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アラフィーの便秘、尿もれ、おなかぽっこりは「骨盤底筋群のケア」で解消!
骨盤底筋群とは、膀胱、尿道、子宮など、女性の大事な臓器を骨盤の一番底で支えている筋肉群のこと。加齢や生活習慣などによってゆるんでくると、ボディラインがくずれたり、尿もれを起こしやすくなったりと、悪影響を及ぼすことに。だからこそ、骨盤底筋群の正しい使い方を知り、大事な部分をキュッと引き上げておく対策が必要だ。人生80年とも90年ともいわれる時代に、骨盤底筋群を早々とゆるませるわけにはいかない。エクラ世代にとって重要な骨盤底筋群ケアを、早速取り入れていこう。
アラフィー女性の下半身のお悩み「尿漏れ」「陰部の不快」「痔」の原因と対策
泌尿器科専門医 関口由紀先生
大腸肛門専門医 草間 香先生
【目次】
尿トラブル
膣トラブル
肛門トラブル
尿、腟、肛門トラブル回避
①アラフィーのシモ、ここが問題!
最も多い悩みが尿漏れ。頻尿も3位と、尿のトラブルに悩む人が大多数。次いで、陰部のニオイやかゆみ、違和感、乾燥など性器まわりの悩みも多数。痔を筆頭に肛門のかゆみなど肛門まわりの悩みも見逃せない。アラフィーの「シモ」問題は3つの「穴」で起こっている!
②シモのトラブルはなぜ起こるの?
あらゆる「シモの不調」は骨盤底のゆるみから!
「大きな原因のひとつは骨盤底のゆるみです。骨盤底は靭帯(じんたい)、筋肉、皮下組織などで構成される恥骨(ちこつ)から尾骨の間にある菱形状のプレート。骨盤底には、膀胱(ぼうこう)、子宮、直腸などの骨盤内臓器を支える役割や、排泄をつかさどる役割があります。骨盤底はもともと遺伝的に弱い人もいますが、最もダメージを受けるのが出産のときで、出産では100%傷みます。すると排泄機能に問題が起き、産後は9割の女性が尿漏れを経験。この尿漏れは、産後1年ほどで治ることが多いのですが、古傷となって残ります。そして40代以降に加齢によって全身の筋肉量が減ってきたときに、再び現れ、尿漏れなどさまざまなシモ問題を引き起こしやすくするのです」(関口由紀先生)
更年期の女性ホルモンの減少、筋肉量低下も大きな原因に
「女性ホルモンが減る閉経期になると、腟や外陰部の粘膜の潤いが失われ乾燥や萎縮が進みます。そのため性器のかゆみや違和感、性交痛などが起きるのです。皮下組織や皮膚の弾力も失われて骨盤底がさらにゆるみ、尿漏れや頻尿も起きがちに。このような女性ホルモンの減少による腟と外陰部の乾燥や萎縮から起こる不快な症状が出る病気をGSM(Genitourinary Syndrome of Menopause=閉経関連尿路生殖器症候群)といいます。50代以降の女性の2人に1人はGSMを抱えているといわれています」(関口由紀先生)
また、アラフィーには痔など肛門の不調も多いが、大腸肛門専門医の草間 香先生によると、こちらも筋肉の衰えや女性ホルモンの減少の影響が……。
「加齢によって筋肉量が減ると、腹筋も衰えていきむ力が弱くなり、便秘がちになります。また、女性ホルモンが減る更年期になると、便秘や下痢をしやすくなります。痔の大きな原因は便秘や下痢なので、アラフィーで痔が悪化する人も多いのです」(草間 香先生)
このようなシモのトラブルに悩んでいながらも放置している人は多数。
「現在は治療法もいろいろ進化し、工夫されています。症状を感じたら早めに病院へ。生活習慣の見直しなど自分でできる対策もあリます。医学とセルフケアの両輪を上手に取り入れ、快適な生活を」(草間 香先生)
③「尿漏れ」と「頻尿」
