悩んでいる人必見!更年期障害の治療法「HRT(ホルモン補充療法)」を始めたらどんな変化が?小田ユイコさん体験リポートまとめ

更年期障害の代表的な治療法「HRT(ホルモン補充療法)」。美容ジャーナリスト・小田ユイコさんが迷いにまよってついにHRTを決断!小田さんがHRTを始めるにいたるまでの経緯やその後の変化についてリポート。さらに、アラフィー世代がHRTを始めるために知っておきたい基本知識もご紹介。
プロフィール
美容ジャーナリスト 小田ユイコ

美容ジャーナリスト 小田ユイコ

おだ ゆいこ●各メディアで美容記事を執筆。Web éclatでは、50代のカラダのお悩みを解決するヘルスケア連載を担当。現在57歳。
「HRT」について教えてくれた人
婦人科医 野崎雅裕先生

婦人科医 野崎雅裕先生

福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニック院長。医学博士。九州大学医学部卒業。女性ホルモン治療のエキスパート。http://nozakiwomens.com/

「HRT(ホルモン補充療法)」を始めたきっかけ

昨年の秋、夏でもないのに寝汗がひどくなり、毎晩のように夜中に起きて着替えなければならないほどに。Web éclatの取材で、それが更年期によるものだと知り、ついに始めた「HRT(ホルモン補充療法)」。これまで更年期症状はあっても、ずっと見送ってきたHRT。今になって決断した理由をお伝えします。

小田ユイコの更年期年表

38歳

カラダがやたらと重だるくなり更年期の予兆を感じる

42歳

仕事のしすぎによる激やせを境に更年期始まる。週1のホットフラッシュに悩まされる

43歳 ピルに頼るが長続きせず
45歳

HRTを検討するも断念

48歳

生理不順がスタート 抜け毛、白髪がどっと増える。

51歳

閉経。体重増加、顔たるみがデフォルトに

56歳

HRTを決断!

地味につらく、長い道のりだった小田ユイコの更年期
私がHRTを始めるにいたるまで

「私の更年期症状はたいしたことない」と思っていたけれど、今回振り返ってみると、更年期による不調を強がって耐えていただけだった、と。時代が「今」ならHRTでもっとラクにのりきれていたのかも。

実は更年期症状まみれの18年。だましだまし生きてました

実は更年期症状まみれの18年。だましだまし生きてました
「更年期だ」と自覚した42歳。突如のホットフラッシュに悩まされていた

最初に「これってプレ更年期?」と感じたのは、30代の後半。勤めていた出版社を32歳でやめてフリーランスのライターになり、以来いただける仕事は断らない日々。子供がいないこともあり、夫からは「24時間営業」といわれるほど働き詰めでした。38歳のころからカラダがやたらと重だるくなり、毎日はうように仕事。38歳といえば、女性ホルモンの分泌が徐々に減りはじめるころ。働きすぎの影響が人よりも強く出ていたようです。

過労がたたって42歳のときに激やせ。ちょうど女性ホルモンの急降下が始まるころと重なり、以来更年期症状が雨あられのように。週1ペースでホットフラッシュが起こるようになり、眠りが浅い、イライラ、不安感、ゆううつ感、動悸、四十肩などを経験。日本女性の場合、平均で45歳くらいから更年期が始まるといわれていますから、これまた少し早いなあと。慌てて婦人科を受診し、低用量ピルを処方してもらうことに。始めのうちはよかったのですが、しだいに不正出血が増え、ずっと生理用ナプキンで備えることにいや気がさし、続けることを断念しました。

HRTは、乳がんや子宮体がんのリスクが怖かった

なぜかホットフラッシュがこなくなってホッとしていたのもつかの間、45歳のころ、お風呂の排水溝に信じられないくらいの髪の毛がたまっているのを見てゾッと……。ある日起きたら髪がすべて抜け落ちている悪夢まで見ました(笑)。そのころ婦人科の先生からHRT(ホルモン補充療法)をすすめられたのですが踏み出せず。その理由は、乳がんや子宮体がんのリスクへの懸念。当時、保険治療で用いられていた女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)はどちらも合成型ホルモンで、天然型ホルモンの選択肢はありませんでした。自由診療のクリニックでは天然型エストロゲンを処方してもらえましたが、続けるには相当な費用がかかることもネックでした。

