野菜も肉もジューシー!料理家「ウー・ウェンさんの蒸しレシピ」で初夏の献立充実

野菜や肉を丸ごとシンプルに蒸す──。この手軽さは今までの蒸し物のイメージにはなかったもの。素材のうま味を存分に味わえて、自由自在に味の変化を楽しめる。「こんなに簡単でいいの?」と思うウー・ウェンさんの蒸しレシピ、ぜひ気軽にお試しを!
教えてくれた人
ウー・ウェン

ウー・ウェン

うー・うぇん●料理研究家。北京生まれ。クッキングサロンを主宰。医食同源の理にかなったレシピは、シンプルで体に優しいと人気。近著に『ウー・ウェンの煮もの あえもの』(高橋書店)など。

素材のおいしさを引き出す蒸し料理をもっと身近に!

素材のおいしさを引き出す蒸し料理をもっと身近に!

「さまざまな調理法の中で、最も素材のおいしさを引き出せるのが蒸し料理です。素材にストレスを与えず、うま味も栄養も逃しません。蒸している間は手間がかからないからほかの作業ができるし、油汚れもないからラクですね。時間がたってもおいしく食べられて、いいことずくめなのです。

特におすすめなのは野菜蒸し。中国では体温より低いものを体に入れないという考え方があるので、夏でもトマトなど、ごく一部の野菜を除いて生野菜はあまり食べません。野菜を蒸して食べるのは、“体によい水分をとる”ためです。体を冷やすことなく、野菜のもつ栄養のある水分をとることができるので胃腸にも負担がかかりません。肉は蒸すとうま味が閉じ込められて、しっとりジューシーに。脂も落ちるので、ヘルシーになります。少しまとめて蒸しておけば、保存もできるので、いろいろな味で楽しむことができますね」

ウーさんの、「蒸し器」の話。

せいろ

せいろ

「せいろは種類がたくさんあるけれど、高いものを買う必要はありません。安いものを毎日使うほうがおすすめ! 頻繁に使うことが長持ちさせるコツです。野菜はそのままで、肉や魚のときは汚れないようにクッキングシートを敷いて」

スチームトレイつき鍋

スチームトレイつき鍋

「スチームトレイは金属製なので、野菜はもちろん、肉や魚の場合もクッキングシートを敷く必要はありません。汚れやにおいがついても、さっと洗えば大丈夫。種類はいろいろですが、蓋がドーム型のものを選べば、たくさん入ります」

かけるだけ、のせるだけ。丸ごと蒸しなす〈タレ3種〉

「中国では“蒸しなすは飲み物”といわれるほど、水分が豊富。その体によい水分を逃さないよう、丸ごと蒸すのがポイントです。蒸すときは必ず、湯気の上がった鍋にせいろをのせるのが鉄則。タレと薬味やハーブを変えると、バリエーション豊かに楽しめます」

かけるだけ、のせるだけ。丸ごと蒸しなす〈タレ3種〉

<蒸し時間7分>

・強火2分

・弱火5分

➡10分おく

材料(作りやすい分量)

なす……10本

〈タレA〉

 粗塩……小さじ1/2

 ごま油……大さじ1/2

 香菜(3㎝長さに切る)……1本分

〈タレB〉

 練りごま(白)……大さじ1

 しょうゆ、黒酢……各大さじ1/2

 みょうが(小口切り)……1個分

〈タレC〉

 粗塩……小さじ1/2

 バルサミコ酢、オリーブオイル……各大さじ1

 粗びきこしょう……少々

 バジル(千切り)……3枚分

作り方

1.なすはヘタをとってピーラーで皮を薄めにむき、さっと洗う。

2.1をせいろに並べ、蒸気の上がった鍋にのせて蓋をし、強火で2分、弱火で5分蒸す。火を止めてそのまま10分おく。

3.タレA~Cは香菜、みょうが、バジル以外の材料をそれぞれ混ぜ合わせる。2のなす適量を器に盛り、好みタレをかけ、香味野菜をのせる(写真はタレBをかけたもの)

*蒸しなすは余ったら、冷蔵庫で2日間ほど保存できます。

なす

ピーラーの刃が当たったところに黒くアクが出てくることがあるので、さっと洗うときれいになる。このあと、すぐ蒸すのもポイント

なす
タレ

タレA:香りのよいごま油と塩、香菜をのせて中華風に。タレB:練りごまの濃厚な風味を、黒酢の酸味が引き締める。みょうがの香りの和風味で。タレC:オリーブオイルに塩、こしょう、バルサミコ酢のイタリアン風。バジルの香りを添えて

なす

もっと気軽に野菜を蒸す!

