50代から気をつけたい!加齢によって増える目の不調・目の病気

老眼の始まりと重なるように、アラフィ―世代に押し寄せてくるさまざまな目の不調、目の病気。不快感の強いドライアイから自覚症状のないまま進行する緑内障まで、その最新知見と、人生100年時代のための目のケア方法を専門家にうかがった。

 

教えてくれたのは…

眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック院長 梶原一人先生

眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック院長 梶原一人先生

慶應義塾大学医学部卒業後、臨床眼科学を学び眼科医に。’90年に渡米し研究を重ねたのち、現在のクリニックを開設。著書に『ハーバード×スタンフォードの眼科医が教える 放っておくと怖い目の症状25』。YouTube『100年生きる! 眼科チャンネル』も好評。

50代が気をつけたい目の病気

体が大きく変わる50代から目の病気が起こりやすくなる

ものが見えづらい、ぼやけて見える、ドライアイがひどくなった……。加齢とともに起こる目の不調を「しばらく様子を見よう」「年齢だからしかたない」とスルーしていないだろうか。

 

「加齢で体の機能が衰えると病気にかかりやすくなるように、目のパーツにも例外なく老化が訪れるので、目のトラブルも発生しやすくなります。例えば、レンズの役目をする水晶体が硬くなる・にごるといった変化によって老眼や『白内障』が始まり、加齢により涙の質や量が変化すると『ドライアイ』に。近年、患者数が増加している『加齢黄斑変性』も、加齢に伴う体の酸化と深いかかわりがあることがわかってきました」

 

厄介なのは、自覚症状がないまま進行する『緑内障』。気づいたときには失明寸前というケースも少なくないそうだ。

 

「50歳を過ぎると目の疾患を発症する人が増えます。目が悪くなって脳への視覚刺激が減少すると、認知症になりやすいともいわれます。QOLを維持しながら寿命100年時代を生きるために、目の健康を守りましょう。そのためには病気の早期発見が必須。年1回は眼科検診を受けて、ものの見え方に今までにない変化が起きたら、すぐ眼科医に相談しましょう」

アラフィ―世代は、こんな見え方・目の症状にご用心!

目が疲れやすく、ショボショボする→「ドライアイ」かも?

目の不調・病気】50代が気をつけたい目の病気5つ。予防法は?

目の前に浮遊物のようなものが見える→「飛蚊(ひぶん)症」かも?

目が疲れやすく、ショボショボする→「ドライアイ」かも?

白っぽくぼやけたり、まぶしい感じがする→「白内障」かも?

目の前に浮遊物のようなものが見える→「飛蚊(ひぶん)症」かも?

片目だと部分的に見えにくいところがある→「緑内障」かも?

白っぽくぼやけたり、まぶしい感じがする→「白内障」かも?

視野の中心部がゆがんだり暗く見える→「加齢黄斑(おうはん)変性」かも?

片目だと部分的に見えにくいところがある→「緑内障」かも?

ドライアイ

ショボショボ、疲れ目、かゆみ。涙の“変化”が原因で生じる目の不調

強い痛みやまぶしさで日常生活に障害を来すことも

「目がかすむ、目が疲れる、ショボショボする――。こうした症状を訴えてクリニックで受診する患者さんのほとんどが、『ドライアイ』の悩みを抱えています。ドライアイの発症にはさまざまな原因がありますが、まずあげられるのが“加齢による涙の変化”です。人間の目は、涙が常に角膜を覆っていることで潤いが保たれています。ところが、年齢を重ねるにつれて涙を産生する機能が衰え、大事な涙の量が減ってしまうため、目が乾きやすくなってしまうのです」

量が減るとともに涙の質が変化することも、ドライアイの原因になっている。
「涙は粘液層(ムチン層)、水層、油層という3つの層によって構成されています。一番奥にある粘液層はネバネバした液体で、水分を目の表面にとどめる働きがあります。3層の外側にある油層には水層の蒸発を防ぐ大事な役割がありますが、やはり加齢とともに分泌量が減り、さらに質も落ちるため、蒸発防止機能が低下します。エクラ世代は目が非常に乾きやすい状態にあるといえるでしょう」

