エクラ世代におすすめしたい書籍を厳選! 大正生まれのダンサーが語る、魂を揺さぶる戦後の物語『DANGER(デインジャー)』、人を救い、前を向かせる音楽の力を実感する『明日、あたらしい歌をうたう』など4冊を厳選。
『DANGER(デインジャー)』
バレエを切り口に戦争と人間を描ききる感動巨編
村山由佳
新潮社 ¥2,530
大正生まれのダンサーで世界有数の振付家・久我一臣。1992年、取材に訪れた20代の男女に、彼は日本クラシックバレエの創生期と踊ることへの情熱だけでなく、ソ連の捕虜となりシベリアの収容所で過ごした日々を語りはじめる。敗戦時、大陸にいた日本女性たちの過酷すぎる運命を、ここまで真正面から克明に描き、かつ優れたエンターテインメントでもある小説は稀有(けう)だ。著者の亡父もシベリア抑留体験者。父の話を胸に刻んできたからこそ書きえた、魂を揺さぶる物語。
『日日是植物』
たっぷり笑って心晴れやか、「室内園芸」のススメ
いとうせいこう
マガジンハウス ¥1,870
小説、音楽、舞台とマルチに活躍する著者の趣味は室内園芸。家の中に小型ビニールハウスを組み立て、野菜を種から育てるほどハマっている。猛暑や害虫との格闘も交え、植物を愛(め)でる日常をつづったエッセーは、数ページに一度吹き出すおもしろさ。お役立ち情報も満載だ。
『明日、あたらしい歌をうたう』
人を救い、前を向かせる音楽の力を実感!
角田光代
水鈴社 ¥1,870
今は亡きカリスマミュージシャンが父親だと聞かされて育つ少年と、子供に無関心な両親のもとで大人になった母親。切ないストーリーなのに、読後、幸福感に包まれる。それぞれの孤独に音楽が寄り添い、世界を輝かせたように、この小説も読む者をパワーアップしてくれる。
『炎と水 中村哲と名もなき人たちの旅』
アフガニスタンに緑を蘇らせた医師の生涯
山岡淳一郎
集英社 ¥2,860
戦乱と干ばつの続く国で人道支援を続け、井戸を掘り、用水路を拓(ひら)いて砂漠化した大地を農地へと変えた中村医師。73歳で凶弾に倒れるまでの人生と、彼を支えた仲間たちの思いを、100人を超える取材から紐解いていく。暗さを増す世界にひとすじの光を灯すノンフィクション。
photography:Maho Kurakata text:Sayaka Hosogai ※エクラ2026年6月号掲載