野菜は時間があるときにまとめて蒸しておくと便利。余ったら冷蔵庫で保存を。肉や魚の付け合わせ、あえ物などに活用すると、栄養バランスも彩りもよくなる。

【キャベツ】

【キャベツ】

<蒸し時間5分>

・強火1分

・弱火4分

➡5分おく

「キャベツは葉が詰まっていて、ほどよい大きさのものを。芯をつけたまま大きく切って蒸すと、歯ざわりよく仕上がります」粒マスタードの酸味と辛味、香りとともに。

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キャベツの粒マスタードソース

キャベツの粒マスタードソース

材料(2人分)

キャベツ……1/2個

〈粒マスタードソース〉

 粒マスタード……大さじ1½

 粗塩……小さじ2/3

 ごま油……大さじ1

ディル……適量

作り方

1.キャベツは芯をつけたまま、4等分のくし形に切る。

2.1を蒸し器のトレイにのせ、蒸気の上がった鍋にのせて蓋をし、強火で1分、弱火で4分蒸す。火を止めてそのまま5分おく。

3.ソースは最初に粒マスタードと粗塩を混ぜ合わせ、ごま油を加えて混ぜる。2のキャベツを器に盛り、粒マスタードソースをかけ、ちぎったディルをのせる。

【さつまいも】

【さつまいも】

<蒸し時間7分>

・強火3分

・弱火30分

➡20分おく

さつまいもの甘味にりんごの酸味とねぎの香り。

「これは家族全員が大好きなメニューで、いくらでも食べられるおいしさです。紅はるかや安納芋などおいしいさつまいもで」

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さつまいものりんごソース

さつまいものりんごソース

材料(2人分)

さつまいも.1本(約200g)

〈りんごソース〉

A  りんごのすりおろし(皮ごと)……1/8個分

   レモン汁……大さじ1

   粗塩……小さじ1/3

   こしょう……少々

長ねぎ……10㎝

太白ごま油……大さじ1½

作り方

1.さつまいもは皮ごとよく洗って、蒸し器のトレイにのせる。蒸気の上がった鍋にのせて蓋をし、強火で3分、弱火で30分蒸す。火を止めてそのまま20分おく。

2.ねぎは薄い小口切りにし、炒め鍋に太白ごま油とともに入れる。弱めの中火にかけてねぎの水分をとばし、香ばしくなったら火を止めて、Aを加えて混ぜ合わせる。

3.1のさつまいもを1㎝幅の輪切りにし、器に盛って2のりんごソースをかける。

【かぶ】

【かぶ】

<蒸し時間7分>

・強火2分

・弱火5分

➡10分おく

「かぶは中くらいの大きさで真っ白なもの、葉がきれいなものを選んでください。自家製ラー油は炒めて香りを立てるのがコツ」。スパイシーなタレがかぶの甘味の引き立て役。

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かぶの自家製ラー油がけ

かぶの自家製ラー油がけ

材料(2人分)

かぶ……3個

〈自家製ラー油〉

A  豆豉(トウチ)……5g

  酒……大さじ2

粗挽き唐辛子……大さじ1

しょうゆ……大さじ1

花椒ホワジャオ)……小さじ1/3

ごま油……大さじ2

作り方

1.かぶは茎を少し残して葉を切り落とし、4等分のくし形に切って蒸し器のトレイにのせる。蒸気の上がった鍋にのせて蓋をし、強火で2分、弱火で5分蒸す。火を止めてそのまま10分おく。