さらに、パソコンやスマホの画面を長時間凝視する現代の生活スタイルがドライアイ患者の増加に拍車をかけている。
「デジタル機器の画面をじっと見続けていると、まばたきの回数が激減します。まばたきには、まぶたの内側にある涙腺を刺激して涙を出し、目の表面を均一に潤す働きがあり、まばたきが減ると、目の表面が乾いてショボショボしたり目の疲れを感じやすくなるのです」

ドライアイを防いだり症状を緩和するには、「日常生活の中で目を労わる習慣をつけることが必要」と梶原先生。

「パソコンやスマホを使っているときは、15分に1回くらい休憩をとり、まぶたを10秒閉じて目を休めるようにしましょう。目に乾きを感じたら、保湿成分が入った目薬(防腐剤無添加のもの)を決められた回数さす、ホットタオルで温めて血行を促す、なども有効です。濃いアイメイクでマイボーム腺が詰まっていることもありますので、女性は要注意です。ドライアイは失明にいたる病気ではありませんが、症状が悪化すると、光をまぶしく感じる、目の奥が痛い、頭痛がするなど、日常生活に障害を来すこともあります。甘く考えず、適切なケアに取り組んでください」

眼科で涙の量や質、目の傷などを調べてドライアイと診断されると、水分やムチンの分泌を促す成分などが含まれた点眼薬を使う治療が行われる。

「さらに、涙に含まれる油分を分泌するマイボーム腺が詰まっている場合は、圧出する処置を行って通り道をつくります。それでも効果を得られないときは、出ていく涙の量を減らす方法をとります。『涙点プラグ』というもので涙の排出を妨げることにより、目の表面に残る涙の量を増やすのですが、この方法は人によって向き・不向きがあります」

加齢による涙の質・量の変化は人それぞれ

加齢による涙の質・量の変化は人それぞれ
涙腺の働きが落ちると、涙の水分量が減って目が乾きやすくなる。ムチンの供給が滞ると水分が角膜に均等に行き渡らず、角膜に傷がつく危険が。マイボーム腺が詰まると水分が蒸発しやすくなる。各成分の変化が重なるほど症状が悪化する。

目を潤す涙の3つの層と分泌器官

目を潤す涙の3つの層と分泌器官

目の表面を潤す働きをする涙は、3つの層からなっている。粘液層はムチンという成分が角膜に潤いを与え、まばたき時の潤滑油になる。水層は潤いの基礎になる部分。一番上の油分は水分が蒸発するのを防ぐ役割を担う。

目を潤す涙の3つの層と分泌器官

涙を構成する成分は別々の器官でつくられる。目の上外側にある涙腺は涙の水分を産生。油分を分泌するマイボーム腺は上下まぶたの縁に点在している。結膜はまぶたの裏にある粘膜で、ムチンをつくる杯細胞がある。涙は涙点を通って、鼻涙管へ排出される。

主な治療法は?

主な治療法は?

眼科で点眼薬の処方を受ける
潤いを保つヒアルロン酸や、涙の安定性を保つムチンなど、症状を緩和する成分を配合した点眼薬で治療する。原因は人それぞれなので、眼科で処方を受けること。

涙点へのプラグ挿入手術
涙の量を増やすことはできないので、排出量を抑えるために、「涙点」に極小のシリコンや液体コラーゲン製のプラグを入れて涙の出口をふさぐのが一般的な治療法。液体コラーゲンのプラグは徐々に溶解していくため、効果の持続期間は短い。

緑内障

自覚がないまま進行する恐ろしさ。日本人の失明原因No.1

早期発見が治療の“要”。年1回の眼科検診を習慣に

加齢とともに発症しやすくなり、40歳以上の約20人に1人が罹患しているというデータもある「緑内障」。アラフィ―世代にとって決して他人事ではない。

 

「緑内障は視神経に障害が起きることで視野が徐々に狭くなる病気で、日本では失明原因の第1位です。ほとんど自覚症状がないまま進行し、片目だと部分的に見えにくいところがあるような見え方はかなり進んだ状態。視野が欠けた部分が即見えなくなるわけではなく、脳が欠損部分の視覚情報を補完するため、かすんで見えることが多いのです。その結果、失明寸前まで気づかない人も少なくありません」