ふとしたときに、ちょろり…「尿漏れ」
「出産後、半年くらいはあった尿漏れ。その後治っていたのに、ここ2〜3年、くしゃみをしたり、大笑いしたり、重い物を持ったりと、少しおなかに力を入れることがあるたびにドバッと尿漏れが。尿とりパッドが手放せない!」(49歳・会社員)
お出かけもちょっと憂うつに…「頻尿」
「40歳半ばからトイレが近くなり、一日に10回以上行くように。行ってもすぐまたトイレに行きたくなるので、出先では必ずトイレの位置をチェック。最近は外出するのも旅行に行くのも億劫(おっくう)になってインドア人間に」(50歳・主婦)
骨盤底筋ケア+それぞれの症状に応じた対策で快適に
「おなかに力を入れたときに漏れるのが腹圧性尿失禁で、強い尿意が起きてトイレに間に合わず漏れてしまうのが切迫性尿失禁。タイプによって治療や対策が違うので、まず自分のタイプがどちらなのか見極めることが大切ですが、どちらも骨盤底のゆるみが大きな原因のひとつとなっているので、ここを引き締めるトレーニングは必須です。また、頻尿は、切迫性尿失禁の原因ともなる“過活動膀胱”がその原因の大半ともいわれており、薬による治療が可能なので、専門医に相談を」(関口由紀先生)
そして尿漏れ・頻尿ともに注意したいのが尿とりパッドの使い方。
「失禁を恐れて一日中つけていると依存性が高まり症状を悪化させる一因に。つけるのはなるべく外出時だけにするよう、心がけましょう」(関口由紀先生)
④あなたの尿漏れタイプは?
出産・筋力低下・ストレス…尿トラブルの原因は複合的!
腹圧性尿失禁
こんなときに尿漏れ
◻︎重いものを持ったらちょろり
◻︎くしゃみや爆笑したときにちょろり
◻︎全力疾走したときにちょろり
《原因》
おなかに力を入れたときに漏れるのが腹圧性尿失禁。出産や加齢などで骨盤底が傷ついたり弱くなったりしていると、骨盤底がたるむのでトイレが近くなる。それに加えて筋肉や靭帯がゆるむと、腹圧がかかったときに尿道の出口がしっかり締まらず尿が漏れてしまう。便秘でいきむことが多い人、花粉症などで咳やくしゃみが多い人、肥満の人などもなりやすい。
《治療》
骨盤底筋トレーニングの指導のほか、それでも改善しない場合は、尿道を引き締める薬(β2受容体刺激薬)や漢方薬を用いて症状を抑えたり、さらに症状が進んでいる場合は、尿道の動きを抑える手術を受けるという手もあるので、症状の程度を見ながら医師と相談のうえ治療を。
セルフケアは?
とにかく骨盤底筋トレーニング!
腹圧性尿失禁は、骨盤底筋のトレーニングで骨盤底のゆるみを改善することで治ることが多いので、とにかくこれを習慣に!
切迫性尿失禁
こんなときに尿漏れ
◻︎冷たいものを触ったときにちょろり
◻︎水が流れる音を聞いたときにちょろり
◻︎近くにトイレがないと感じたときにちょろり
《原因》
突然強い尿意が起きてトイレまで我慢できず、尿漏れしてしまうのが切迫性尿失禁。水に触ったときなど、ちょっとした刺激によるストレス反射で膀胱が過敏に反応して尿意をもよおすことも。切迫性尿失禁は過活動膀胱のひとつの症状として起こることがほとんど。更年期の女性には、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が併発した混合性尿失禁になる人も。
《治療》
尿意を抑える作用がある抗コリン薬や、膀胱を広げる作用があるβ3受容体刺激薬などの薬で治療。また、わずかな尿意ですぐトイレに行く習慣を続けると膀胱が小さくなり尿がためにくくなるので、尿意を我慢する膀胱トレーニングや、水分摂取などのセルフケア指導も。
セルフケアは?
