「寝言」と「いびき」が気になりだしたら、まずはトライしてほしい4つのこと

眠っている間の行動だけに、自分で制御するのがなかなかにむずかしそうな「寝言」と「いびき」。でも、実は、生活を見直したり、睡眠時の工夫で軽減する可能性大。深刻になりすぎず、まずはトライ!
医学博士 栗山健一先生

医学博士 栗山健一先生

国立精神・医療研究センター 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部部長。睡眠障害を研究する第一人者。厚労省が発信する「睡眠教室ムービー」特設webコンテンツも監修。

自分にとって、いい睡眠を得られるルーティンを

激しい寝言を呼ぶ悪夢をコントロールするのは正直むずかしいけど…。

「夢を見るのはレム睡眠時で、そのときに脳は昼間経験したことを記憶に刻む作業をしているといわれます。だから、眠りにつく前にその日受けたストレスをリセットすることが大切。また睡眠の質を上げることで、浅い眠りが増えないよう睡眠リズムを整えましょう」

一方、舌根部の筋肉の緊張が弱くなる加齢によるいびきの場合は?

「まずは睡眠中の寝姿勢を変え、アルコールを控えたり口呼吸を減らして気道を確保することが有効。ただし、家族からクレームが出るほどの大きないびきや、いびきで眠れず、日中の活動に支障が出るなら、専門医の受診をおすすめします」

そして、自分にとって、いい睡眠を得られるルーティンを見つけることも有効な「寝言」「いびき」対策。

「好きな香りや音楽でリラックスしたり、ゆったり入浴したり、自然に深い眠りにつける入眠儀式を」

【寝言対策】毎日こまめに「ストレスリセット」!

激しい寝言の頻度が多いなら、背景に不安やイライラ、プレッシャーなどのストレスがありそう。ストレスをゼロ、はむずかしいので、たまらないようそのつどこまめに解消する心がけを。深い眠りをじゃまするアルコールやカフェインなどを避けるほか、寝る前はホラーやサスペンスなど興奮する映画、心を暗くする情報を遠ざけて。
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1.帰宅前の運動

いやなことや不安があるとき思考を止めるのはむずかしいので、ジムなどで体を動かし汗をかいて発散させる。疲れきって眠るイメージ。

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2.寄り道で気分転換
帰りにウインドーショッピングをする、知らない道を歩くなど、ルーティンとは違う新鮮な行動で、日中のネガティブな記憶を上書き。

【いびき対策】あの手この手で「気道を広く保つ」!

睡眠中に気道が狭くなることで不快な音を発するのが、いびきのメカニズム。その音を小さくするシンプルにしてダイレクトな対策は、なんといっても気道を広く保つこと。寝るときの姿勢を変えるだけで改善できることもある。また肥満も気道が狭くなる要因なのであごから首まわりのすっきり感をキープしたい。
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1.横向き寝
あおむけは舌が落ち込むので、抱き枕を使うなど横向きの寝姿勢を意識して。枕やマットレスなどの寝具は寝返りの打ちやすさで選ぶ。

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2.口呼吸を抑制
いびきが発生しやすい口呼吸。口が開かないようにとめたり、鼻腔を広げるテープも試して。読者アンケートでも効果ありの声が多数。

「寝言」「いびき」ともに予防効果が期待できるのが、ホルモン治療!

女性ホルモンの分泌が急降下する更年期は情緒が不安定になったり不眠になったり。ホルモンの減少で自律神経が乱れて体温調節が上手にできなくなり、ほてりや冷えが睡眠の質に影響するケースも。

そんな睡眠トラブルに効果的なのが、エストロゲンを補充するホルモン療法。不安やうつ症状を緩和し呼吸を促進するので、寝言やいびき対策に役立つはず。

【ATTENTION】ケアしても改善しない「寝言」「いびき」は病気の場合も…

寝言の場合「レム睡眠行動障害」
睡眠中に「突然大声で叫ぶ」「悲鳴を上げて飛び起きる」「隣に寝ている人をたたく、蹴る」。悪夢を見ているときに現れることが多いレム睡眠行動障害。通常はレム睡眠中は筋肉がゆるんでいて実際に体は動かないはずなのに、筋肉の緊張を調整する機能が妨げられ寝言や行動に現れてしまう。進行すると激しい行動が増える。

どんな治療ができる?
症状を抑えるために抗てんかん薬を服用。ただ、パーキンソン病やレビー小体型認知症などに関連するとされる特定の脳内物質がかかわっている可能性も。これらの病気の初期症状として起こることもあるので定期的な経過観察が必要。

いびきの場合「閉塞性睡眠時無呼吸症」
「寝ているときに息が止まる気が」「夜中に何度も目が覚める」「何時間寝ても朝すっきりしない」「昼間居眠りを繰り返す」。当てはまるなら、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりする閉塞性睡眠時無呼吸症かも。肥満のほか更年期に増えるともいわれ、重症になると、心血管疾患、脳血管疾患、生活習慣病のリスクが増加。

どんな治療ができる?
軽症なら下あごを前に出し気道を広げるマウスピースの装着。中等症以上なら、睡眠中、鼻に装着したマスクから気道へ空気を送り込むCPAP装置を使う治療が有効とされる。1泊の入院精密検査のほか自宅での簡易検査で測定可能。

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