エクオールは、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをする成分ですが、薬ではないので、いつまで飲み続けるといいとか、いつまででやめたほうがいいという基準はありません。ただ、エクオールは骨密度の減少抑制や、シワの予防などさまざまな効果の報告があるので、経済的に問題がなければ、自分への投資と考えてずっと続けてもいいと思います。

プラセンタ注射は続けたほうがいいでしょうか?

どのくらいの症状なら続けていいのか、やめ時はいつか教えてほしい。(52歳・会社員)

Answer

プラセンタ注射は、45~59歳の女性であれば、更年期障害の治療に保険適用されています。ただ、プラセンタ製剤に関しては、’60年代以降、有効とする論文が出ておらず、エストロゲン様作用は期待できません。特段、体調の改善を自覚していないのであれば、一度やめてみて、体調がどれくらい変わるかチェックし、あまり変わらないようならそのままやめていいと思います。

更年期のメンタル不安

婦人科に行くタイミングがつかめません。

婦人科に行こうと思うと、ホットフラッシュが治まるので、結局何もしていません。1カ月くらい断続的に症状が出たあと、しばらく何事もなく、数カ月するとまた始まっての繰り返し。症状がないときでも婦人科に行ったほうがいいのか迷っています。(49歳・会社員)

Answer

婦人科に行こうと思うとホットフラッシュが治まるなら、いつも婦人科に行こうと思うようにするといいかもしれませんよ(笑)。ただ、ホットフラッシュはHRT(ホルモン補充療法)の改善効果が高いので、断続的とはいえ、症状が気になっているなら婦人科を受診してHRTを受けてみるといいと思います。もしくは、ホットフラッシュなどの更年期症状が特に強く出るのは、長くて3年くらいなのでもうしばらくすると、つらい時期を抜けるかもしれません。また、体温調節機能を整えることでホットフラッシュを改善するホルモン作用のない薬が、この1年前後で日本でも認可されそうなので、それを待って試してみるのもよいと思います。

HRTの効果と副作用とは

HRTは、どれくらい効果があるのかが気になるけれど、実際のところは?「HRTの効果の表れ方には個人差がありますが、ホットフラッシュやのぼせ、ほてり、多汗などに特によく効き、早くて数日、遅くとも2カ月もすれば症状は治まることが多いようです。睡眠時の汗が治ることで不眠が改善し、それによってうつも治ったりと、複数の不調が改善することも多いです。イライラや落ち込みなどメンタルの不調の改善にも効きます」

一方で、副作用を心配する人も……。「HRTの副作用は、血栓症や乳がんのリスクが高まることですが、5年以内の使用なら乳がんのリスクはほとんどなく、それ以上の使用に関しても、乳がんのリスクは飲酒による発がんのリスクと同程度、もしくはそれ以下です。ただ、もともとリスクが高い人は受けられないので、事前の検査をきちんと受けることが大事」

HRTを受けたことがありますか?

HRTを受けたことが ありますか?「はい」16%
HRTを受けたことがある人は、全体の16%と少数。この治療法自体を知らなかったり、ホルモン治療に抵抗があるなど理由はさまざま。

HRTの効果を実感できましたか?

HRTの効果を 実感できましたか?「はい」46%
HRTの効果を実感できた人は46%と半数近く。効果を感じられなかった人は生活習慣に問題がある可能性も⁉

エクラ メルマガアンケートの回答より

HRTは何歳まで受けたらいいのでしょうか?

53歳からHRTを行っていますが、いつまで続けるのがいいのでしょうか。また、更年期に入って、とても疲れやすくなり、体がだるい感じがします。HRT以外にもできることはあるのでしょうか。疲れやすさを職場でなかなか理解してもらえないのがつらいです。(55歳・会社員)

Answer

HRTは、1年前後でやめる人が最も多いですが、次に多いのが10年以上続けている人というデータがあります。HRTには、更年期症状の改善だけでなく、骨粗鬆症や動脈硬化の予防など、エストロゲンの減少によってなりやすくなる病気を防ぐ効果もあるので、ずっと続ける人も多いのです。ですからそのメリットを考えて、そのまま続けてもよいと思います。HRTを長く続けると乳がんのリスクが少し上がりますが、毎年乳がん検査を受けるよいきっかけにできるかもしれません。また、HRTをしていても疲れやすいなら、睡眠不足の可能性もあるので十分な睡眠時間の確保を心がけましょう。運動を習慣づけるなど、生活習慣全般を見直すのがおすすめです。
合わせて読みたい
Follow Us

What's New

Feature
Ranking
Follow Us