酒量が増えた50代が急増!?コロナ禍の家飲みで増えたお酒の量、このままでいい?【50代の不調に克つ!お酒好きの酒量モンダイ編#1】

若い頃にワインにはまり、以来お酒には目がない小田。365日ほぼ飲まない日はないほどですが、コロナ禍で在宅時間が増え、知らず知らずのうちにさらにお酒の量が増えているような……。目立った病気の兆候がなければ、このまま飲み続けていて果たして大丈夫なのでしょうか? 肝臓専門医に取材してきました。
加藤眞三先生

加藤眞三先生

エムオーエー高輪クリニック院長。上智大学グリーフケア研究所客員所員。内科医。医学博士。慶応義塾大学医学部卒業。米国ニューヨーク市立大学マウントサイナイ医学部研究員、都立広尾病院内科医長、慶応義塾大学医学部内科専任講師、同大学看護医療学部教授を経て現職に。著書に『病気になる飲み方、ならない飲み方』(ビジネス社)などが。 オンラインメディアで医療コラムを連載し、YouTubeでも発信を続けている。
小田ユイコ

小田ユイコ

美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、独立。『eclat』『MAQUIA』『LEE』などの女性誌や、WEB媒体で美容記事を執筆。「美しさは健康から」をモットーに、女性のカラダに関する取材を長年にわたり行う。1965年生まれ。
ワインが大好きで、ワインエキスパートの資格を取り、海外の酒蔵めぐりしていたこともある小田。40代の中ごろから徐々に酒量が減っていって、夜ワインを2~3杯に落ち着いていたのですが、コロナ禍の家飲みで知らず知らずのうちに酒量が増えていき……、毎晩3~4杯、夫と一晩でワインを1本空けてしまうことも。二日酔いでふらつくほどではないものの、翌朝もお酒が残り、顔がボテボテにむくんでいることが頻繁に。しかも、飲んでいるあいだ中、何かしらつまんでいるので、体重も増え気味。

「コロナ禍でお酒の量が減った人と、小田さんのように増えた人がいます。酒量が減ったのは、仕事の会食や大人の女子会など、つき合いで飲む機会が頻回だった人。増えたのは、もともとお酒が好きである程度の量を飲める人が、家で過ごす時間が増えるにともない飲む時間が長くなってしまったケース。外食が減り、家での食事に楽しみが集中した分、つまみなど料理のメニューを充実させ、それに合わせてお酒が増えてしまうんですね」(加藤眞三先生)。私、まさにそれです。夫の在宅勤務の日が多くなり、ふたりの夕食の回数が以前より増したところから、徐々にお酒の量がアップしていきました。つまみを作る段階から飲み始め、食事が終わるまで飲み続けてしまいます。

惰性で飲んではダメ。酔うため、眠るためのお酒になったら危険

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家飲みが定着し、酒量が増えたのを気にする50代女性が増加傾向に。加藤先生のところにもコロナ禍以降、肝臓の数値を気にする患者が増えた。
「お酒は1杯目は美味しいけれど、2杯、3杯と進むうちに味や香りに鈍感になっていくもの。ほろ酔いも手伝って、惰性で飲むようになるのです。また、夜になると『まずは一杯』となるのも習慣というか惰性。人は悲しいかな、惰性に陥りやすいのです。危険なのは、そうして惰性で飲み続けるうちに、せっかくの美味しいお酒が酔うための酒になってしまうこと。たとえば、もともとワインが好きだったのに、酔えるからと焼酎やウォッカなどアルコール度数の高いお酒を飲むようになったら要注意です」(加藤先生)。あ、私はスコッチウイスキーも大好きで、ワインを2~3杯のあと、ガツンとロックで飲む日も(笑)。そんな日は酔った勢いで寝てしまい、夜中トイレに行きたくなったり、喉が渇いて目が覚めます。「糖質オフブームがあったからか、醸造酒よりも蒸留酒のほうが体にいいというイメージを持つ人もいますが、アルコール度数が30度を超えるようなお酒は結果的に酒量が増え、やはり肝臓に負担。濃いアルコールでは口腔、咽頭、食道のがんにもなりかねません。飲むならアルコール度数が10%以下になるよう水などで割ってください」。

「そして飲むと眠るがセットになるのはよくないですね。次第に飲まないと眠れない、寝るために飲む、というサイクルになりかねません。アルコールは質のいい睡眠を妨げます。質のいい睡眠のためにはノンレム睡眠とレム睡眠の繰り返しが欠かせません。特に、レム睡眠は記憶の定着や関連づけ、身体の疲れをとるためにも重要。血中にアルコールがあると、レム睡眠を妨げてしまいます。たとえば日本酒を3合のんだら9時間はアルコールが残ります。翌朝起きるまで血中にアルコールがあるので、レム睡眠が訪れにくくなるのです」。

「寝酒という言葉があるように、食事ではお酒を飲まくても入眠のために飲む、という人がいます。これはまったくおすすめしません。眠りにつけたとしても、質のいい睡眠は得られず、よく眠れないからまた飲むという悪循環からアルコール依存症に。まだ睡眠薬を飲むほうがいい。薬よりお酒のほうが自然だからと睡眠薬を拒み、お酒を選ぶ人がいますが、それは間違いです。もちろん、日中や寝る前の行動など、質のいい眠りのための生活習慣をつけることが第一ですが」(加藤先生)。

お酒を寝るための道具にしてはいけないのですね。「コロナ禍で世の中が一変し、生活のリズムが狂ったり、ストレスに感じることも増えました。しかし、酔うため、寝るため、イヤなことを忘れるためにお酒を頼ってはいけません。繰り返せばアルコール依存症の危険性も出てきます」。
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フライドポテト、唐揚げなど揚げ物のおつまみでお酒が進んでしまう。

酒飲みが好む脂っこくで塩辛いつまみは、生活習慣病のもと

健康診断によると、小田は肝臓の状態を表すAST、ALTなどは基準値内なのですが、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールの値が172と高め。これはお酒と関係があるのでしょうか。「それは、お酒というより一緒に食べるおつまみに問題がありそうですね。お酒を好む人は揚げ物など脂質の多い食べ物を好む傾向に。血管内にコレステロールが溜まると、動脈硬化などの原因になります。また、つまみに塩を効かせすぎ、塩分摂取量が増えると高血圧を招きかねません」(加藤先生)。お酒を惰性で飲むうち、ポテチがひと袋空になることも(笑)。体重も増え気味だし、気をつけないと。「ポテトチップスのかわりにナッツを常備しましょう。ナッツはビタミンや不飽和脂肪酸を多く含み、食物繊維も豊富で血糖値が上がりません。また、生ハムや枝豆などもおすすめです」。

「お酒は悪いことばかりでなく、適量をきちんと守れば動脈硬化を抑えるなど健康増進にも役立ちます。健康寿命を全うしながら、生涯大好きなお酒を飲み続けることもできます」。お酒の量を減らすと思うと難しそうに感じるけれど、生涯お酒を楽しめるなら頑張ってみたい。次回、50代の女性が飲むお酒の適量と、適量を楽しむコツについて先生にうかがいます。お楽しみに!

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