 

視神経に影響を及ぼすもののひとつに、眼球内部の圧力「眼圧」がある。

 

「眼球内には『房水』という液体が存在し、その排出がうまくいかないと眼圧が上がり、視神経が圧迫されて緑内障になるケースがあります。ただし、当院で治療を受ける患者さんの97%は眼圧は正常範囲内。この『正常眼圧緑内障』が日本人にはとても多いのです」

 

緑内障の原因ははっきりしておらず、もともと視神経が弱い、血流が滞りがち、眼球の構造変化、遺伝などの要因が考えられるという。

 

「残念ながら、一度欠けた視野を取り戻すことはできず、現時点では、視野欠損の進行スピードを遅らせるのみです。その治療法は眼圧を下げる点眼薬が中心で、正常眼圧緑内障の場合、眼圧を30%下げると、およそ80%の患者さんに病気の進行を抑制する効果が得られています。ただし、点眼薬の効果には個人差があるので、眼圧が思うように下がらない場合は、内服薬との併用や、レーザー治療も検討します」

 

少しでも視野を多く残すために必要なのは、検診による早期発見。

 

「まだ自覚症状がない段階で病気を発見できれば、治療法の選択肢は広がります。健康意識の高さの一環として、ぜひ緑内障の検査を習慣づけてください」

1《進行した緑内障の視野のイメージ》

《進行した緑内障の視野のイメージ》

2《正常な視野のイメージ》

1《正常な視野のイメージ》

QOLの低下につながる視野の欠損・狭窄

1のイラストは緑内障が進行して、視野の左下部が欠けた状態。欠けた視野の位置にあるもの、特に動体の認識が困難になる。2のイラスト(正常な視野)の子供の存在に気づきにくく、車の運転や自転車走行に大きな危険が伴うようになる。

房水の流れと眼圧の維持

房水の流れと眼圧の維持
毛様体でつくられる房水が、シュレム管から排出されることで、眼圧のバランスが一定に保たれる。なんらかの原因でその通り道である隅角が狭まったり、排出路のシュレム管が詰まると眼圧は上昇する。
気づきにくいからこそ、眼科検診を!

気づきにくいからこそ、眼科検診を!

緑内障の早期発見には、最新の検査機器を使う「OCT検査」と視野検査が必須。緑内障の検診には、赤外線で眼底を三次元分析するOCT(光干渉断層計)を備えた眼科を選ぼう。
“盲点”以外に見えない部分がないかチェック!

“盲点”以外に見えない部分がないかチェック!

左目をつぶり、右目の位置を★の正面に置いて★を見つめる。ゆっくりと顔を誌面に近づけていく。 15㎝くらいまで近づけると「R」が見えなくなる位置がある。左目も同じように行うと「L」が見えなくなる位置があり、これを「マリオット盲点」という。それ以外の場所でマス目がゆがむ、視野が欠けるなどの症状があれば、即、眼科へ。

主な治療法は?

点眼薬で進行を遅らせる
点眼薬には房水の排出を促す働きがあるものと、房水の産生を抑制する作用のあるものがあり、緑内障の種類や進行具合、眼圧などを考慮して選ぶ。自覚症状がないからと点眼をサボる人がいるが、治療には継続が不可欠だ。

房水の詰まりを低減する手術
眼球の房水がきちんと排出されないと、眼圧が上昇して病気が進行する。そこで、房水の出口である「隅角」を手術したりレーザーを当ててスペースを広げたり、新たな出口をつくって眼圧の低減を試みる。

白内障

避けられない水晶体の老化。進行したら、手術での対応を

白内障は白髪と同じで老化現象のひとつ

老眼と並んで、高齢者の目のトラブルとしてよく知られるのは「白内障」だろう。近年の統計によると、50代で約40%、60代で約70%、70歳以上になると約90%が発症していて、高齢化社会では誰もが罹(かか)る可能性がある病気だといえる。