1.膀胱トレーニング
トイレに行きたいと思ったら、腟と肛門をキュッと締める。すると会陰(えいん)排尿筋抑制反射という反応が起こって尿意を抑えられるので、5分我慢。我慢できたら時間を少しずつ延ばし、トイレを2〜3時間間隔まで延ばしていく。
2.水分摂取を見直す
運動で汗をかく場合は別として、食事に含まれる水分以外に一日2ℓ以上の水分摂取はNG。冬は1ℓ、夏は2ℓ、春秋は1.5ℓ程度、白湯や水をとるのがおすすめ。コーヒーやお酒、柑橘ジュースなど膀胱を刺激する水分も控えて。
頻尿の原因の大半は過活動膀胱
《原因》
朝から寝るまでに8回以上排尿がある場合が頻尿。夜間は1回でもトイレに起きると夜間頻尿で、不眠になるなら治療対象に。頻尿の原因の大半は、膀胱に尿が少したまっただけで、膀胱が過剰に活動して尿意に襲われる過活動膀胱という病気。明確な原因はわかっておらず、加齢や骨盤底のゆるみや、脳血管障害などが原因の神経の問題のほか、ストレスも原因といわれている。
《治療》
軽い過活動膀胱は骨盤底筋トレーニングや膀胱トレーニングの指導で改善することも多いが、抗コリン薬やβ3作動薬、漢方薬を用いた治療が主流。そのほか、’20年から膀胱の筋肉の動きを止める膀胱のボトックス注射が過活動膀胱に対して保険適用に。
セルフケアは?
切迫性尿失禁と同じく、骨盤底筋トレーニングや膀胱トレーニング、水分摂取の見直しを。また「急にトイレに行きたくなったら……」という恐怖感も症状を加速させるので、思いつめないことも必要。
⑤「陰部」のかゆみやニオイなどのトラブル
突然やってくる不快感…「陰部のかゆみ、違和感」
下着を下げたときにプーンと…「陰部のニオイ」
愛の行為が痛みに変わる…「性交痛」
更年期の腟の乾きと硬化を潤し、やわらげ、トラブルケア
アラフィーの腟まわりの不調は、更年期によるGSMという病気が大きな原因といわれる。
「GSMは、’14年にアメリカでの学会で初めて医学的に“治療されるべき病気”と認定されたもの。女性ホルモンの減少による腟や外陰部の乾燥や萎縮により、腟と外陰部の痛みやかゆみ、性交痛、尿漏れ、頻尿、再発性膀胱炎などが起こる病気です。GSMは実は、腟まわりの保湿とマッサージで改善できます。日本人は自分の性器をあまり触らない人が多いですが、アラフィーになったらまずこれを習慣にしましょう。ほかにエストロゲンの腟剤や、腟内をしっとりさせるモナリザタッチやインティマレーザーなどのレーザー治療など、婦人科や女性泌尿器科などでもさまざまな治療が用意されているので、あきらめず治療を。また、GSM予防には、定期的なセックスも効果的です」(関口由紀先生)
更年期前後から実感! これが4大腟トラブル
ニオイ
《原因》
腟内は、乳酸菌の一種であるデーデルライン桿菌(かんきん)によって弱酸性に保たれ、ほかの細菌の侵入を防いでいるが、女性ホルモンの減少や、ストレスや疲労が重なるとこの菌は減ってしまい、すると悪玉菌が増加。そこに、GSMによる腟内の乾燥も加わると、炎症を起こすことがあり、ニオイが発生しやすくなる。そのほか、腟まわりをきちんと洗っていないことや、乾燥、ムレなども原因に。
《治療》
専用のソープで腟まわりをきちんと洗って、しっかりと保湿し、清潔に保つのが必須。それでも改善しないなら、最近、腟に入れる乳酸菌や、乳酸菌のサプリメント、腟内を洗浄するアイテムなどが市販されているので利用してみても。
かゆみ、ヒリヒリ感
《原因》
腟まわりのかゆみやヒリヒリ感もGSMの症状のひとつ。加齢による女性ホルモンの減少で、腟内の乾燥や萎縮が進むと、カサついてかゆみが起きやすくなったり、下着のこすれなどによりヒリヒリ感が出やすくなる。それ以外では、腟まわりやアンダーヘアに汚れがたまっていることも、雑菌が増えてかゆみが出やすくなる原因に。正しく洗い正しく潤すことが、不快感解消の近道といえる。
《治療》
エストロゲンを含む腟剤を用いたり、ホルモン補充療法(HRT)を行ったりするほか、外陰部にはかゆみや炎症を抑える軟膏を用いることも。また、腟内をしっとり、ふっくらさせるモナリザタッチやインティマレーザーなどのレーザー治療も有効。