更年期本番となった48歳。やる気が失せ、大好きだった旅行もおっくうに
更年期本番となった48歳。やる気が失せ、大好きだった旅行もおっくうに

48歳、それまでどんなに体調が悪くても28日周期できていた生理が不順になり「とうとうきたか」と。それまでもあった更年期症状に加え、気力がダウン。仕事以外ではあまり外出したくなくなり、大好きだった旅行もしなくなりました。白髪が増え、月1で根元染めをしても間に合わなくなったのもこのころ。

生理が1年以上こなくなり、51で閉経。以後も更年期症状は続き、額の生えぎわが後退したり、肌がたるんだりと見た目のエイジングが顕著に。また、デリケートゾーンの乾きも気になるように。漢方、サプリメント、自然療法などを試しましたが、どれも長続きしませんでした。

だましだましやり過ごしてきた更年期も、そろそろ明ける?と期待していた56歳の秋、突如毎晩ひどい寝汗をかくようになりました。たまらずWeb éclatの連載で野崎雅裕先生に取材をすると、それは夜中のホットフラッシュだと判明。「えー、まだまだ更年期は続くの?」とがっかりしたところに、野崎先生からとてもにこやかに「小田さん、HRTをやってみたら?」と。お話にとても納得がいき、すぐに始めることを決断したのです。

【アラフィー世代のHRT事情】

Jマダム100人にアンケート。少し前の小田と同じく、HRTの知識とイメージはあまり更新されていないよう。

Q1. HRTを知っていますか?

「聞いたことはある」「知らない」合わせて70%以上。多くのエクラ読者にとって更年期対策の選択肢になっていないことがわかる。

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Q2.HRTをしていますか? もしくはしたことがありますか?

天然型の女性ホルモンが早くから普及している欧米諸国と比べると、圧倒的に少ないHRT利用率。これからはもっと増えていくのかも。

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Q3.HRTをやってみたいですか?

「更年期の症状がひどくなったら」という意見が多数。「やりたくない」派は、副作用やがんのリスクが気になるのが理由だそう。

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Q4.HRTで気になることは?

「気になってはいるが、副作用がありそうで躊躇している」

「お金がかかるイメージ。いつまで続ければいいのかも気になる」

「どこの婦人科にかかればいいのか、探すことすら大変そう」

「HRT」を決断した5つの決め手

美容ジャーナリスト 小田ユイコさんが迷いに迷って、ついに決断! 12年前は決断にいたらなかったHRTを始めたきっかけは? 婦人科医の野崎雅裕先生への取材で5つのポイントが決め手となり、すぐにスタートすることに。

そもそもHRTとは?

ホルモン補充療法。年齢とともに減少する女性ホルモンを少しだけ補って下支えし、更年期症状を包括的に改善させる治療法。治療には、エストロゲンと、エストロゲンによる副作用を抑えるためのプロゲステロンの、2種類の女性ホルモン薬を併用する。

HRTを決断した5つの決め手

HRTを決断した5つの決め手

1.ホットフラッシュにすぐに効果が出る

なんといっても惹かれたのが、困っていた寝汗がすぐに治まるといわれたこと。「寝汗は夜中のホットフラッシュ。HRTは、まずホットフラッシュから効果が現れ、数日~ 2週間程度で治まります。その後、徐々にほかの症状にも効いてくるのです」(野崎先生)

ほかにも…

・肌の潤いとハリがアップ

・抜け毛が減り、髪にツヤとコシが出る

・デリケートゾーンの乾き防止

Hot Flashに対するHRTの効果

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HRTにより一日のホットフラッシュの回数が2週間で半減。ひと晩あたりのホットフラッシュ(寝汗)による中途覚醒も徐々にゼロへ。

Placebo baseline:days-3 to -1 CEE0.625mg for 27days 
Scharf et al.Clin Ther. 1997;19:304

2.2種類の女性ホルモンのうち 天然型プロゲステロンも日本で認可

がんのリスクが上昇しないと海外で報告されている天然型の女性ホルモンを使えるように。「10年ほど前から天然型エストロゲンの治療が本格化し、おととし天然型プロゲステロンも認可。乳がん、子宮体がんのリスクが、HRTを受けていない人と同じに」(野崎先生)。

3.天然型女性ホルモンによる治療が保険適用に

「おととしの11月からは天然型プロゲステロンも、天然型エストロゲンと同様に保険適用となり、治療が受けやすく」(野崎先生)。HRTのネックだったがんのリスク軽減と、治療費の問題をクリアしたのは、大きな決断のポイントに。