「目のレンズである水晶体がにごって見えにくくなるのが『白内障』です。水晶体のタンパク質の構造が変化するのが理由で、透明な生卵の白身に熱を加えると白くなって固まるようなもの、といえばわかりやすいでしょうか。初期のうちはそれほど見え方が変わりませんが、進行するにつれて、視界が全体的にかすむ、視力が低下する、光をまぶしく感じる、薄暗いところではよく見えない、といった症状が現れるようになります」

ただし、加齢が原因の白内障は決して怖い病気ではないという。
「治療のタイミングを自分で決めることもできます」と、梶原先生。

「アトピー性皮膚炎や糖尿病などが原因の白内障を除くと、ほとんどが加齢によって起こり、いってみれば白髪と同じで老化現象のひとつです。点眼薬で進行を遅らせることもありますが、治療の基本は手術。にごった水晶体を超音波でたたき砕いて吸い出し、かわりに人工の眼内レンズを入れてクリアな視界を取り戻します。最近はレンズの開発が進んで、単焦点眼内レンズ(ひとつの距離にピントを合わせるレンズ)と多焦点眼内レンズ(複数の距離にゆるやかにピントを合わせられるレンズ)から、本人の希望で選べるようになりました」

多焦点レンズは、一枚で遠近のどちらも見ることができて便利だが、そのぶん、単焦点レンズより価格が高めであり、自由診療扱いとなるものが多い。一方の単焦点レンズは、メガネとの併用が必要になるものの、より視界はクリア。どちらのレンズにも長所・短所があるので、医師とよく相談してから選びたい。

「『手術はいつすればよいですか?』と患者さんによく聞かれますが、合併症を併発しないかぎり、白内障で視力を失うことはありません。仕事で目を使う、車の運転を頻繁にするなど、視力が落ちると困る人は早めに手術を。現在の見え方で不自由がなければ、仕事やライフイベントなどが一段落したタイミングで手術を受けてもよいでしょう」

ただし、視界が白っぽいのを白内障だと自己判断して、治療を先送りしたまま放置するのは危険だという。

「高血圧の人は血管にかかる圧力が高く、眼底にある動静脈が硬くなったりくびれたりして出血すると、血管からしみ出した成分によって網膜にむくみが生じ、白くにごって見えることがあります。また、糖尿病の場合も同様で、血液中の過剰な糖分が網膜の血管に内側からダメージを与えてむくみが起きると、視界が白くにごって見えます。緑内障も視野が欠けるというよりかすむことが多いので、視界が白っぽく見える=白内障とは決めつけず、見え方に違和感があれば、必ず眼科を受診してください」

水晶体の白濁によって光が散乱してしまう

水晶体の白濁によって光が散乱してしまう
白内障は、組織の老化によって水晶体がにごり、入ってきた光が散乱して収束しにくい状態。「かすむ」「まぶしく見える」などといった症状になる。

老眼の場合

老眼の場合
近くを見るときは毛様体筋の収縮により水晶体を厚くしてピントを合わせるが、加齢により水晶体がしなやかでなくなるとピント調節がうまくいかない。

《白内障は、手術によって治療できる!》

❶角膜を切開し、白くにごった水晶体の前嚢(水晶体を包む薄い膜の前部分)を切り取る。
❶角膜を切開し、白くにごった水晶体の前嚢(水晶体を包む薄い膜の前部分)を切り取る。
❷水晶体の核と皮質を超音波で細かく砕き、吸引して取り出す。
❷水晶体の核と皮質を超音波で細かく砕き、吸引して取り出す。
❸残した後嚢の中に眼内レンズを挿入する。短時間で終わる日帰り手術が中心で、術後の翌日から疲れない程度に目を使える。
❸残した後嚢の中に眼内レンズを挿入する。短時間で終わる日帰り手術が中心で、術後の翌日から疲れない程度に目を使える。
眼内レンズには多焦点と単焦点がある。
眼内レンズには多焦点と単焦点がある。単焦点レンズはピントが合う距離が一カ所で、“遠方”を選んだ場合、近いものを見るときはメガネが必要になる。多焦点レンズはゆるやかなピントで全域見えるが価格が高く、保険適用手術になりにくい。

主な治療法は?

