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閉経を迎えるアラフィー世代へ【閉経したら何が変わるの?総まとめ】
閉経を迎えるアラフィー世代。もうそろそろかも……という人は、“閉経したら、何が変わるの?”と不安でいっぱいなのでは。そこで、閉経経験者のリアルな声とともに、閉経の基礎知識から、前後に起こる不調の対策などまで詳しく解説!
【更年期を迎えるアラフィー世代】心身に起こるさまざまな不調、どう乗り越えているの?
【目次】
アラフィー女性、442人に聞きました!
著名人の更年期対策
産婦人科医がアドバイス
①更年期の実態
(編集部が行ったエクラメルマガアンケートの結果より、45歳以上の女性の回答を集計)
Q.現在、更年期が原因と 思われる症状は?
Q.更年期が原因と思われる、 不調や症状ベスト10(複数回答)
ほかにこんな症状も!
肌のトラブル(乾燥、かゆみ、湿疹など)・82人/おなかの張り、便秘、下痢・81人/むくみがある・79人/ささいなことが気になる・76人/めまいがする・73人/もの忘れが多い・73人/うつや不安感がある・72人/腰や手足が冷える・67人/動悸がする・63人/音に敏感、耳鳴りがする・63人/背中や腰が痛い・60人/手足がこわばる・52人/高血圧・47人/ニオイが気になる・40人/セックスをすると痛い・30人/ドライマウス・30人/のどの違和感・30人
Q.更年期の症状の度合いはどの程度ですか?
Q.更年期対策のルーティンはありますか?
Q.更年期対策のルーティンで、不調が改善したり、より過ごしやすくなったという実感はありますか?
ほかにもこんな声が!
◆感情の起伏があるせいで仕事をやめ、自分の立ち位置や必要性がわからなくなってしまったのを機に、ひとりでも楽しめる趣味を探したところ、近くに市民プールがあったので水泳を始めました。30年ぶりに水着を買って、今は週2回を目安に通っています。泳ぐと体がすっきりして、夜もぐっすり眠れるようになりました。うつっぽさも感情の起伏も、泳いでいると何も考えることがないのでラクになりました。(主婦・58歳)
◆テレビ体操で、肩コリが少しよくなった。(会社員・58歳)
◆毎日の食事に、ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品を取り入れている。便秘ぎみだったが、お通じが安定してきた。(会社員・55歳)
◆気持ちが落ち込みそうなとき、韓流ドラマやアニメのイケメンを見る。何もする気力がなく体がだるかったのが、気持ちをアゲることによってだいぶラクになった。(会社員・52歳)
◆ホットフラッシュによる汗がとても気になり、それがストレスに。最近では汗対策として、汗が響かない服を選ぶ、汗をかいてもサラッとするインナーを着る、外出先でもこまめに汗ふきシートを使用する、携帯用扇風機や扇子を使う、タオルハンカチやマスクにハッカ油を1滴たらして使うなど、できるだけ薬に頼らず、少しの工夫でのりきっています。(会社員・52歳)
◆寝ているときも汗をかきやすいので、衣類用のクールスプレーをシーツにスプレーし、冷却ジェル枕を使って就寝すると、とても快適に眠れます。それでも汗をかきますが、起きたらすぐにサッとシャワーを浴びるとスッキリとして気分転換にもなります。(主婦・50歳)
◆コロナ禍で人と会うことはむずかしいですが、会えるようになったときの楽しみを考えたり、ヘアカラーを変えてみたりして、ストレス解消しています。症状が改善されているかはわかりませんが、症状が出たときの対処法を用意しておくことで、症状が出てもストレスに感じることが少なくなったように思います。(自営業・49歳)
②どんな更年期対策をしているの?
【漢方薬】
あまりにホットフラッシュがつらく、婦人科で処方してもらった漢方薬(女神散)を一日3回服用。飲み始めの2週間では効果は感じられなかったが、1カ月ほどで忘れるくらいに改善。(会社員・51歳)
Advice!
