あなたの“脳のゴミ”蓄積度をチェック!【年末年始は「脳の大掃除」①】

最近めっきり記憶力が落ちた、会話に「あれ、あれ」が増えたなど、アラフィー世代に多いその現象。実は年齢のせいではなく、脳に“ゴミ”がたまっているのが原因かも!? 「脳の“ゴミ”っていったい何?」「すでに認知症が始まっているということ!?」など、気になる脳のあれこれに脳神経外科医の奥村先生がアンサー。
教えてくれたのは…
脳神経外科医 奥村 歩先生

脳神経外科医 奥村 歩先生

おくむら あゆみ●’61年、長野県松本市生まれ。岐阜大学医学部卒業後、同大学大学院博士課程修了。『「朝ドラ」を観なくなった人は、なぜ認知症になりやすいのか?』(幻冬舎)など、著書多数。

【Check!】こんなことが増えてきたら危険信号!

下は、「脳の疲弊」度と、「脳本来の機能を使っていない/使えていない」度のチェックリスト。多ければ多いほど、脳にゴミがたまっている!?

 “これ、覚えとかなきゃ”と思ったものは、迷わずスマホで写メを撮る

 

 最近、漢字が書けなくなった

 

 「あの人の名前、なんだっけ」など「?」が浮かんだときは、すかさずネットで検索する

 

 やらなければいけないことがいくつもあり、日々追われている

 

 仕事や家事に集中できず、以前はしなかったようなつまらないミスをすることが多くなった

 

 ホテルの部屋番号が思い出せない

 

 用事があって移動したのに「何をしにきたんだっけ?」といった状況に陥ることがよくある

 

 誰かがお茶をこぼしたときなど、とっさの行動がとれない

 

 同じ本を2冊買ってしまったことがある

脳のはたらき

脳のゴミっていったい何?

医学的には、脳内にある神経細胞が消滅した際に出る残骸、アミロイドβを指す。若いころは、アミロイドβが発生しても、ある程度は自然に除去されるが、年齢とともにその機能が働かなくなり、蓄積される一方に。アミロイドβが増えて凝集し、かたまりとなり、多くの神経細胞に毒性をもつことで、アルツハイマー型認知症が起こるとされる。

脳に散らばったゴミが「記憶の取り出し」をじゃまする

全国から毎日100名以上の患者が訪れる「おくむらメモリークリニック」の「もの忘れ外来」。その院長であり、これまで10万人以上の脳を診(み)てきた奥村歩先生は、「なかでも増えているのが、40代から50代の、女性の患者さん。もの忘れがひどくなっていることを気にして来られるのですが、皆さん、脳がゴミ屋敷になっているようですね」と!

「脳のゴミ、アミロイドβは、加齢だけでなく、脳のオーバーワークによっても増えてしまうんですよ。40代、50代の女性は、仕事に家事、育児、介護と、毎日とにかく忙しい。頭の中が『あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ』といっぱいになり、うまく働かなくなっているのでしょう。しかも最近は、スマホやタブレットの普及で、ちょっと時間があればそれを開き、よけいな情報を大量に取り入れてしまう。それで脳が疲弊し、神経細胞がやられて、アミロイドβが増えてしまうのです」
認知症の進行過程
「アルツハイマー型認知症を発症する30年ほど前から、脳内にアミロイドβがたまりはじめるといわれています」。個人差はあるものの、40代以降にゴミは急増。この蓄積をストップするか否かの分かれ目も、エクラ世代での“脳の鍛え方”にあり!
つまり、すでにアルツハイマー型認知症が始まっているということ!?

「いえいえ、アルツハイマー型認知症は、30年ほどかけて発症しますから、40代、50代ならその可能性は低いですね。ただし、アミロイドβが凝集し、かたまりの状態で脳内に散らばっていると、必要なときに、必要な記憶が取り出しづらくなってしまいます。結果、人の名前が思い出せないといった“もの忘れ”が起こることに」

そもそも脳はどのような仕組みになっているのかというと、まずは、視覚情報は後頭葉、聴覚情報は側頭葉、触覚情報は頭頂葉のように、五感を通じて得た情報を特定の部位にインプット。海馬がそれらをいったん“仮登録”し、長い間覚えておくべき情報か否かを選別。前者の場合は脳内ネットワークにちりばめて貯蔵し、脳の司令塔たる前頭前野が、そこから、必要なときに、必要な記憶を取り出すようになっている。ところが、脳内にアミロイドβのかたまりがうようよしていたら……。“お目当ての記憶”がどこにあるのか、見失ってしまうのは当然かも。
アミロイドβと認知症
正常な脳はアミロイドβが血流と逆行して体外に排出されるが、アミロイドβが増えてかたまりになったり、動脈が硬化したりすると、うまく排出されず、脳内に蓄積。これがアルツハイマー型認知症を引き起こすと考えられている。
「また、前頭前野の情報処理システムには、迅速に浅く考える『ワーキングメモリー』と、深く考える『熟考機能』、ぼんやりと考える『デフォルトモード・ネットワーク』があり、ワーキングメモリーが働いているときは、熟考機能はフリーズしています。やるべきことに追われているときや、ネットで情報収集しているときに活動しているのは、ワーキングメモリー。そこが、四六時中働いていると、深く考える機会がなくなり、脳の衰えにつながりかねません。脳を若々しく保つには、ゴミをためないのと同時に、脳の機能を錆びつかせないよう鍛えることが大切です」

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