性交痛・腟萎縮
《原因》
アラフィーの性交痛は、ホルモン減少による腟の乾燥や萎縮が大きな原因。腟の潤いがなくなって萎縮しているため、セックスのときの挿入時やペニスを動かしたときに痛みが生じ、出血を伴う場合も。放っておくと苦痛から性的意欲が低下することもある。また、心理的な要因が原因の場合もあるほか、子宮がんなどの病気の場合もあるので、痛みがひどい場合は婦人科で検査を。
《治療》
エストロゲンを含む腟剤やホルモン補充療法(HRT)を行ったり、潤滑油の使用法の指導などを行う。そのほか、モナリザタッチや、インティマレーザーなどのレーザー治療で腟に潤いや弾力を与える方法や、骨盤底筋トレーニングも効果的。
ゆるみ
《原因》
腟のゆるみは、加齢に伴う筋肉量の減少によって腟を囲む骨盤底筋がゆるくなるのが原因。出産経験があると特にゆるみやすいほか、便秘などでおなかに力を入れる習慣がある人もゆるみやすい。尿漏れしたり、お風呂からあがるときに腟からお湯が漏れたりするのが腟のゆるみのサイン。放っておくと将来、子宮などの骨盤内臓器が腟から出てしまう骨盤臓器脱になることも。
《治療》
骨盤底筋トレーニングが最も効果的。そのほか、ハイフ(高密度焦点式超音波)で腟内を引き締める治療や、ゆるんだ骨盤底筋を刺激して強化する磁気刺激療法、腟を縮小するレーザー・ヴァギナ・リジュビネーションという手術などの治療法がある。
⑥膣トラブルのセルフケア
フェムゾーンをたっぷり保湿
フェムゾーンに潤いと柔軟性を
「お風呂で外陰部を洗ったら、クリームやオイルなどお気に入りの保湿剤を1〜2滴手にとり、人さし指と中指につけます。肌が敏感な人は専用のフェムゾーン専用保湿剤でもOK。まず外陰部中央にまっすぐに塗り、次に大陰唇と小陰唇の内側と外側に塗り、余ったら肛門まで塗って。乾燥が気になる場合は顔と同様に、クリームとオイルを重ね塗りしてもOK」(関口由紀先生)
専用洗浄料で洗う
マッサージで腟の内外を常に柔軟化
《内側》 オイルがついた人さし指を第2関節くらいまで腟に入れて(慣れるまでは入る範囲で)、腟壁を優しく押すようにマッサージする。5時から7時の方向の後壁は硬くなりやすいので親指で優しく押す。次に親指と人さし指で会陰をはさみ、痛くない範囲で会陰を伸ばすようなイメージでマッサージ。1回3〜5分ほど行って。
《外側》
マッサージオイルを手にとり、利き手の親指、人さし指、中指に塗り、陰部全体を手のひらで覆い、指の腹で優しくなでながらオイルを塗り、硬い部分があったら優しくほぐすようにもむ。次に小陰唇を指の腹でつまみながらオイルを塗る。ヒダの内側や腟の入口周辺にも塗る。最後に会陰をなでながらオイルを塗り込む。
未来の「骨盤臓器脱」予防にも50代からのケアは有効
「骨盤底筋のゆるみが進むと、腟から子宮や膀胱、直腸、腟などの骨盤内臓器が出てしまう骨盤臓器脱になることも。腟から何かがぶら下がっている感じや、ピンポン球大のものに触れる感じがするなどの症状があります。ペッサリーや手術などで治療しますが、今から骨盤底筋トレーニングをしておけば防げるので、ぜひ行って」(関口由紀先生)
⑦トイレのたびに憂うつになる「痔」
出る、切れる、痛い…「痔」
便秘や下痢、長時間の同じ姿勢などが痔の大きな原因
日本人の2〜3人に1人は“痔主”といわれ、なかでも多いのが痔核。排便時にいきむことや、便秘や下痢、長時間の同じ姿勢、冷え、ストレス、疲れなどで肛門まわりがうっ血することが原因です。また、女性に多い切れ痔も便秘が大きな原因。つまり痔は、便秘や下痢などの排便異常や生活習慣の改善がなにより大切ですが、腸などの病気が潜んでいることもあるので、違和感を覚えたら、早めに受診を。現在、痔の治療は進化し、手術になるケースはほんの1、2割、生活習慣や便通改善と、外用薬や内服薬での保存的治療が中心です。怖がらずにまず相談を」(草間 香先生)
⑧あなたの痔のタイプは?
