【子宮疾患の手術体験手記 前編】20年前からひどい生理痛。52歳で子宮腺筋症と子宮筋腫で子宮が14cmに!すぐに子宮摘出と言われたが…

女性特有の病気の中でも、特に40代・50代に多い子宮疾患。忙しさにかまけて症状を我慢し続け、52歳でついにダウンしてしまったA子さん。「ロボット支援下手術」と出会い、完治に至るまでの道のりをリアルに綴る体験手記。

「ロボット支援下手術」に出会うまでの葛藤

【体験手記を寄せてくれたかた】

A子さん
A子さん
A子さん

1970年生まれ。現在56歳。大手音楽関連会社に約30年勤務したのち、53歳でフリーランスの音楽プロデューサーとして独立。音楽を中心にさまざまなコンサートやイベントを企画している。

A子さんがロボット支援下腹腔鏡手術を受けた横浜市立市民病院の病室

A子さんがロボット支援下腹腔鏡手術を受けた病院の病室

20年前から生理痛がひどかったが、忙しさで病院にはいかなかった……

 33 歳の頃、音楽マネジメントの仕事に就いていた私は、毎日コンサートがある現場に出向き、その代休もとらぬまま働くようなとても忙しい日々を過ごしていました。 忙しいながらも自身の希望の仕事をしていたので、ストレスや疲れは感じることなく働いていましたが、生理痛だけはひどく、それには毎月悩まされていました。 あるとき、あまりの辛さに会社でうずくまっていた際に、女性の上司から「自分の通っている婦人科を紹介するからすぐに行きなさい!」といわれ、六本木にある病院に向かいました。そこは何冊も本を出版している有名な女性医師のいる婦人科でした。検査の結果、子宮線筋症であると告げられ、この病気は妊娠に影響が出る場合があるので、これ以上悪化しないようにと、漢方薬「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」を処方され、しばらく飲んで様子をみるようにいわれました。何度か漢方薬をもらうため通院しましたが、そのうちに忙しさにかまけて病院から遠ざかりました。

 それからは、生理の期間は腹痛のきつい月もありましたが、たいていが我慢の利く程度でしたので、病院にいくこともなく年月が流れていきました。 仕事中心のワーキングウーマンにはよくあることだと思います。

52歳で「何かおかしい……」。子宮腺筋症と多発子宮筋腫で子宮全体が14cm ほどになっていた!

 仕事に夢中でチャレンジし、子供を産むこともなく 50 歳を迎えたころ、生理の経血の量が多くなり始めました。52 歳になる頃には、オムツタイプのナプキンでないと漏れてしまうほどの出血になり、自分でも何かがおかしい、と思うようになりました。しかし、仕事の休みをとるのが難しかったり、年々ひどくなる生理痛に 「もしも大変な病気だったらどうしよう……」という不安も加わり、婦人科を訪れるのが恐怖で億劫になっていました。

 そんなこんなで日々過ごしているうちに、息切れや動悸・めまいで体調を崩すことが多くなり、生理中のある日、立ち上がれないほどの貧血に見舞われました。 タクシーを呼んで病院にいくと、ヘモグロビン値が「3」 という低さで、病院に自力でこられたのは奇跡だといわれ、即、輸血のための入院になりました。

 入院中検査をすると、子宮腺筋症と多発子宮筋腫で子宮全体が14cm ほどになっており、悪性ではないが、これはすぐに摘出しないとさらに生理の出血や痛みがひどくなると告げられました(病名:子宮腺筋症、および子宮筋腫)。 また、この大きさだと子宮も摘出になるとの判断で、ある大学病院を紹介されました (前出の病院は非常に評判のいい病院でしたが、婦人科を専門としていない個人病院でしたので、大学病院を紹介いただきました)。

手術は開腹ではなく、腹腔鏡を希望したが……

 紹介元の病院からの紹介状と検査結果を持参し、大学病院に出向きました。足りない検査を行い、診ていただきましたが、やはり筋腫が大きいので子宮摘出になるとのことでした。すでにこれから子供を作るという年齢ではなかったので、子宮摘出にはさほど抵抗はなかったのですが、「手術は絶対に開腹ではなく腹腔鏡手術を希望したい」と主治医に相談しました。仕事を長く休みたくなかったのと、開腹は身体への負担が大きいと聞いていたからです。 

