目からウロコの治療法が!更年期が原因の手の不調を根本から治す方法とは?【50代の不調に克つ!手指の関節が痛い編 #4】

多くのアラフィー女性を襲う「手が使いづらい」という不調。これまでどこに相談していいのかわからなかった手の症状も、「手外科」に相談すると目からウロコの治療法が!手外科医 牛尾茂子先生から、アラフィー美容ジャーナリストの小田ユイコが手の不調を根本から治す方法を教わります。

お話を伺ったのは…

牛尾茂子先生

牛尾茂子先生

手外科医。形成外科医。日本手外科学会専門医。四谷メディカルキューブ 手の外科・マイクロサージャリーセンター勤務。更年期世代の女性に現れる多くの手の症状と向き合い、治療に取り組む。

取材したのは…

小田ユイコ

小田ユイコ

美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、独立。『eclat』『MAQUIA』『LEE』などの女性誌や、WEB媒体で美容記事を執筆。「美しさは健康から」をモットーに、女性のカラダに関する取材を長年にわたり行う。1965年生まれ。

エクオールのサプリで50代女性の手の不調の根本原因をケア

前回、手指に負担をかけず快適に使うための方法を教えていただきました。牛尾先生が勤務する手の外科ではどんな治療を行っているのですか? 「40代以降の女性で『母指CM関節症』『ヘバーデン結節』『ブシャール結節』『ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)』『ばね指(弾発指)』の症状が出ていらっしゃるかたには、サプリメントでエクオールを摂取することをおすすめしています」(牛尾先生)。

エクオールとは、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンをサポートする成分ですね。「はい。40歳くらいから徐々に減少し、更年期になると分泌がかなり減ってしまうエストロゲン。第1回目にもお話しましたように、大人の女性を襲う多くの手の症状が、エストロゲンの分泌が少なくなることで起こります。ですので、エストロゲンをサポートすることで、手の症状が改善することが多いのです」。
どうしてエクオールを飲むと女性ホルモンをサポートできるのですか?「大豆イソフラボンを発酵させることでできるエクオールは、女性ホルモンのエストロゲンと化学式が似ており、エストロゲン様の働きをします」(牛尾先生)。

「エクオールはエストロゲンの鍵穴にはまってはじめて、エストロゲン様の働きをします。私たちの体には、その鍵穴である受容体が2種類ありますが、エクオールがはまるのはエストロゲン受容体βです」。

「関節には滑膜(かつまく)という関節の動きをなめらかにする膜があり、女性ホルモンのエストロゲンを受け止める鍵穴があること、エストロゲンによってその働きがよくなることを第1回目にお話しました。その滑膜の鍵穴はエストロゲン受容体βで、エクオールを受け止めることができるのです」。

なるほど~! それで滑膜の潤滑油のような働きが復活し、手指の関節がなめらかに動くようになるのですね!
大豆製品を食べることやサプリメントで摂取できる「エクオール」が、更年期世代の手指の不調を改善するカギ。
大豆製品を食べることやサプリメントで摂取できる「エクオール」が、更年期世代の手指の不調を改善するカギ。
では、イソフラボンを含む豆腐や納豆、豆乳などの大豆製品を普段の食事で積極的に摂ることもよいのでしょうか? 「大豆製品を食べると、大豆に含まれるイソフラボンが腸内細菌の働きでエクオールに変わります。ただし、このエクオール産生菌を腸内に持っている人は、日本人の場合、二人にひとり。50%の日本人女性は自分でエクオールをつくれない、つまり大豆製品からエストロゲン様の恩恵を得られないのです」(牛尾先生)。

「腸内にエクオール産生菌を持っているかどうかは、エクオール検査キット『ソイチェック』でわかります。自宅で尿を取って郵送するだけで手軽に調べることができます」。

私、『ソイチェック』で調べたことがあるのですが、エクオールを自分で作れない人でした。「エクオールを体内で作れないと、さまざまな更年期症状が出やすくなる傾向にあります。手指の症状もそのひとつ。エクオールのサプリメントは、この10年でエビデンスも取れ、飲み続けても弊害のないサプリメントであることがわかってきました。今更年期を迎えた人は、エクオールという助け舟があって、本当に幸運です。飲まない理由はありません」。

「エクオールを作れる人であっても、必ずしも大豆製品が得意な人ばかりではありませんし、その日の体調や腸内環境が乱れているとしっかりエクオールに変えられないことも。エクオールのサプリメントはおすすめです」。

 

豆腐、豆乳、納豆などを食べても、日本人のふたりにひとりは体内でエクオールを作り出せない。
豆腐、豆乳、納豆などを食べても、日本人のふたりにひとりは体内でエクオールを作り出せない。
「エクオールのサプリメントは、40代になったら早めに飲むことをおすすめします。実は私も46歳で、すでに飲み始めているんですよ。手指の症状をケアするだけでなく美肌効果や整腸作用もありますし、骨粗しょう症の予防にも。抜け毛や細り毛、太りやすさ、気持ちの不安定など、更年期に起こりやすい不調を予防、軽減できます」(牛尾先生)。

「初期のうちや軽い手指の不調はエクオールでケアできるのですが、放置して症状が慢性化、悪化してしまうと、軽減しにくくなります。特に関節が曲がるなど変形してしまうと、もうエクオールでは対処できません。早めに始める、そして継続することが肝心です」。

エクオールのサプリメントはどのように選べばよいですか?「日本のメーカーから発売されているエクオール製品はいくつかあり、どれでなければならないということはありません。ただ、サプリメントの製法により少しずつ違いがあるようで、より手指が楽になるものには個人差があるようです。しばらくひとつのメーカーのものを続けて、あまり手指の症状がよくならないようなら、ほかのメーカーのものを試してみるのもおすすめです」。
  • 正常な第一関節

    正常な第一関節。

  • 人さし指の第一関節にずれが生じることで曲がる

    人さし指の第一関節にずれが生じることで曲がる。

  • 『へバーデン結節』の炎症が進み、第一関節が曲がったケース

    『へバーデン結節』の炎症が進み、第一関節が曲がったケース。

手指の症状が改善しない場合は手外科の専門病院へ

手指の痛みや腫れの症状が重かったり、関節が曲がってしまった場合はどうすればいいのでしょう。「私たち手外科で主に行っているのは、消炎鎮痛の飲み薬や注射で様子をみる治療と、手術による治療です。手術では手指を小さく切開し、腱や腱鞘の患部にアプローチしたり、変形した関節を整えます」(牛尾先生)。

手外科という手の専門の科があることを、今回の取材で初めて知りました。「全国に手外科があります。日本手外科学会のホームページを見ていただくと、お近くの手外科専門医や手外科専門施設がわかりますので、お悩みのかたはぜひご参照ください」。

ペットボトルの蓋が開けづらい、といった不調でも相談していいのですね?「もちろんです! 年齢を重ねるにつれ増えてくる手指の悩み。手指のかかりつけ医を持っておくことをおすすめします」。

ペットボトルの蓋が開けづらい、という悩みがきかっけで、今回わかった手指の疾患。人生100年時代、仕事や趣味を充実させるためにも、日常動作を快適にするためにも、ネイルやリングなど手のおしゃれを楽しむためにも、改めて手指を大事にしたいと思った小田。最近サボり気味だったエクオールのサプリメントを、また飲み始めようと思いました。

来月以降も、毎月ひとつのテーマについて4回にわたって記事にします。アラフィーの女性が気になる体のことを深掘りしますので、どうぞお楽しみに。配信は月曜日です!

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