「漢方薬は更年期症状に効果的。体質や症状に合うものを選ぶことが大事なので病院や薬局で処方してもらうのが理想的。市販のものでもいいですが、改善しない場合は病院や薬局へ。」(八田真理子先生)
【豆乳】
大豆のイソフラボンを分解できる体質かを検査し、分解できることが確認できたので、毎朝、無調製豆乳を飲むことを習慣にしています。きなこと黒砂糖も入れます。生理はこなくなって1年くらいですが、これといった更年期症状は出ていません。(会社員・51歳)
Advice!
「大豆イソフラボンを腸でエクオールに変えられる能力があるなら、豆乳をとるのはよいと思います。ただし過剰にとると乳がんなどのリスクを高める可能性もあるので適度に。」(八田真理子先生)
【エクオール】
53~54歳のころに手指のこわばりがひどく、バネ指にもなっていたのでエクオールを飲み続けたら、今はその症状が落ち着いた。(主婦・56歳)
エクオールのサプリメントで、手指のしびれや痛みが改善された。一日に起こるホットフラッシュが減った。夜中にほとんど起きずに、わりとぐっすり眠れるようになった。イライラの回数が圧倒的に減った。(主婦・50歳)
Advice!
「エクオールはへバーデン結節などの関節痛をはじめ、更年期症状の改善によいというデータがあります。ただ、大豆イソフラボンのサプリなどと組み合わせると過剰摂取になるので注意。」(八田真理子先生)
【サプリメント】
ビタミンB、ビタミンE、鉄分、DHA、プラセンタやコラーゲンを補うためのサプリメントやドリンクなどをとっています。鉄やビタミンは代謝が上がる気がしています。極端なダイエットはしていませんが、そこまで太ることがなくなりました。(主婦・56歳)
Advice!
「サプリメントをとるのは悪くはありませんが、複数とっていると成分が重複して過剰摂取になる場合も。サプリは食事で補いきれないものをとるものなので、まずは食事から栄養をとって。」(八田真理子先生)
【命の母A】
漢方は、当帰芍薬散、加味逍遙散を経て、「命の母A」にたどりついたが、これが意外にも一番合っている気がする。めちゃくちゃだった月経周期がほぼ正常に戻った。イライラが多少減った。(主婦・52歳)
Advice!
「『命の母A』は古くからあり、飲んでいる人が多いですね。ドラッグストアで手軽に買えて、更年期症状によいとされる複数の生薬が配合されているので、試してみるのもよいと思います。」(八田真理子先生)
【筋トレ】
自宅で毎食前に3分ほどの筋トレとストレッチを行う。落ち込みや、むくみが減り、やる気が出る。(自営業・54歳)
Advice!
「筋トレをすると男性ホルモンが分泌されてやる気がアップします。さらに体内で女性ホルモンに変わるのでおすすめ。脂肪代謝を促す有酸素運動を組み合わせると理想的です。」(八田真理子先生)
【ヨガ】
ヨガで朝一番に体を動かすことで、一日をスムーズに穏やかに過ごすことができます。腰の痛みが軽減され、足腰の筋肉強化につながることで歩きやすくなりました。(会社員・53歳)
自宅で毎朝、スマホアプリを使って20分のヨガ。多少寝つきがよくなった気がします。(自営業・45歳)
週3回、各2時間、ヨガ、ピラティス、バレエエクササイズ、エアロビクスなどをしています。気持ちがふさぐことがなくなり、肩コリものぼせもほぼなくなりました。(主婦・46歳)
Advice!
「ヨガやピラティスは体幹のインナーマッスルが鍛えられボディラインが整うのでよいですね。骨盤底筋も鍛えられて尿もれ改善にも効果的。深い呼吸とともに行うので自律神経も整います。」(八田真理子先生)
【ウォーキング】
朝から近くの公園に犬の散歩をしがてらウォーキング。携帯についている万歩計で歩数を計り、一日1万歩を目標にしています。精神的にスッキリすることが多くなりました。(主婦・57歳)
Advice!