痔核(いぼ痔)
肛門にいぼ状の腫れができたものがいぼ痔。男女ともに、痔の中で最も多いタイプの痔。直腸と肛門の境目の歯状線より直腸側にできる内痔核と、歯状線より下の肛門側にできる外痔核がある。
《原因》
痔核は肛門周辺のうっ血が原因で、これを助長する要因が、便秘や下痢、排便時のいきみ、長時間の同じ姿勢、妊娠・出産、冷えなど。実は便秘より下痢のほうが痔核になりやすく、便秘で下剤を飲んで勢いよく下痢便を出していると肛門に負担がかかって痔核に。内痔核は痛みはないが、排便時の出血や排便時に肛門からいぼが飛び出すことが。痔核は肛門周辺のうっ血が原因で、これを助長する要因が、便秘や下痢、排便時のいきみ、長時間の同じ姿勢、妊娠・出産、冷えなど。実は便秘より下痢のほうが痔核になりやすく、便秘で下剤を飲んで勢いよく下痢便を出していると肛門に負担がかかって痔核に。内痔核は痛みはないが、排便時の出血や排便時に肛門からいぼが飛び出すことが。
《治療》
基本的に、生活習慣の改善と薬による治療で様子を見る。薬は、痛みや腫れ、出血を抑える外用薬や座薬が用いられる。改善されない場合や、症状が進行している場合は、痔核に薬を注射して血流を低下させて痔核を小さくする「ALTA(ジオン)療法」や、痔核を輪ゴムで縛り、壊死させる「輪ゴム結紮(けっさつ)法」などのほか、切除手術などで治療。
裂肛(切れ痔)
硬い便が肛門から押し出されるとき、肛門付近が切れたり裂けたりするのが裂肛(切れ痔)。男性より女性に多い傾向がある。痛みがあるので排便を我慢して便秘になり、症状を悪化させることも。
《原因》
裂肛の最大の原因は便秘。便秘によって硬くなった便を無理に出そうとしていきみ、肛門の皮膚が切れてしまって起こる。妊娠をきっかけになる人も多い。また、下痢のように勢いよく出る便も原因に。排便時に肛門が激しく痛んだり、排便後におしりをふいたときにトイレットペーパーに鮮血がついたり、便に少量の鮮血がつくなどの症状が。
《治療》
排便コントロールなどの生活習慣の改善と薬での治療が基本。薬は整腸剤や下剤の内服、痛み止めの坐薬、肛門括約筋を弛緩させる軟膏などを用い、早期なら治ることが多い。改善しない場合や、裂肛を繰り返すことで、肛門が狭くなっている場合は、肛門括約筋をゆるめる方法や、潰瘍になった裂肛を切除し肛門を拡張する手術などを行う。
痔ろう(あな痔)
肛門付近に細菌が入って炎症を起こし、それが肛門周囲に広がると膿瘍(のうよう)(肛門周囲膿瘍)になり、膿がたまって肛門と肛門周囲の皮膚との間がトンネル状につながるのが痔ろう。女性より男性に多い。
《原因》
直腸と肛門の境目の歯状線には肛門陰窩(いんか)というくぼみがあり、通常はここに便は入らないが、下痢状の便だと入り込むことが。その際に免疫力が下がっていると便に含まれる大腸菌などによってくぼみとつながる肛門腺が炎症を起こし、肛門周囲に広がると痔ろうの前段階の肛門周囲膿瘍に。下痢しやすい人、肛門陰窩が深い人などがなりやすい。
《治療》
痔ろうの前段階の肛門周囲膿瘍なら、腫れている部分を切開して膿の出口をつくる「切開排膿」をすれば腫れが引いて痛みも治まる。同時に抗生物質で炎症を抑えれば自然に治ることもまれにあるが、膿の管が残った場合は、手術で切除しないと治らない。十数年にわたり痔ろうによる炎症が続くと、まれにがんが発生することも。
病院に行くタイミングは?
