灯りは暮らしを彩る大切なエレメント。空間を明るく照らすだけでなく、人の感情や体にも大きな影響を与える存在。シーンに合わせて光を変えたり、光の質にこだわれば見慣れた住まいが大きく雰囲気を変える。eclat12月号では、意識改革から始めてリュクスなくつろぎ空間に挑戦する方法をご紹介。
明るい=いいことではない。意識を変えることから始めよう
「“明るいことは豊かである”というのは戦後、復興時代の発想。本来、夜は一日の活動を終えてクールダウンするとき。安らかな眠りに導くためにも、静かな光がふさわしい」と話すのはインテリアショップ「アルフレックス」の柏木章さん。例えば、ヨーロッパの街角やラグジュアリーなホテルで、ほの暗い光の心地よさを体感したことがあるだろう。一方、夜でも煌々と明るいのはコンビニや量販店。どんなにこだわった住まいでも、明るく照らし出せばくつろげないばかりか、上質な空間にはなりえない。
H邸は、あえて“暗い”ことにこだわった好例。シーリングライトがないばかりか、ダウンライトさえも最小限に。ヴィンテージの照明器具が放つ小さな灯りが、素材感に富んだ住まいに陰影をもたらし、気持ちをリラックスさせる。このように照明は空間の印象を変えるばかりか、時間の流れを変える。どんな家具よりも、インテリアを一変する力が照明にはある。
idea1.まずは意識改革。シーリングライトをやめてみる
シーリングライトは、部屋の隅々まで照らし出す便利なアイテム。ただし頭上から煌々と照らす光は、活動する昼間の太陽と同じ。空間を均一に照らす光はのっぺりとした印象を与え、インテリアのアイテムや食卓の料理を美しく映し出す光にはならない。まずはシーリングライトをやめるところから始めてみよう。
idea2.暗いことを恐れない
私たちは夜が暗いことを忘れるほど部屋を煌々と照らしている。一度灯りを消して、ひとつの灯りで過ごしてみたい。暗さがやがて心地よさに変わり、静かに流れる時間の贅沢さに気づくだろう。寄り添うように灯る光が心を癒す。
idea3.最初にスタンドライトを置いて。光は足し算
リビングにまずスタンドライトを置いてみる。居場所を照らす灯りがあるだけで空間に温かな印象が生まれる。さらに壁や天井に反射させる光を用意すると、間接照明の効果を果たしながら、空間全体を優しく照らす。
H邸リビング。名作家具として知られるフロアスタンド「クーペ」が空間をのびやかに彩りながら、手元を静かに照らし出す。
天井や壁に光を反射させると間接光と同じ役割に。コーナーを彩りながら空間全体をふわりと明るく照らす。「アルフレックス」のオリジナルフロアスタンドはLEDながら光の質にこだわり、調光もできる。
idea4.日没後はろうそくのような光を手元に近い場所におく
天井からの照明は昼間の光と同じ。地平線に夕日が沈んだあとは、その光を引き継ぐように、低い位置から光を灯し、点在させるように配置する。居場所に合わせて手元に近い光からくつろぎの時間が始まる。
テーブルランプはエクラ世代の必須アイテム。老眼で見えづらくなっても手元が明るければ、ストレスを感じることはない。
ベッドに入ったときに光源が目に入らないことが、照明選びの鉄則。テーブルランプ「クーペ」は、大きなシェードが光源の存在を感じさせず、手元だけを照らす。
idea5.次のステップは調光。シーンで光を変える
友人を招くにぎやかな夜と、ひとりでくつろぐ日は、まったく違う時間。調光機能があれば手軽に異なる光を楽しめる。照明器具とコンセントの間にプラスし、調光機能を後付けできる機器も。光の数だけ、空間の楽しみが広がる。
ひとりでくつろぐ夜は静かな光に。光を調節するだけで気分が変わる
【他にもこんなideaもおすすめ】
グリーンやアートと組み合わせる
コーナーの暗がりに光を置くと、空間に奥行きが生まれる。さらにグリーンと組み合わせると光が立体的に変化してドラマチックに。アートと合わせるときは、目線を同じ高さにするのがポイント。
「アルフレックス」のショップコーディネート。グリーンやアートと組み合わせると空間が立体的に
【お話をうかがったのは…】
照明デザイナー 早川亜紀さん
’76年埼玉県生まれ。’98年日本女子大学家政学部住居学科卒業後、ライティングデザイン会社を経て、’13年「灯デザイン」として独立。公共施設やホテル、商業施設、住宅まで幅広いプロジェクトにかかわる。http://www.toh-design.com
アルフレックス東京 店長 柏木 章さん
’57年生まれ。’81年多摩美術大学卒業後、アルフレックスジャパン入社。以後、商品開発やショップ店長を経て、現在は同社の中核的な存在として活躍。イタリアのモダンデザインだけでなく、ライフスタイルを含めてトータルで提案。http://www.arflex.co.jp