夫婦は一緒にいなくてもいい。でも弱音や愚痴も吐ける関係に【引田かおりさん ターセンさん 50代からの夫婦のルール後編】

夫婦は一緒にいなくてもいい。でも弱音や愚痴も吐ける関係に【引田かおりさん ターセンさん 50代からの夫婦のルール後編】

夫婦は一緒にいなくてもいい。でも弱音や愚痴も吐ける関係に【引田かおりさん ターセンさん 50代からの夫婦のルール後編】

「夫婦の関係は育てていくもの」と話す、引田かおりさん・ターセンさん夫妻。ときには喧嘩も辞さず、意見を交わし合って。暮らしを共にするパートナーとして、どんなルールを築いていたか。ひき続き、引田夫妻が実践している「夫婦のルール」を伺った。

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引田かおりさん ターセンさん
引田かおりさん ターセンさん
引田かおりさん ターセンさん

かおりさん(左)は元専業主婦、ターセンさん(右)は元IT企業勤務。ターセンさんの早期リタイア後、2003年東京・吉祥寺に「ギャラリーfève」、パン屋「ダンディゾン」を開く。現在結婚してから47年目、年齢差は11歳、独立した一男一女あり。共著に『しあわせな二人』『しあわせのつくり方』(ともにKADOKAWA)、かおりさんの著書に『「どっちでもいい」をやめてみる』『日々更新。』(ともにポプラ社)など多数。

いつも仲のいい引田夫妻のルール

5.日中は別行動でも、お互いのスケジュールは把握

吉祥寺ギャラリーfeveの引田かおりさん、ターセンさん、お互いのスケジュールを共有しているところ

ギャラリーやパン屋を一緒に営むと言っても、夫婦同時に行う仕事はほとんどなく、日中はほとんど別行動。さらには仕事の合間に美容院やトレーニング、会食、孫たちの習い事の送り迎えなど、さまざまな予定が入ってくるので、お互いの予定を手帳に書き合い、情報をこまめに共有している。

「よく驚かれるのですが、メールアドレスも夫婦でひとつ。それらを見ていれば、お互いの仕事の状況やプライベートの様子もほぼ頭に入ります。そうやってスケジュールをこまめに確認し合うことで、スムーズに助け合えます」(かおりさん)

6.新聞や本を読み、意見を交換し合う

引田夫妻はふたりとも、かなりの読書家。しかし共通の趣味と言えども、かおりさんは内田洋子、木皿泉、梨木果歩、彬子女王など女性作家の小説やエッセイ、ターセンさんは歴史もの(特に戦国時代もの)や経済に関する本と、好みのジャンルはバラバラ。

吉祥寺ギャラリーfeve引田かおりさんの愛読書、内田洋子、木皿泉、梨木果歩、彬子女王
吉祥寺ギャラリーfeve引田ターセンさんの愛読書、歴史もの、戦国ものなど

「私は彼のテリトリーにはあまり興味がないけれど、彼はお構いなしに『面白かったよ!』と内容を話してくる。『ふーん、そうなんだ』と流しながらも(笑)、そこから会話が生まれたりします」(かおりさん)

「僕は彼女が買ってきた本もたいてい読んでいるし、とくに『いいよ』と薦められたものは必ず読む。彼女の感性は素晴らしいし、僕は男の沽券とかないから、新しいカルチャーがどんどん入ってきて、面白いんだよね」(ターセンさん)

吉祥寺ギャラリーfeve引田かおりさん、ターセンさんの愛読書、内田洋子、木皿泉、梨木果歩、彬子女王

 また引田家は今も紙の新聞を取り続け、ふたりとも毎朝必ず目を通すのが日課だ。かおりさんは社会面や家庭面、ターセンさんは国際面や経済面と、注目するページは違うものの、同じものを読み続けることで、自然と会話や意見の交換が生まれてくるそう。

7.家の整理整頓、模様替えはふたりで

吉祥寺ギャラリーfeve引田かおりさん、ターセンさん部屋の模様替えをしているところ

「模様替えは趣味のひとつ」というかおりさん。ソファや椅子の位置を変えたり、インテリアファブリックを取り換えたりは、日常のこと。人を家に招く日は、普段は柱につけているテーブルを回遊できる位置に移動を。

「カーリン(かおりさんの愛称)は結構せっかちで(笑)、『こうすればいいかも』と思いついたら、すぐ行動。家という生活の場では彼女がリーダーなので、いつでも協力しています」(ターセンさん)

「ソファのカバーの架け替えも、ふたりで何度かやるうちに上手になりました。夫婦一緒に体を動かすいい機会ですね。食器棚や引き出しの中、クローゼット内の整理なども、声を掛け合いながら定期的に行っています」(かおりさん)

ターセンさんは機能性重視の分類が得意で、かおりさんは見た目よく収めるのが上手。整然と美しい収納たちも、夫婦共同作業のなせる技なのだ。

8.夫には弱音も吐く、愚痴も言う。 ケンカしてもいいから、気持ちを伝えることは大事。

ギャラリーfeve引田かおりさん、ターセンさん、ふたりで食事をしているところ

そして夫婦円満の最大のルールは、「本音を伝え合うこと」。お互いに感じていること、考えていることを口にして言葉で伝える。

「モヤモヤと不満を抱え続けて、友人と集まって夫のグチ大会をしても、何の解決にもなりませんよね。それならば、時には衝突も恐れずに、言いたいことを言い合って、喧嘩もいっぱいしたほうがいいと思います」とかおりさん。

「ギャラリーを始めたころ、何だかモヤモヤする時期があって、それは人気者のカーリンに嫉妬していたんだと気づけた。そういう自分の感情から逃げないで、向き合うことも夫婦には大事なんだよね」とターセンさん。

吉祥寺ギャラリーfeve引田かおりさんチャーハンを食べているところ

 時には弱音や愚痴も言い合うことがあるが、弱さを吐き出せるのも夫婦だからこそ。

「男と女は違う生き物だから、分かり合えるなんてことはないのかもしれません。でも、分からないなりに相手の言い分を受け取ったり、分かってもらえないと思っても言葉で言ってみたり。その積み重ねが、夫婦の歴史になるように思います」

ほどよい距離感を保ちながら、でも歩み寄りも

一朝一夕でおしゃれな人や、センスのある人になれないように、いきなり仲良し夫婦になんて、なれないもの。大切なのはあきらめず、歩み寄ろうとする姿勢の積み重ね。

「いきなり大袈裟なことをしなくてもいいと思いますよ。とにかく小さいことからコツコツと」。そう笑うかおりさん。「いいこと言うなあ」と、それを楽しそうに見守るターセンさん。

吉祥寺ギャラリーfeve引田かおりさんの自宅のインテリア。花が飾ってあるところ

ふたりの風通しのよさは、ほどよい距離感と思いやり、コミュニケーションの賜物なのだと感じられた。

撮影/大森忠明 取材・文/田中のり子

前編はこちら

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