「ウォーキングは有酸素運動で、脂肪の代謝を促したり、自律神経を整える効果が。早歩きとゆっくり歩きを交互に行うインターバル速歩を30分ほど行うのも健康効果が高く◎。」(八田真理子先生)
【趣味】
動物と触れ合う。心にゆとりが生まれます。(会社員・45歳)
高級ホテルのカフェ、日帰り温泉など、非日常を感じられるところに行く。好きなことをしていると、イライラがなくなり、体調が安定してくるのがわかる。笑顔が出やすい。心身の両方が落ち着き、適度に疲れるので、よく眠れる。(派遣社員・59歳)
Advice!
「リラックスできる趣味をもつのはメンタルが安定するのでいいと思います。更年期は今までチャレンジできなかった趣味を始めるのにもいい時。自分の世界が広がる趣味を見つけてみて。」(八田真理子先生)
【香り】
アロマの資格をもっているので、調合したり、職場でアロマテラピーをしたりしてリラックスを心がけています。イライラや不眠にはとても効果を感じています。ダイレクトに脳に働きかける精油は副作用もなく安心です。(主婦・59歳)
Advice!
「心地よい香りは緊張した脳のストレスをやわらげ、自律神経を整えてくれます。自分が心地よく感じる精油を何種類か常備しておき、気分や症状に合わせて使い分けるといいですね。」(八田真理子先生)
【入浴】
毎日10分以上入浴をして体を温めるようにしています。婦人科の血液検査で半年以内に月経が終わると判定されたのですが、体を温めるお茶や白湯を飲むこと、お風呂に10分以上つかることを心がけた結果、診断を受けてから1年半以上まだ生理がきているので、効果があったのではないかと思っています。(会社員・53歳)
Advice!
「浴は血行を促し、睡眠の質を高めるのでよい習慣。ただ、熱いお湯は交感神経を優位にして血圧も上がりやすいのでNG。38〜39℃ほどのぬるめのお湯に胸の下までつかって。」(八田真理子先生)
③作家 角田光代さん
作家 角田光代さん
「運動の“一瞬”に集中したときに、すべてを忘れられます」
更年期が軽いと思えるのは長年のルーティンのおかげ
「先日人間ドックに行ったところ、検査結果に『閉経』の2文字が。ああ、ついにそういうことなのかと」まさに更年期真っただ中の角田さん。とはいえ、今のところ深刻に受け止めずにいられるのは、長年続けているランニングとボクササイズの効用が大きい。
「ランニングは土日に近所の公園をゆっくり10㎞ほど。ボクササイズはジムで週1回。どちらも体の機能をアップさせるだけでなく、メンタルが整うのが更年期にもよいのです。運動に集中することで思考のループがいったん途切れますから」
ただ、深刻ではないにしろここ数年、体にはさまざまな変化が。
「突如汗をかくこともありますし、最近では手の指が曲がってきて……。決定的だったのは、健康診断で肝臓のγ-GTP値が高くなったこと。それまではお酒をいくら飲んでも値が低かったのが自慢だったのに(笑)」
更年期に必要と思われることは、少しずつルーティン化してきた角田さん。エクオールのサプリメントやはとむぎの粉末をとったり、加齢臭が気になりはじめてからはニオイをケアするボディソープに切り替えた。そうするうちに、だんだん加齢で変化していく見知らぬ自分に慣れ親しむ、余裕が生まれてきた。
「お酒もそうですけれど、何事においてもペースの調整が迫られる時期がきたんだな、と。小説のほうもがつがつせず、自分に合った新しいペースで次の挑戦に取り組んでいければと思っています」
更年期のお助けアイテム
加齢臭ケアには、ボディソープ“柿のさち”を愛用
「ソイチェック」で女性ホルモン様作用のあるエクオールをつくり出せないことを知ってから飲むようになったエクオールのサプリメント。友人から更年期にいいと聞いたはとむぎの粉末は、朝、季節のフルーツや青菜とともにスムージーに混ぜて摂取
④アナウンサー 大神いずみさん