2.Aの豆豉はざっと刻んで、酒と合わせて5分おく。


3.炒め鍋にごま油、粗挽き唐辛子を入れて弱火にかけ、香りが出たら粗挽き唐辛子を焦がさないうちに2を加えて炒め合わせる。しょうゆを加えて香りが出るまで煮詰め、花椒粉で香りをつける。1のかぶに加えてあえ、器に盛る。

【パプリカ】

【パプリカ】

<蒸し時間7分>

・強火2分

・弱火5分

➡10分おく

「パプリカはビタミンCが多く、彩りもいいのでおすすめ!お弁当などにも最適です。大きめに切って蒸すとジューシーに」。ナッツとしょうゆ、黒酢の組み合わせが新鮮。

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パプリカのナッツソース

パプリカのナッツソース

材料(2~3人分)

パプリカ(赤・黄)……各1個

〈ナッツソース〉

 松の実、アーモンド(無塩、素焼き)……各15g

 しょうゆ、黒酢……各大さじ1

 粗塩……小さじ1/3

 こしょう……少々

 ごま油……大さじ1/2

作り方

1.パプリカは縦に4~6等分に切り、ヘタと種を除く。

2.1を蒸し器のトレイにのせ、蒸気の上がった鍋にのせて蓋をし、強火で2分、弱火で5分蒸す。火を止めてそのまま10分おく。

3.ナッツソースの松の実とアーモンドは炒って粗くつぶし、残りの材料と混ぜ合わせる。2のパプリカを器に盛り、ナッツソースをかける。

お肉も蒸しておけば、あっという間に一品!

肉の蒸し物で一番おすすめなのは「鶏肉」。さまざまな料理に活用できるので、少し多めに蒸して保存すると便利。照り焼き、炒め物、麺、サラダなどにも。

【蒸し鶏】

「鶏肉は塩麹をつけて一晩おくと、味がよくなじんでおいしくなります。身を内側にして皮でロール状に包むのも大事なポイント。蒸している間、身のうま味と肉汁を閉じ込めて、皮の余分な脂は落ちて、ふっくらジューシーな仕上がりに」

<蒸し時間20分>

・強火3分

・弱火17分

➡10分おく

【蒸し鶏】

材料(作りやすい分量)

鶏もも肉……2枚

塩麹……大さじ2~3

作り方

1.鶏肉の身に塩麹をまんべんなくつけ、皮を外側にしてロール状に巻く。ラップをして冷蔵庫に入れて一晩おく。

2.せいろにクッキングシートを敷き、1の鶏肉の皮を上にしてロール状のままのせる。蒸気の上がった鍋にのせて蓋をし、強火で3分、弱火で17分蒸す。火を止めてそのまま10分おく。

*蒸し鶏は冷蔵庫で2日間ほど保存できます。

【蒸し鶏】

棒々鶏

黒酢としょうがの風味が効いたごまダレがさわやかな一皿。

「先に鶏肉にタレの味をからめるのがコツです。肉に味がしっかりついていると、あとからきゅうりや香味野菜を加えても、メリハリが効いておいしくなります」

棒々鶏

材料(2人分)

蒸し鶏(上記参照)……1枚

きゅうり……1本

青じそ……10枚

みょうが……1個

〈タレ〉

 練りごま(白)…… 大さじ1

 しょうゆ……大さじ2/3

 黒酢、しょうがのすりおろし……各大さじ1/2

作り方

1.蒸し鶏はスライスする。きゅうりは皮をむいてたたきつぶし、4等分の長さに切る。青じそとみょうがは千切りにする。タレは混ぜておく。

2.蒸し鶏にタレを加えてよく混ぜ合わせ、きゅうり、青じそ、みょうがとあえて器に盛る。

蒸し鶏のレタス巻き

甘味と辛味のあるタレで、シンプルに蒸し鶏を味わう料理。歯ざわりのいいレタスに包んで。

「皮でロール状に巻いて蒸すと、切ったときに断面の見た目もきれいになります。冷蔵庫で保存した場合は、もう一度蒸し直して」

蒸し鶏のレタス巻き

材料(2人分)