 ところが、「この大きさだと、腹腔鏡手術はできないので、開腹手術になる」との答えでした。「どうにか腹腔鏡手術ができないか」と、何度聞いても、無理とのことでした。また、それ以前に、私が手術に臨むまでには、ヘモグロビンの値を正常にする必要もあり、手術は5ヶ月後に行うことになりました。

 開腹手術になることが腑に落ちず、この待ちの期間に、ネットで調べたり、経験者に相談したりすると、「その大きさでも 腹腔鏡手術をできる病院があるはずだ」といってくれる人がいたので、主治医に相談をしてセカンドオピニオンを求めたいと告げました。

 その際に、先生に「私の筋腫の大きさでも腹腔鏡手術ができる病院があるそうだが、何故こちらの大学病院ではそれができないのか?」と聞いてみると、「このような大きさ(14cm)の筋腫は、腹腔鏡手術だと時間がかかるので難しい。開腹手術をするしかない」とのことでした。そして、「どうしても腹腔鏡手術を受けたいのならば、有名な病院が2、3ある」と紹介されました(初診のときから、手術をするなら腹腔鏡手術にしたいと希望を伝えていたにもかかわらず、筋腫の大きさから手術は開腹でないと無理、と診断されていたことが、大学病院のガイドラインによるものだということを知りました)。

ロボット支援下手術で開腹せずに治療ができる⁉

横浜市立市民病院の病室からの眺め

病室からはサッカー場が見え、元気をもらっていたというA子さん

 紹介を受けた病院の中から、婦人科の腹腔鏡手術を数多く手がける今井一章先生が務めていた横浜市立市民病院を選び、紹介状を書いてもらいました。

 この病院で当時婦人科内視鏡手術センター長だった今井一章先生に、大学病院の紹介状と CT 画像などを見ていただく と、開口一番に「できますよ、腹腔鏡手術」 とシンプルな回答が即座に返ってきました。驚いて「え! 大丈夫なんですか?」と聞き返すと「全然できますよ、大丈夫です、ロボット支援下手術ですけれど」との回答。「もし、手術したいのであれば来月のこの日にできますよ」と、あっさり手術日の候補をくださいました。 そして、どんな手術になるかを説明してくださり、「今回の腹腔鏡手術は『ダビンチ』(※)という ロボット支援機器を使います」とのことでした。

注1 本記事はA子さんが手術を受けた当時の体験に基づくものです。手術の適応や診療体制は、医療機関、患者さんの病状、術者および医療チームの経験などによって異なります。

注2 今井一章先生は、現在、横須賀共済病院 産婦人科部長を務めています。横須賀共済病院では、巨大子宮筋腫や子宮腺筋症、強い癒着を伴う子宮内膜症など、一般には開腹手術が検討されることの多い症例に対しても、患者さんの病状を慎重に評価したうえで、ロボット支援下手術を含む低侵襲手術に取り組んでいます。  

da Vinciペイシェントカートと今井一章先生

横須賀共済病院の手術支援ロボット「ダビンチ」と、同院産婦人科部長の今井一章先生

「ダヴィンチ」のコンソール(実際に手術をしている様子)

横須賀共済病院で行われているロボット支援下手術の様子

※ダビンチ手術とは
手術支援ロボット「ダビンチ」を使って行う、体への負担が少ない腹腔鏡下手術方法のひとつ。ロボット手術といっても、ロボットが自動で手術をするのではなく、手術を行うのはあくまでも医師。医師がサージョンコンソールという操作席に座り、3D拡大画像を見ながらロボットアームを動かして、細かい操作を行う。お腹に小さな穴を数か所開けて手術を行うため、開腹手術に比べて傷が小さい、術後の痛みが少ない、回復が早いといったメリットが期待できる。婦人科良性腫瘍(子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、異形成など)のほか、婦人科がん(子宮体がん、子宮頸がん)に対してもロボット支援下の腹腔鏡手術が可能な場合がある。

横須賀共済病院 産婦人科部長 今井一章先生
今井一章先生
横須賀共済病院 産婦人科部長
今井一章先生
横須賀共済病院 産婦人科部長

日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医、日本内視鏡外科学会技術認定医、ロボット手術認定医、婦人科ロボット支援手術プロクター。'07年、聖マリアンナ医科大学医学科卒業。'20年、横浜市立市民病院 副医長、'25年、同婦人科担当部長・婦人科内視鏡手術センター長を経て、'26年より横須賀共済病院 産婦人科部長。

監修、資料写真提供/今井一章先生(横須賀共済病院) 

後編はこちら

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