4.骨粗しょう症対策、血管の老化防止にもなる

目に見える効果だけでなく、骨粗しょう症や血管の老化防止にもなる点も、HRTを始める後押しに。「骨の萎縮は骨折はもちろん、顔だちのエイジングにも影響。血管の若さは高血圧や認知症の予防にも。骨と血管のケアは、早めに始めたほうがいいのです」(野崎先生)。

5.飲むだけ、はるだけ、塗るだけで簡単だった

「飲み薬の場合は一日1回。パッチ薬の場合は1~3日おきにはり替え。塗り薬の場合、一日に1回片腕に」(野崎先生)。婦人科医と相談のうえ、続けやすい方法を選択できる。ただし保険適用の天然型プロゲステロンは「エフメノ」という飲み薬一択。

悩んでいる人必見!更年期障害の治療法「HRT(ホルモン補充療法)」を始めたらどんな変化が?小田ユイコさん体験リポートまとめ_1_10

どんな変化があった?小田ユイコのHRT DIARY

美容ジャーナリスト・小田ユイコさんが更年期症状軽減のために始めたホルモン補充療法「HRT」。ひたすら不調に耐えてきた日々が嘘のよう。HRTの始め方やどんな変化があったかを、詳しくリポート!

通っているのはこちら!
さがらレディスクリニック 相良洋子院長

さがらレディスクリニック 相良洋子院長

東京大学医学部卒業。医学博士。長野赤十字病院、東京厚生年金病院、三楽病院などを経て、2000年、東京・五反田にさがらレディスクリニックを開院。女性のライフステージに寄り添い、長年通院する患者さん多数。https://www.sagara-clinic.com/

Start!

まずはカウンセリングと各種検査を受ける

「問診と血液検査で、症状が更年期によるものであること、乳がん、子宮体がんほかのチェックでHRTを受けられない要素がないことを確認。私の場合、エストロゲンは『ジュリナ』、プロゲステロンは『エフメノ』といういずれも天然型ホルモンの飲み薬で治療することに」

悩んでいる人必見!更年期障害の治療法「HRT(ホルモン補充療法)」を始めたらどんな変化が?小田ユイコさん体験リポートまとめ_1_12

更年期指数とうつ病の調査

このクリニックでは更年期症状の評価に「クッパーマン指数」を使用。「SDS(うつ性自己評価尺度)」の結果も治療の参考に。

血液検査

女性ホルモン(エストラジオール)、卵胞刺激ホルモン(FSH)の値をチェック。肝機能やコレステロール値など関連事項も確認。

子宮がん検診

子宮頸がんと子宮体がんの有無、卵巣の状態をチェック。また、ほかで受けていた乳がん検診の結果も確認してもらった。

3日目

寝汗をかかない! 中途覚醒もなく、朝を迎える

「夜寝る前に2種類の飲み薬を1錠ずつ飲むだけ。本当に効くのかな?と半信半疑でしたが、なんと3日目からは、中途覚醒なく朝を迎え、汗びっしょりになっていないことに驚き。久々によく眠れ、気分もすっきり」

From Doctor

天然型エストロゲン薬は一般的には経皮吸収型と呼ばれる貼付剤やゲル剤が推奨されていますが(肝臓に与える影響が少ないので)、小田さんの場合、皮膚が弱いという理由から錠剤の「ジュリナ」を処方しました。

7日目

手足の冷えを感じなくなった

「夜、ぐっすり眠れるようになったせいか、日中エネルギッシュに活動できるように。30分でヘトヘトだったテニスが、休みなしで1時間できるようになった! ふと気づくと、手足の冷えも感じなくなっていました」

From Doctor

この方法でHRTを始めると最初のうちは乳房が張ったり、不正出血が起こることが。3~6カ月ほどで落ち着いてきます。

1カ月目

疲れを感じにくくなり仕事がはかどるようになった

「体力が復活するとともに気力もアップ。撮影や取材など仕事現場でのアイデア出しやコミュニケーションも楽しくなってきました。イライラが減り、ものごとを整理して考えられるようになり、原稿もはかどるように」

2カ月目

髪のボリュームがアップし美容院でほめられた

「肌にハリツヤと透明感が出て、仕事で出会う若いモデルさんやタレントさんに『いったい何を使っているんですか』と聞かれるように。また、髪にハリとコシが出て、通っている美容院のかたからほめられ、ホクホク(笑)」