アナウンサー 大神いずみさん
「やせたら自分の体が“使える”ようになり何もかもうまくいくように」
不調があたりまえだった生活が一転、快適な日々に
「仕事で出かける日も起き上がるのすら大変で、腰が重くて。外見にも気を遣わなくなり、近所への買い物はノーメイクで出かけるように」
一生重い体を引きずって生きていくのかなとあきらめかけたとき、仕事でダイエット企画の声がかかった。
「最初のうち、トレーニングはめまいとの闘い。でも1~2㎏体重が減るごとに、血糖値や中性脂肪の値が着実に改善していって」
5カ月たったころには50.3㎏に。悩みのタネだっためまいがなくなり、朝の目覚めもすっきり。「具合が悪いのが普通だと思っていたけれど、普通がこんなに快適だったなんて、と感動。全身の筋肉を鍛えたおかげで、重い荷物をひょいと持てるようになったり、階段をラクラク上れるように。使っていなかった私の筋肉に『今までごめんね』とあやまりました(笑)」
どっぷりハマっていたお酒からも抜け出し、お祝いのときや、おいしい料理のお供に「おいしいと感じられるぶんだけ」飲むようになった。
「大好きなノースリーブの服がまた着られるようになったのもうれしいですね。その胸もとに似合うネックレスを自分へのごほうびに。ふだんからメイクもするようになりました」
今も、週1回の筋トレと、朝と夜寝る前のストレッチは欠かさない大神さん。更年期は心のケアも大事と気づいたので、時には大好きな韓国ドラマ漬けになって息抜きを。メノエイドコンビパッチはお守りのように使い続けている。
「『使える』ようになった体を手放したくないし、もう自分の将来をあきらめたくないですから」
更年期のお助けアイテム
⑤ヘア&メイクアップアーティスト 中野明海さん
ヘア&メイクアップアーティスト 中野明海さん
「自分に“合っていないもの”を時にはやめることが大切」
不調を気にするより感受性を磨いて毎日を豊かに
「長年、子宮内膜症や子宮筋腫の症状があって、不正出血などに対応するのには慣れています」
子供のころから病気がちで、不調を重く受け止めすぎず、何をすればラクになるかな?と工夫するのが常。更年期もその延長線上にある。
「4年前、気持ちが落ち込んで、食べることが大好きなのに食欲が減退したときは、通りすがりの漢方薬局に相談。シベリア人参茶をすすめられ、飲んだところ調子がよかったので、以来、常備はしています」
5年前、夜中に汗をワーッとかくようになったときも、「『ああ、これが噂のホットフラッシュね』くらいの気持ちで受け止めて。『それなら朝、シャワーを浴びてすっきりすればいいじゃない』と」。
更年期はプチトラブルの連続。だからこそ、あえて日々の小さな感動に目を向けるという中野さん。 「かわいい!うれしい!おいしい!といった感情に素直でいようと。小さな感動は案外身のまわりにたくさんあるもの。私の場合、道端の雑草のかわいさにときめいたり、空を眺め雲の形が素敵だなと思ったり」
更年期にいいといわれることでも、自分に合っていなければしない。
「時にはやめる勇気も必要なのではないかしら。運動に関しては、お風呂あがりにボディクリームをのばすついでのストレッチくらいが、私には合っている。コロナ自粛中には、ラジオ体操がとてもよいことに気づきましたが、あえてルーティンにはしていません。やらねば、と、縛られることが重荷になりかねないので」
できないことを嘆かず、できることを心地よく。そんな日々の積み重ねが、現役で仕事を続ける中野さんの体と心を支えている。
更年期のお助けアイテム
⑥スタイリスト 大草直子さん
スタイリスト 大草直子さん
「ひとりで不調を背負い込まず家族の理解を得て気持ちをラクに」
更年期の今、ようやく本当の自分らしさと出会えた
「40代に入ったころから、なぜか更年期に興味津々で(笑)、変化を予測していたからでしょうか。来るべきときに備えて少しずつ、体に『貯金』をつくってきました」
