この一年間に出版された本で、自信をもっておすすめするエクラ世代への“推し本”は? 文芸評論家・斎藤美奈子さんが世の中の動きとともに解説!
さいとう みなこ●’56年生まれ。’94年『妊娠小説』でデビュー。’02年『文章読本さん江』で小林秀雄賞を受賞。著書に『ラスト1行でわかる名作300選』(中央公論新社)、『絶望はしてません ポスト安倍時代を読む』(筑摩書房)など多数。
女同士の共生関係にも多様性が。“シスターフッド小説”が、近年真っ盛り!
(右から)
『ババヤガの夜』
王谷 晶
河出文庫 ¥748
『カフェーの帰り道』
嶋津 輝 東京創元社 ¥1,870
『謎の香りはパン屋から』
土屋うさぎ
宝島社 ¥1,650
『カフネ』
阿部暁子
講談社 ¥1,870
暴力団会長の娘とボディガードの女性の絆を描いた『ババヤガの夜』が優れた犯罪・ミステリー小説に贈られるイギリスのダガー賞を受賞。大人のシスターフッドがテーマという点でも話題になりました。この一年で売れた本を見てもシスターフッドものが目立ちましたね。昨年の本屋大賞受賞作『カフネ』と『このミステリーがすごい!』大賞受賞作『謎の香りはパン屋から』が’25年のベストセラーランキング上位に。直木賞受賞作『カフェーの帰り道』もそうですが、どれも単なる仲よしではない女性の共生関係が描かれています。背景にあるのは、女性の生き方や境遇が多様になったこと。“恋愛や結婚がむずかしくなった”といわれる今、異性愛には限界が見えてきましたが、同性同士には今までにない関係や展開が生まれ、多彩なドラマが書かれるようになった。この傾向は数年前からありましたが、今年はいちだんと盛り上がりましたね」
撮影/大木慎太郎 スタイリスト/洲脇佑美 取材・原文/山本圭子 ※エクラ2026年9月号掲載