「痔になったら、まず市販薬を使ってみてもOK。坐薬と軟膏、内服薬があり、痔核の痛みや出血を止め、排便時の肛門を刺激から守るのが坐薬。痔核や裂肛の痛みや出血を止め、排便時の潤滑油にもなるのが軟膏。痔核を小さくしたり、硬い便を軟らかくするのが内服薬。2〜3日使って改善しなければ肛門科へ」(草間 香先生)
⑨痔を育てないセルフケア
1.腸を「正しく」動かすケア
2.同じ姿勢を長時間続けない
3.運動で血行改善
4.おしりも手足も冷やさない
5.辛いものは極力我慢
6.疲労で痔を悪化させない
7.温水洗浄便座を正しく使う
増えています! 肛門のかゆみ。どうしたらいい?
⑩骨盤底筋トレーニング
排尿・排便コントロールはすべて骨盤底筋が!
★ココが骨盤底筋
膀胱、尿道、子宮、直腸は、筋肉や靭帯、筋膜でできた骨盤底というハンモック状のプレートにのっている。この骨盤底の筋肉が骨盤底筋。臓器を支え、排泄をコントロールする働きも。つまり「シモ」不調解消の要となる筋肉なのだ。
骨盤底筋トレーニング
1.まずは肛門を締めてみる
自然な呼吸をしながら、おなかやおしりは動かさずに肛門をキュッと軽く締めたり、ゆるめたりを2〜3回繰り返す。次に肛門をギューッと2〜3秒締めたら、4〜6秒リラックスする。これを2〜3回繰り返して。
2.次に腟と尿道を締めてみる
自然な呼吸をしながら、おなかやおしりは動かさずにおしっこを我慢して止めるイメージで、腟と尿道を軽く締めたりゆるめたりを2〜3回繰り返す。次に腟と尿道をギューッと2〜3秒締め、4〜6秒リラックスを2〜3回。
3.肛門と尿道を一緒に締めて上方に引き上げる
最後に、肛門から腟、尿道(骨盤底筋全体)をまとめて締め、息を吐きながら上方に引き上げる。体の中に引き込むようにするのがコツ。会陰(腟と肛門の間)の筋肉の動きを意識しながら行って。
毎日の生活の中で自然に取り入れるのがコツ!
立っているとき
背すじを伸ばして姿勢よく立ち、手をおなかとおしりに当て、おなかとおしりが動かないように意識しながら、1〜3の動きを行って。最後に息を吸って力を抜き、リラックス。1セット5回。
座っているとき
姿勢を正して椅子に座った状態で、1〜3の動きを行う。最後に息を吸って力を抜き、リラックス。1セット5回。仕事の合間などにちょこちょこと行おう。
横になっているとき
あおむけになり、両膝を立てた状態で、1〜3の動きを行う。最後に息を吸って力を抜き、リラックス。1セット5回。朝起きたときや、夜寝る前などに行うのがおすすめ。
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