夜更かし生活に別れを告げ、12時前に寝て、7時に起きる規則正しい生活にスイッチ。週1〜2回のホットヨガと毎日のストレッチをルーティンに。折に触れてホルモン値を検査したり、漢方薬剤師に相談したりと、体調の把握も欠かさなかった。
「専門家の意見を参考にしつつ、Kaon茶という漢方のお茶や、PLANTOLOGYというブランドのインナーピースという漢方ハーブのサプリメントを取り入れてきました」
何をチョイスするかで指針となったのは、目ざしたい女性像。
「私の場合は、包容力があるtoned(引き締まった)な女性像が目標。どうしたらそのような女性でいられるかを考えると、おのずとやるべきことが見えてきます」
更年期は自分の心や体と向き合い、折り合いをつけ、本当の自分らしさを確立するための大切な時期と大草さんはとらえている。仕事で多忙な大草さんをリラックスモードへと導くのがお風呂。自分で自分をハグする大事なひと時だという。
「家族の理解と協力も、更年期には重要。私は、日ごろから体調の変化を夫に話して、気持ちがラクに。外国人だからか、夫は女性の体に理解があり、夫自ら私の生理周期をチェックするアプリをダウンロード。更年期の体を見守ってくれています」
そんなまわりの支えもあってか、大草さんの表情はいつも笑顔。
「更年期は『閉経』という響きから下り坂と感じがちですが、笑顔なら前向きにのりきれる気がしています」
更年期のお助けアイテム
⑦更年期症状が起きる大きな原因とは?
産婦人科医 八田真理子先生
幅広い世代の女性の健康をサポート。著書は『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)など。
エストロゲン減少が更年期症状の大きな原因
「更年期とは閉経をはさむ前後5年のこと。日本人女性の閉経は平均50・5歳なので、45〜55歳が平均的な更年期です。この時期に生じるのが更年期症状で、生活に支障が出るほどひどい場合を更年期障害といいます」
では、更年期にさまざまな不調が起きる仕組みとは?
「大きな原因は女性ホルモンのエストロゲンが減ることです。更年期になるとエストロゲンの分泌量が激減します。エストロゲンは、脳下垂体から卵巣に指令がいくことで分泌されますが、加齢とともに卵巣機能が低下してエストロゲンが減ると、脳下垂体が卵巣に指令を出しても分泌されにくくなるので、指令を出し続けてパニックに陥ります。すると脳下垂体の近くにある自律神経も誤作動を起こすため、体のさまざまな機能が支障を来し、ホットフラッシュやほてりやのぼせ、不眠、イライラなどさまざまな症状が出るのです」
また、エストロゲンの恩恵を受けられなくなることも不調の原因に。
「エストロゲンには、骨を丈夫に保つ、血管や関節をしなやかに保つ、動脈硬化を防ぐ、悪玉コレステロールを減らす、自律神経を安定させる、脳の機能を維持する、肌の潤いや髪のツヤを保つなど、多くの重要な働きがあります。エストロゲンが減るとこういった恩恵が受けられなくなるので、関節痛や冷え、高血圧、皮膚の乾燥、脱毛・薄毛、もの忘れなど多くのトラブルが起きるのです」
さらに、更年期の不調が出やすいかどうかに深くかかわっているのが、環境や生まれつきの気質や体質。
「親の介護や子供の独立など、環境に変化やストレスがあることも更年期症状が出やすくなる要因。また、完璧主義の人や、きまじめでがんばりやの性格の人のほうが症状が出やすいこともわかっています。エストロゲンの減少に加えて、これらの要因が重なると症状がひどくなりやすいといわれています」(下の図参照)
更年期の不調が起きる要因
更年期の症状はこんなにあります
□ 疲れ目・かすみ目・ドライアイ
□ ドライマウス
□ 首コリ・肩コリ
□ 皮膚の乾燥
□ 脱毛・薄毛
□ 疲れやすさ・だるさ・やる気が出ない
□ 睡眠障害(不眠・中途覚醒など)
□ イライラ・怒りっぽい
