アイドルとしての華やかさと、俳優としての確かな存在感をもつ目黒蓮が、映画『SAKAMOTO DAYS』でアクションとコメディに挑んだ。穏やかな語り口の奥にふと熱がのぞく瞬間、強さと優しさをもつ彼らしさが浮かび上がってくる。
「いい意味で、守りに入らず攻めていきたいと思っています」
アイドルとしての輝きを放ちながら、俳優業におけるキャリアを着実に積み重ねてきた目黒蓮さん。大人気の同名コミックを映画化した『SAKAMOTO DAYS』では、伝説の殺し屋から街の個人商店の店長となった主人公、坂本を演じている。
「原作の2巻が出たくらいのころに読んで、すごくおもしろいと思ったんです。そのときには自分が実写でやらせていただけるとは、まったく思っていませんでした。もともとアクションを突き詰めてみたいという思いと、コメディに挑戦したいという気持ちがあって、すべてが凝縮されているこの作品にぜひ出演したいと思いました」
すっかりふくよかな体型になった坂本は激しくカロリーを消費すると殺し屋時代のようにスリムになり、すぐにリバウンドするというキャラクター。そのギャップを実写で表現するために、特殊メイクによって、まったく別の顔を見せている。
「初めて太った状態になった自分を見たときはすごくおもしろくて、たくさん写真を撮っちゃいました。だんだん慣れてきて、そのままロケ場所で移動していると驚かれたりもして(笑)。ひとりで歩かないように気をつけながら過ごしていましたね」
スタントに頼らず、本格的なアクションの見せ場を演じきったという姿勢からは、プロフェッショナルとしての矜持がかいま見える。
「アクションも芝居も相手のかたとのかけ合いができたと感じる瞬間が、一番楽しいですね。特殊メイクをした状態でのアクションは汗の量がものすごかったので、対策についてもひとつひとつ改良をしながら攻略していきました。スタッフの皆さんと一緒に戦った現場だったと思います」
愛する人との出会いをきっかけに殺し屋を引退した坂本が主人公であるこの映画について、「家族の物語でもあると思っています」と語る。
「家族がなによりも大切という生き方をしている坂本のキャラクターは、すごく魅力的だと感じました。僕は祖母と連絡をとることが多いのですが、電話の最後に今まで何回も聞いていることを絶対にいわれるんです。『もうできていると思うけど、まわりのかたがたにちゃんと感謝をもって、謙虚に礼儀正しくしなさいね』って。うんうん、もちろんその気持ちでいつもやってるよって答えるんですけど、変わらず言葉をかけてくれる家族の存在って、本当にありがたいなと思います」
変わらぬ情熱と無邪気さを携えてこれからも挑戦を
一見相反する静と動の要素を無理なく同居させているのが、目黒蓮という人だ。ゆったりと穏やかで優しい語り口の中に、確かな熱が息づいている。
「皆さんが僕の表面からどんなものを感じ取ってくださっているのかはわからないのですが、仕事のことになると燃えている人間だと思います。自分がやるからには!と、ひとつのことに集中してしまうタイプ。そんなときには何か話しかけられても、たぶんほとんど頭の中に入ってきていないです。もちろんしっかり聞こうとはしているんですけどね」
『SAKAMOTO DAYS』の現場でもよく見られる光景があったことを、笑いながら明かしてくれた。
「僕が太っているメイクのときはスタッフのかたがたがこまめにお水を持ってきてくださったんです。でも僕はアクションシーンの本番を前にアクション部の皆さんが段取りをしているところを見ながら、あの場所でこんなふうに動こう、次はこうしてみよう……とシミュレーションをしてたんです。そんなときは僕の目の前でお水を振ってくださっても、まったく見えてなくて。しばらくしてから気づくと、スタッフのかたが『また気づいてなかったですね』って笑っていることがよくありました(笑)」
内側に潜む二面性については、無邪気さという言葉がキーワードになるのかもしれない。
「あまり話したことがない人からは、少しクールな感じだと思われることが多いんです。でも実際の自分は、結構子供っぽいことが好きなんですよね。公園で鬼ごっこやかくれんぼがしたいなと思うこともよくあるし、ずっと自分の心の中にあるのはそういう感覚なんじゃないかなと思います」
今年は20代最後の年。どんな30代を目ざしたいですか?とたずねると、オーディションに挑んで『SHOGUN 将軍』シーズン2の役を射止めた彼らしい言葉が返ってきた。
「これからも、いい意味で守りに入らず攻めていきたいなと思います。チャレンジを続けてきたからこそ、ここまで進んでくることができたと思っているので、30代になってもコアな部分では変わらない自分でいたいです」
「クールだと思われることが多いのですが、実際の自分は子供っぽいことが好きなんです」
めぐろ れん●’97年、東京都生まれ。’20年にSnow ManのメンバーとしてCDデビューを果たす。俳優としても活躍し、主な出演作にドラマ『silent 』『舞いあがれ!』『トリリオンゲーム』『海のはじまり』、映画『月の満ち欠け』『わたしの幸せな結婚』『劇場版 トリリオンゲーム』『ほどなく、お別れです』などがある。
Information
Ⓒ鈴木祐斗/集英社
Ⓒ2026 映画「SAKAMOTO DAYS」製作委員会
『SAKAMOTO DAYS』
史上最強といわれた元殺し屋の坂本太郎は、恋に落ちて殺し屋から引退。個人商店を営みながら妻と娘と穏やかに暮らしていた。しかし彼に懸賞金が懸けられ、世界中から刺客が集結する。目黒蓮、高橋文哉、上戸彩、北村匠海ほか。脚本・監督は福田雄一。全国東宝系にて公開中。
スーツ(参考商品)・シャツ¥137,500/フェンディ ジャパン 時計¥2,299,000・ブローチ¥2,266,000・リング¥665,500・ブレスレット¥1,188,000/ブルガリ・ジャパン
撮影/土屋文護(TRON) ヘア&メイク/宮川朋子(est un) スタイリスト/金 順華 取材・原文/細谷美香 ※エクラ2026年6月号掲載