蒸し鶏(上記参照)……1枚

レタス……適量

〈タレ〉

 甜麺醤(テンメンジャン)……大さじ1

 豆板醤(トウバンジャン)…… 小さじ1

作り方

1.蒸し鶏はスライスし、レタスとともに器に盛る。


2.タレの材料を混ぜ合わせて①に添える。レタスに蒸し鶏をのせ、タレをつけて包んでいただく。

せいろでそのまま!「ごちそう蒸し料理」

せいろで蒸すメリットは、蒸したてをすぐ、そのまま食卓に出せること。ちょっとごちそう感が出て盛り上がるし、なによりほかほかのおいしさが味わえる。

かぼちゃの豚肉巻き蒸し

しょうが風味の豚肉と、ほっくり甘いかぼちゃが好相性。

「肉に下味をつけたあと、上新粉をまぶすのがコツ。上新粉は肉のうま味や肉汁を閉じ込める役目をします。せいろに入れるときは蒸気の通りやすさを意識して並べて」。

かぼちゃの豚肉巻き蒸し

<蒸し時間10分>

・強火2分

・弱火8分

➡10分おく

材料(2人分)

豚しょうが焼き用肉……6枚

かぼちゃ……200g

〈下味〉

 こしょう……少々

 酒……大さじ1

 しょうがのすりおろし、しょうゆ……各大さじ1

 粗塩……小さじ1/3

上新粉……大さじ1

香菜……適量

作り方

1.豚肉に下味の材料を混ぜ合わせてつけ、20分おく。上新粉をまぶす。

2.かぼちゃは6等分の薄切りにし、1の豚肉で巻く。


3.せいろにクッキングシートを敷き、2を並べる。蒸気の上がった鍋にのせて蓋をし、強火で2分、弱火で8分蒸す。火を止めてそのまま10分おく。香菜の葉を摘んで添える。

かぼちゃの豚肉巻き蒸し

白身魚とそら豆蒸し

旬の魚を塩と辛味ダレだけでシンプルに味わう一品。

「白身魚の種類は季節のものをお好みで使ってください。魚も上新粉をまぶすと、しっとりふっくら蒸し上がります。そら豆は火が通りやすくなるよう、真ん中まで包丁を入れて」。

白身魚とそら豆蒸し

<蒸し時間7分>

・強火2分

・弱火3+2分

➡5分おく

材料(2人分)

白身魚(鯛など、切り身)……2切れ

そら豆(さやから出す)……60g

〈下味〉

 こしょう……小さじ1/4

 酒…… 大さじ2

 粗塩…… 小さじ1/3

上新粉……大さじ1 ½

〈タレ〉

 豆板醤、ごま油……各大さじ1/2

作り方

1.白身魚は1切れを半分に切り、下味をつけ、20分おいて、蒸す直前に上新粉をまぶす。そら豆は薄皮の黒い筋のある部分に切り目を入れる。


2.せいろにクッキングシートを敷き、白身魚を並べる(そら豆を入れるスペースを少し空けておく)。蒸気の上がった鍋にのせて蓋をし、強火で2分、弱火で3分蒸す。

3.2にそら豆を加えて2分蒸し、火を止めてそのまま5分おく。タレの材料を混ぜ合わせて添え、白身魚につけながらいただく。

白身魚とそら豆蒸し
  • まるで食の万華鏡!オトナの美食欲を満たしてくれる「大阪」グルメ大特集

    まるで食の万華鏡!オトナの美食欲を満たしてくれる「大阪」グルメ大特集

    今、大阪が熱い!’25年の日本国際博覧会に向け、街全体が勢いづいている。古くは北前船の拠点であった大阪には多くの昆布がもたらされ、だし文化を育んできた。大阪湾や瀬戸内海の海の幸、河内平野の野菜など食材も豊富。そして全国から商人が集まる都市として料亭文化や美食家を育む土壌となったことも、「食の都」といわれる理由だ。「天下の貨たからの七分は浪華にあり」といわれた浪速のパワーと魅力を感じに、いざ出陣。

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