□ うつ・不安感・焦燥感
□ 多汗・ホットフラッシュ・のぼせ
□ 冷え
□ むくみ
□ のどの違和感
□ 動悸・息切れ
□ 頭痛・頭が重い
□ めまい・浮遊感
□ 耳鳴り
□ 背中痛・腰痛
□ 四十肩・五十肩
□ 関節痛
□ 手足の震え・しびれ
□ 手指のこわばり
□ 手指の変形
□ 胃もたれ・胃痛
□ 下痢・便秘・おなかの張り
□ 太る一方・やせる一方
□ トイレが近い
□ 腟の乾燥
□ 性交痛
□ 高血圧
など
⑧更年期症状の治療法や向き合い方
婦人科での治療や生活習慣で更年期の不調は防げる
「HRTは女性ホルモンを補う方法で、内服薬、はり薬、塗り薬があります。即効性があり、1週間程度で効果を感じることもありますし、肌の潤いがアップしたり、骨粗鬆症や動脈硬化を防げたりとアンチエイジング効果も。デメリットは、乳がんや子宮体がん、血栓症のリスクを高める点。ただ、乳がんについてはHRTを5年以上続けた場合、行っていない場合の1.26倍リスクが高まるという程度で、乳がん検診やセルフチェックをきちんとすれば予防でき、5年以上続けることも可能です。また、基本的にエストロゲンだけでなくプロゲステロンも補充するので子宮体がんのリスクが高まるのも防げますし、経皮吸収のはり薬や塗り薬を選ぶことで血栓症のリスクも下げられます。メリットが多いので症状がつらいならおすすめです」
また、漢方薬やエクオールのほか、メンタル症状が強ければ抗うつ剤などでの治療も可能(下の枠内参照)。「漢方薬は体質を改善していく治療法で、全身の不調に効果を発揮します。2カ月ほど続けると効果を感じる人が多いようです。また、エクオールはエストロゲンに似た働きをし、手指のこわばりなど更年期の不調の改善を下支えしてくれます。たとえていえば、HRTが寒いときにすぐに体を温めるガスファンヒーターなら、漢方薬はじんわり温める電気ストーブ、エクオールは下から温める床暖房というイメージですね」
「更年期になると、自分の生活習慣がもろに体に出ます。特に食事は体調にそのまま反映されるので、バランスのよい食事を心がけることが大事。また、適度な運動は自律神経を整え、更年期症状の改善に効果的です。それから、睡眠が十分にとれていないと更年期症状が悪化しやすいので、7時間は寝るのが理想的」
そのほか、下記の習慣もチェック。
「こういった習慣は見た目の若さの維持にもつながります。更年期は自分の体と向き合い、今までの悪い生活習慣をリセットする絶好の機会です。健康のためのルーティンをつくって、この先の人生のために、よい再スタートを切ってくださいね」
八田先生がアドバイス! 日常生活の改善ポイント
●とにかく十分な睡眠
●バランスのいい食事
(特に魚・肉・卵などのタンパク質や発酵食品をしっかりとる)
●日光をよく浴びる
●適度な運動をする
八田先生の更年期対策ルーティンを聞きました!
食事、運動習慣、汗対策と続けているルーティンは多数
「食事では、中性脂肪やコレステロール値を下げてくれるオメガ3系脂肪酸がとれる青魚やえごま油などや、腸内環境を整える味噌やヨーグルトや甘酒などの発酵食品を毎日欠かさずとっています。運動では、長年エアロビクスを続けていて、今も週2回やっているのと、週3回、マシンでウォーキングをしています。あと、ジムでパーソナルトレーニングも受けていますが、トレーナーさんがイケメンなので気持ちもアガります(笑)。それと私はもともと汗っかきでしたが、更年期になってから特に汗対策として、吸湿速乾性のある下着を着るようにし、首まわりのあいた服を選んだりと、服装に気をくばりました。また、ホットフラッシュ対策としては、ふだんから携帯扇風機や扇子を持ち歩くようにしています。こういったことで、いい感じに症状が抑えられている気がします」
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