一足お先に山種美術館開館60周年記念展へ。川合玉堂の世界に浸り、静けさを纏うひととき。
開館60周年記念特別展
川合玉堂
~なつかしい日本の情景~
会期:2026年5月16日~7月26日
会場:山種美術館
※写真撮影については、内覧会に限り美術館から許可が出ています。
こちらに掲載中の写真は全て川合玉堂の作品です。
日本初の日本画専門美術館として開館した山種美術館は、今年60周年を迎えます。
それを記念する第一弾の特別展「川合玉堂~なつかしい日本の情景~」を鑑賞してきました。
メインビジュアルの「早乙女」1945年 山種美術館蔵
東京画壇において中心的な役割を果たし文化勲章も受賞した玉堂の、初期から晩年までの名作の数々と静寂の中で向き合うことができる大変に貴重な時間でした。
「早乙女」の部分 微笑ましい田植えの様子
「鵜飼」 1895年 山種美術館蔵
「写生帖」1891-94年頃 玉堂美術館蔵
展示風景
「瀑布」1909年頃 玉堂美術館蔵
日本の四季の自然や田園風景、そしてそこに暮らす人々の情感が伝わってくる玉堂の世界。
彼の初期の代表作「鵜飼」から大正期の大作「紅白梅」、玉堂芸術の真骨頂ともいえる「春風春水」や「早乙女」まで、彼の画業の足跡を辿る本展は、郷愁を誘うとともに、日本の自然の素晴らしさ、幽玄の美を改めて感じさせてくれるものでした。
「石楠花」1930年 山種美術館蔵
「竹生嶋山」1928年 山種美術館蔵
研鑽の時代から玉堂芸術の確立、そして画業の円熟期までの作品を丁寧に見ていくことで、伝統的な山水画から近代的な風景画へと新たな境地を開いていく様子が肌で感じられます。
「鵜飼」1939年頃 山種美術館蔵
繊細な筆致で描かれた作品を前に心が静寂に包まれ、穏やかさに満たされていく感覚はとても心地よく、これは50代になった今だからこそ感じられる境地なのだな…と思いながら鑑賞。
展示室風景
展示室風景
「紅白梅」1919年頃 玉堂美術館蔵
「紅白梅」は、玉堂が一時期熱心に研究していた琳派の影響を色濃く示す代表作として知られています。
金地を背景に紅梅と白梅を配した装飾的な画面は、尾形光琳の紅白梅図屏風の表現を試みたもの。
幹も俵屋宗達から引き継がれた「たらし込み」技法により、非常に美しく描かれています。
画面中央の枝には愛らしい小鳥たちの姿も見られます。
自然の中の小さな命を大切にする彼の温かなまなざしを
この作品からも感じ取ることができました。
「紅白梅」部分
「紅白梅」部分
この他にも飼い猫、熊や猿、うさぎといった動物や昆虫など、身近な題材を描いた愛らしい作品も。
玉堂の慈愛に満ちた人柄が伝わってきます。
「猫」1951年頃 山種美術館蔵
「虎」1943年-45年頃 山種美術館蔵
「氷上(スケート)」1953年 山種美術館蔵 1936年に12歳でオリンピックに出場したフィギュアスケーター稲田悦子を描いた作品
古き良き日本の原風景や優しい眼差しを感じながら玉堂の世界に浸る時間は、私の内面に驚くほどの穏やかさをもたらしてくれました。
今回の展覧会では、決して華やかではない日本画と対峙したときの自身の心情の新たな一面を発見し、少し驚いています。
昭和度 悠紀地方風俗歌屏風(小下図)1928年玉堂美術館所蔵
「荒海」1944年山種美術館蔵 文部省戦時特別美術展に出品された作品
鑑賞後にもお楽しみが。繊細な和菓子と共に 展覧会の余韻に浸って。
懐かしい日本の情景を心ゆくまで鑑賞した後には、ミュージアムカフェ《椿》で余韻に浸りながらのティータイム。
今回も展覧会の出品作品にちなんだ青山菊屋さんの和菓子をいただきました。
ミュージアムカフェ椿で会期中に味わえる和菓子。展覧会出品中の作品に因んだ練切りは青山の老舗菓匠「菊屋」に特別にオーダーしたオリジナル。
忙しい現代を生きる私たちには、こんな風に穏やかな状態になり自己の内面を見つめ、静けさを纏う時間が必要なのだと常々思っています。
友人と訪れた山種美術館でのひとときは、示唆に富んでいて、今回も心にたくさんの栄養を与えてくれました✨