呼吸器からくる不調の原因は?「咳喘息」「誤嚥性肺炎」について医師が解説

長引く咳や、喉の痛み、声がれなど喉のトラブルの原因となる疾患の中で、エクラ世代に多い「咳喘息」「誤嚥性肺炎」をピックアップ。自分に当てはまるものがないかチェックしてみて。
教えてくれたのは…
耳鼻咽喉科医 鳴戸理佐先生

耳鼻咽喉科医 鳴戸理佐先生

五反田なると耳鼻咽喉科院長。日本耳鼻咽喉科学会専門医。藤田保健衛生大学医学部卒業後、医療法人尚豊会みたき総合病院で医長を務めたのち、開業。分子整合栄養学も学ぶ。
呼吸器内科医 大谷義夫先生

呼吸器内科医 大谷義夫先生

池袋大谷クリニック院長。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医。テレビ番組などでも情報を発信。著書は『「よくむせる」「せき込む」人のお助けBOOK』(主婦の友社)など。

咳喘息

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こんな症状
□2〜3週間以上、咳が続く
□軽度の刺激で咳込む

ヒューヒュー、ゼーゼーする気管支喘息になる一歩手前の状態。咳だけが2〜3週間以上続くなら咳喘息が疑われる。ハウスダストやダニ、花粉などのアレルゲンも関与することのあるアレルギー疾患で、風邪やインフルエンザなどの感染症をきっかけに起きやすい。寒暖差や低気圧などの天候、疲労、ストレス、アルコールなどが悪化要因。気管支喘息に移行すると治りにくいので咳が長引いたら呼吸器科へ。吸入ステロイドでの治療が基本。自己判断で薬を止めると再発することもあるので医師の指示どおりに使用を。

【セルフケアは?】

「咳喘息は風邪などをきっかけに起きやすいので、十分な睡眠をとり、適度な運動習慣をつけて免疫力を高めて風邪予防を」(大谷先生)。部屋をこまめに掃除して、アレルゲンの除去も心がけて。肺活量キープのため呼吸筋ストレッチで呼吸筋を鍛えるのもおすすめ。

<呼吸筋ストレッチ>

呼吸筋ストレッチ

❶足を肩幅程度に開いて立ち、胸の前で手を組み、息を吐ききる。

呼吸筋ストレッチ

❷息を吸いながら背中を丸めて腕を伸ばし、吐きながら腕と背中をもとの状態に戻す。これを一日10回。

誤嚥性肺炎

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こんな症状
□咳が続く
□痰が出る

□発熱、だるさ、食欲がない

誤嚥によって起こる肺炎。飲食物を誤嚥してしまっても、咳反射が起こって外に出そうとするので肺炎になることはめったにないが、問題なのは夜間の睡眠中に唾液などを誤嚥する場合。夜間は咳反射が低下するので、口内の細菌を含む唾液が気道に落ちると肺炎を起こしやすい。加齢とともに喉の機能や免疫力が低下するため誤嚥性肺炎を起こしやすく、50代でもなる人が多い。肺炎がどうかはX線やCTなど画像検査も行って診断し、原因になっている病原体も調べる。治療は抗生物質などで行う。

【セルフケアは?】

誤嚥をして細菌を含んだ唾液が気道に落ちると肺炎を起こしやすいので、口腔ケアをしっかり行って口の中を清潔に保つこと。「50代以降は飲み込み力が低下しやすいので、人とよくしゃべるようにして飲み込む筋肉を鍛えることもポイント」(大谷先生)。

<編集部セレクト>

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口内の汚れや細菌をカテキン成分で吸着し、除去。シャインブラン マスカットボトルタイプ 500ml¥2,838/エイチ・ビー・エル

現代の生活環境の変化から喉のトラブルが増加

ここ数年、喉の不調を訴える人が以前に比べてずいぶん増えている、と話すのが耳鼻咽喉科の鳴戸先生。

「特にウイルスや細菌の感染による上咽頭炎にかかる人が多く、症状が長引く人も多数。喉は最初にウイルスや菌が入ってくる部分なので防御機能が発達しています。が、黄砂や花粉、化学物質など空気中に飛散するものが多すぎる現代環境の中では、防御しきれず喉に過剰に負担がかかっている可能性大。女性ホルモンが減少するエクラ世代なら、体の回復力も落ちるので喉にもより不調が起きやすいと考えられます」(鳴戸先生)


長引く咳を伴う喉の不調なら、呼吸器からくるものも。

「50代女性に限ったことではないですが、近年多いのが咳喘息。アレルギー疾患ですが、風邪、寒暖差、ダニやホコリの暴露、疲労、ストレスなどを契機に発症し、しつこい咳が一番の特徴です」(大谷先生)

このように現代の喉不調の原因は多岐にわたるので、下記のよくある原因を参考に、気になる場合は受診を。また、喉トラブルの予防策は? 「栄養をしっかりとること。特に粘膜を強化するビタミンA、D、E、Kは意識して補給を。睡眠を十分にとるのも大事」(鳴戸先生)。

「肺炎に結びつく誤嚥は40代から始まります。喉の筋肉強化のために、人とよく会話を」(大谷先生)

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