日々、本の情報に触れ、本と読者をつなぐ最前線に立っている書店員のかたがたが、この一年に出版された本の中から、選りすぐりの3冊をセレクト!大垣書店書店事業部・中澤めぐみさん、ジュンク堂書店池袋本店・西山有紀さん、代官山 蔦屋書店・間室道子さんのおすすめ本を紹介。
『南洋標本館』
葉山博子
早川書房 ¥2,420
「日本統治下の台湾で植物学者を志した若者ふたりを描いた大作。戦時下で必死に生きる名もなき人たちの姿に胸を打たれた。すばらしい筆力で個人的には直木賞!」
『私たちはたしかに光ってたんだ』
金子玲介
文藝春秋 ¥1,650
「大好きだからこそやめたバンドが10年後、紅白出場と知った瑞葉。彼女が感じた眩(まぶ)しさも苦さもかけがえのないものだと思う。ド直球の青春小説、やっぱりいい」
『風を飼う方法』
小原 晩
河出書房新社 ¥1,650
「何の変哲もない日常の描写や、何げない会話、風のようにつかみどころのない自然さが積み重なって生まれる唯一無二の物語。いつまでも読み終えたくない一冊」
『サチコ』
群ようこ
幻冬舎 ¥1,870
「大手企業勤めで不自由のない人生だった主人公が、早期退職し町の食堂で働くことに。人は何歳からでも成長できると思え、不器用な彼女を応援したくなった」
『カフェーの帰り道』
嶋津 輝
東京創元社 ¥1,870
「震災や戦争があっても力強く生きる女性たちの物語。日常の喜びや悲しみがていねいに描かれ、温かい気持ちに。大正ロマンやレトロが好きなかたにおすすめ」
『さよならジャバウォック』
伊坂幸太郎
双葉社 ¥1,870
「"暴力夫を殺したのは私?"と途方に暮れる女性。そこから始まるミステリーは疾走感いっぱい。すべての伏線がつながったラストは感動的で思わず泣きそうになった」
『傷つきやすいものたち』
ドナテッラ・ディ・ピエトラントニオ 関口英子/訳
小学館 ¥2,750
「故郷で暮らす主人公と老父、娘、夫との関係は単純な対立構造ではない。生きているかぎり痛みと無縁の世代はないと思わされる。ラストは白日夢のような美しさ」
『ママがロックンロールしてたころ』
東山彰良
集英社 ¥1,870
「小学生のとき2日間だけ一緒に過ごした母、バイト先の後輩など主人公を成長させた、ただならない女たちが魅力的。実在の名曲もたくさん出てくる青春音楽小説」
『外の世界の話を聞かせて』
江國香織
集英社 ¥1,980
「私設図書館を運営するあやめさんと3歳からそこに入り浸る高校生・陽日を中心に、現代と’70年代の人々を描く。パラダイスのような時と場所を描いた傑作」
撮影/大木慎太郎 スタイリスト/洲脇佑美 取材・原文/山本圭子 ※エクラ2026年9月号掲載
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