水晶体を眼内レンズに交換する手術
白濁した水晶体をもとに戻すことはできないが、水晶体をレーザーで砕いて取り出し、人工のレンズと交換することで見え方を改善することが可能になる。手術の翌日からよく見えるようになる。

加齢黄斑変性

目の奥に現れる“体の酸化”。視界のゆがみに気づいたら即受診!

50歳以降は発症率がアップ。失明もある“現代型眼病”

欧米では失明原因の第1位である「加齢黄斑変性」。近年、日本でも高齢化や食生活の変化などによって患者数が増加傾向にあり、50歳を過ぎると発症リスクが一気に高まるという。
 
「網膜の中央にあり、視細胞が集中していて、ものを見るうえで重要な役割を担う『黄斑部』。この黄斑部が変形したり出血したりすると、視野の中心がゆがむ、見づらいといった症状(「こんな目の見え方・目の症状にご用心!」参照)が現れ、さらに進行すると失明にいたることも。黄斑部の異常は老化の影響が大きく、活性酸素による体の酸化ダメージが深くかかわっているとされています」
 
病状は2タイプに分類され、日本人に多いのが「滲出型」だ。
 
「滲出型は、網膜にできた原因不明の新生血管から血液成分が漏れ出したりして、網膜にゆがみが生じるもの。一方、黄斑部の細胞が長い時間をかけてダメージを受ける『萎縮型』は、欧米人に多いのが特徴です。視細胞の再生回復はむずかしいので、緑内障と同じく早期発見・治療が大切。アムスラーチャートのチェックを行ってください」

アムスラーチャートで片目ずつセルフチェック!

片目で中央の点を見たときに周囲がゆがんで見えたり、点が見えない場合、加齢黄斑変性が疑われる。
アムスラーチャートで片目ずつセルフチェック!

視野の中心・黄斑部で起きる加齢トラブル

視野の中心・黄斑部で起きる加齢トラブル
水晶体を通って眼球の中に届いた光は網膜全体で知覚するが、特に視細胞が密集しているのが「黄斑部」。視野の中で最も感度が高く、クリアに見える中心部分。
萎縮型 視細胞などが死滅している箇所
非常にもろい新生血管が破れることで視覚障害につながる「滲出型」
加齢黄斑変性には、老廃物がたまることで網膜外層に悪影響を及ぼす「萎縮型」と、非常にもろい新生血管が破れることで視覚障害につながる「滲出型」の2つがある。日本人は滲出型が圧倒的に多い。

主な治療法は?

新生血管の発生を抑える抗VEGF療法
血管の成長を促すタンパク質(VEGF)の働きを阻害する薬を注射する、新生血管をレーザーで焼いて熱凝固させるなど、「滲出型」には効果を期待できる治療法がある。

サプリメントの服用
「萎縮型」には有効な治療法がなく、活性酸素の悪影響を軽減するルテインや抗酸化ビタミン(ビタミンC、βカロチンなど)のサプリをとることがよいとされている。

飛蚊症

目の前に浮かぶヘンなもの。急激に増えた&消えたとなったら眼科へ!

加齢に伴う生理現象だが、網膜剥離の前兆には要注意

「明るい場所に出たときや白い壁などを見たときに、視界の中に小さなゴミが浮かんで見える――。このような症状を『飛蚊症』と呼びます。眼球内はゼリー状の物質・硝子体で満たされていますが、これが収縮することで硝子体中にしわが寄ったり、なんらかの理由で内部ににごりが生じると、先述の症状が現れます。硝子体がしぼむスピードには個人差がありますが、やはり年齢を重ねるとともに飛蚊症を発症する人が多いですね」
 
肌にシミやしわができるのと同じで、軽い飛蚊症は生理現象なので心配無用。最近ではレーザーでにごりを散らすことも可能にはなった(自由診療)。

硝子体の老化によって、こんなものが見える!

硝子体の老化によって、こんなものが見える!
硝子体の老化によって、こんなものが見える!
「ただし、別の病気が原因で飛蚊症の症状が現れることがあるので、注意してください。一番怖いのが『網膜剥離』です。硝子体がしぼむと、その外側にある網膜が引っぱられて穴があいたり、剥がれたりして網膜剥離が起こり、視野の一部が欠損。さらに進んで網膜の中心部(黄斑部)が剥がれると、失明の危険が高まります。網膜が剥がれてもまったく痛みを感じず、ほかに自覚症状がありません。もし、黒い点の量が急激に増えたり、その黒い点が2~3日で消えてしまうなど症状が突然変わったときは、網膜剥離の前兆かもしれないと考えて一刻も早く眼科を受診してください」
急に増えた場合は網膜剥離かも!?