髪のボリュームがアップし美容院でほめられた

HRTを始めてみて

「現在3カ月目。更年期の自覚症状すべてにおいて、気にならないレベルまで軽減。ほんの微量、女性ホルモンを補っただけなのに、体だけでなく、心の澱(おり)までなくなったよう。正直、生まれ変わったような気分ですし、仕事に趣味にとこれからの人生が楽しくなってきた自分に驚いています。HRTの今を知り、かつて心配だった点を納得したうえでスタートできたのが本当によかった! 気になる費用ですが、エストロゲンの「ジュリナ」を一日2錠、プロゲステロンの「エフメノ」を一日1錠の処方で、3カ月30000円強。ここから私の場合、保険適用になったので1カ月あたりおよそ3000円で治療ができていて、これなら続けられそうです」
※実感には個人差があります。

気になっていた腰痛も消え、趣味のテニスに没頭中

気になっていた腰痛も消え、趣味のテニスに没頭中

不安なく「HRT」を始めるために知っておきたい“基本の知識”

少しハードルが高く感じられる「HRT(ホルモン補充療法)」。さらに詳しく知りたい人のために、婦人科医・野崎雅裕先生がHRTにまつわる疑問にお答え!

Q1.エクオールと併用できる?

A.できます。

女性ホルモンのエストロゲンに似た構造をもち、更年期をサポートするサプリメント、エクオール。HRTでは女性ホルモンの量をほんの少し補助する程度ですので、併用できます。

Q2.やめるとどうなるの?

A.もとに戻っていきます。

症状が軽くなり、治ったと思っていきなりやめると、もとに戻り、かなりつらく感じられることが多いです。やめるときは、テーパリング法といって、徐々に女性ホルモンの補充する量を減らしていきます。

Q3.HRTを受けられない人は?

A.乳がん、子宮がんの疑いがある人など。肝機能が心配な人も要注意。

乳がん、子宮体がんのかた、血栓症の既往歴があるかたは受けられません。乳がん、子宮体がん、卵巣がんの手術を受けたことがあるかたも受けられない可能性が。子宮筋腫、子宮内膜症、乳腺症、胆石症、肝機能障害、高血圧、糖尿病、肥満、心臓病、ヘビースモーカーのかたは注意が必要です。主治医と相談しましょう。

Q4.クリニックの探し方は?

A.「女性の健康とメノポーズ協会」で検索してみましょう。

「女性の健康とメノポーズ協会」のホームページを見ていただくと、婦人科や更年期外来のマップがあります。お近くのクリニックを検索し、HRTについて問い合わせるのもおすすめです。https://www.meno-sg.net

HRT基本知識

Q5.いつまで続けるの?

A.細く長く、70代まで続ける人も。

HRTの治療期間は数カ月、2~3年、数年から10年以上と人それぞれ。主治医との相談のうえ、条件さえ整えば、細く長く続けるのが理想的。私のクリニックでは70代で続けているかたも。ただし、保険が適用される年齢の上限は自治体によって異なります。

Q6.漢方の治療とどう違う?

A.より更年期症状に幅広く効きます。

HRTはもともと出ていた女性ホルモンを補う治療ですので、漢方薬より幅広い更年期症状が改善します。ただし、HRTだけでは改善しにくい不安感には「抑肝散(よくかんさん)」、興奮には「甘麦湯(かんばくたいそうとう)」などを併用することも。

Q7.どこで受けられる?

A.「婦人科」を受診してください。

産婦人科の中でも、HRTを取り入れているところと取り入れていないところが。お産より婦人科をよりアピールしているクリニック、更年期外来のあるクリニックを探しましょう。

Q8.いつから始めるといい?

A.45歳くらいから。

38歳で始める人もいれば、閉経してから始める人もいますが、ひとつの目安は45歳。つらい更年期症状がなくても、アンチエイジング目的で45歳くらいからHRTを始めるかたも。

Q9.デメリットはあるの?

A.HRTを受けられる人にとっては、あまりないといえます。

天然型ホルモン薬を使用し、女性ホルモンの波や減少を下支えする治療なら、HRTを受けられる人にとってデメリットはほとんどないといえます。むしろ、条件さえ合えば健康寿命をのばすことにもつながるので、細く長く続けることをおすすめします。

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