最高の旅には、非日常を味わえる「最高の宿」が欠かせない。各分野の第一線で活躍し、世界を旅してきた人はどんな宿を選んでいるのだろう。今回は、服飾史家・中野香織さんの「私の人生最高の宿」を紹介。
服飾史家・中野香織さん
ホテル シギラミラージュ/沖縄県・宮古島
宮古島南岸に広がる約140万坪のリゾートシティ、シギラセブンマイルズリゾートのラグジュアリーホテルブランド。高層棟の「ベイサイド」、ヴィラタイプの「プールヴィラプレミア」に加え、’24年には邸宅で暮らすような滞在をコンセプトにした「ビーチフロント」を新たに開業。「ベイサイド」(写真)には屋外にサウナを併設したプールも。レストランやエステも充実し、極上の南国リゾートを体感できる。
リゾートとして完璧。滞在そのものが物語になる
リゾートとしての完成度に申しぶんがなく、滞在そのものに満足感を得られるホテルです。明るく開放的な客室には、ランドリーやバルコニージャクジーまで備わり、長期滞在でも不自由がありません。いくつかあるプールのひとつには、外の景色を望む屋外サウナを併設。サウナで温まり、プールへと身を沈め、そのままラウンジでシャンパンをいただく──、そんな流れるような時間の使い方がごく自然にかないます。そして、この宿の記憶をいっそう豊かにしているのは、リゾートの外側に広がる宮古島の日常の風景。
この土地に息づく「宮古上布」の工房を訪ねた際、「60歳が紡いだ糸より、90歳が紡いだ糸のほうが高値で取り引きされることもある」という話を聞きました。手の感覚が変化し、糸がわずかに粗くなった結果、かえって丈夫になるのだ、と。伝統工芸の奥行きとともに、年齢を重ねることへの静かな希望を感じた瞬間でした。
洗練された巨大リゾートの非日常と、島に根づく手仕事の日常が教えてくれる秘められた価値の発見。その両方を同時に体感できることこそが、このホテルの大きな魅力だと思います。滞在そのものがひとつの物語になる場所です。
Data
沖縄県宮古島市上野新里1405の201
☎0570・550・385(宿泊予約センター)
2名1室利用の1泊1名¥44,500~
https://shigira.com/hotel/mirage/
なかの かおり● YouTubeでのスーツ解説が好評。『エレガンス入門』(ちくまプリマー新書)が5/9、『ディズニー服飾史(仮)』が今夏発売予定。
取材・原文/本誌編集部 ※エクラ2026年6月号掲載