急に増えた場合は網膜剥離かも!?
硝子体のにごりが浮遊物のように見えるのが飛蚊症。ただし、背景に危険な病気が隠れていることがあり、特に怖いのが網膜剥離と硝子体出血だ。後者の場合、出血が網膜に映ってインクが流れ出したような見え方になる。

主な治療法は?

生理的な飛蚊症は治療しないことが多い
生理現象の場合は治療しないのが一般的。レーザーを使って硝子体のにごりを散らす治療法もあるが、完全には取り除けないことが多い。

網膜剥離の前兆の場合は、レーザー治療、手術を行う
早期発見では、レーザー治療器を使って網膜が剥がれた部位周辺に熱を加え、網膜と下の層を固着させる。黄斑部が剥がれた場合は外科手術を行うが、視力が回復しなかったり、後遺症が残ることがある。

目の健康をキープする5つの習慣

PC画面を見るときの目の角度や、食事の内容など、日々の習慣を見直して、少しでも目に優しい生活を送ろう。

習慣1:PCモニター、スマホは目より低い位置に

PCモニター、スマホは目より低い位置に
モニター画面を注視すると、まばたきが減って目が乾きやすくなるので、少しでも目線が下を向く位置にモニターを置くのが正解だ。まぶたが下がって目を覆うので、水分の蒸発する面積を減らすことができる。ちなみに、モニター類の発するブルーライトが目に悪いかは不明。覚醒作用があるのは確かなので、よりよい睡眠のため寝る前は控えて。

習慣2:デスクワーク中は15分に1回は遠くを見る

デスクワーク中は15分に1回は遠くを見る
近くばかり凝視していると、水晶体を調節している毛様体筋に大きな負担がかかる。できれば15分に1回くらい、窓の外の景色や5mくらい先に置いてあるものを眺めて、筋肉の緊張をほぐそう(※緑である必要はない)。また、エアコンの風も目を乾燥させ、眼精疲労を招く原因になる。空調が直接顔に当たらないよう、デスクの位置を考えよう。

習慣3:疲れ目やドライアイの予防に目を温める

疲れ目やドライアイの予防に目を温める
疲れ目には温めるのが効果的だ。水にぬらしてよく絞ったタオルを電子レンジで1分くらい温め、まぶたにのせて3分間、目をリラックスさせる。血流が促され、長時間近くのものを見続けて緊張した筋肉がじんわりとほぐれて、疲れがとれやすくなる。また、温めることでマイボーム腺の詰まりがゆるみ、油分の分泌が促されるので、ドライアイ対策としてもおすすめだ。

習慣4:目の周囲をタッピングして血行を促進

目の周囲をタッピングして血行を促進
目のまわりには、目の疲れをやわらげるツボが多数集中している。ほどよい強さでツボを刺激するとスッキリするが、ツボの場所がよくわからないという人はタッピング(指先で軽くたたく)するだけでもOKだ。両手の人さし指~小指をそろえて顔に当てて、パタパタという感じで目の周囲を軽くたたいて刺激する。仕事や家事の合間にも、目の疲れを感じたら、15秒程度行ってみて。

習慣5:抗酸化物質を補って、細胞や血管を若々しく

目の組織の抗酸化や血管の老化防止に必要なのは、抗酸化物質。ルテインを多く含むブロッコリー、ほうれん草、かぼちゃ、にんじん、黄斑部の色素を増やすゼアキサンチンの豊富なブロッコリー、とうもろこし、みかん、EPAやDHAたっぷりの青魚類を食事に取り入れて。糖の吸収を抑えて肥満予防(=血管の老化防止)につながる食物繊維もとっておきたい。

EPA・DHA

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食物繊維

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ルテイン、ゼアキサンチン、アントシアニンなどのポリフェノール

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