人生後半戦の「直感」を信じてみる。50代の頼れる先輩・亜希さんの“心地よい生き方”【ウェルビーイングでいこう!】

うれしい日も、揺れる日も。その瞬間に亜希さんが感じたことを、まっすぐに。何げない気づきが、私たちの心をふっと軽くしてくれるはず。自由に、ありのままに。頼れる先輩に聞く、“心地よい生き方”。

vol.3 「直感に身をゆだねて、舵を切る」

亜希 連載 ウェルビーイング モデル画像 緑灰色のツイル生地のスーツを着用した女性。白いシャツに淡いベージュのネクタイを合わせ、片手に手を置き、こちらを見ている。黒髪を後ろでまとめ、ゴールドのブレスレットを身に着けている。背景は白。

ジャケット¥99,000・シャツ¥35,200・パンツ¥55,000・ネクタイ¥26,400/オーラリー バングル(シルバー)¥152,900・(ゴールド)¥195,000/ホアキン・べラオ

人生の後半戦、始まりは 小さな違和感から

モデルという仕事に引退なんてあるのか謎ではありますが、私は50歳のときに一度、モデル業をやめました。当時エクラでも定期的にファッション特集をさせていただくほど、しっかりモデル活動をしていたころです。

そう思ったのは、大きなできごとがあったからというよりは、本当に少しずつ、自分の中で「何か違う」と思うことが増えてきたから。正解だと思ってやってきたことが、どこか納得できなかったり、前みたいに手応えがなかったり。私にしかわからない衰えを感じたり、なんとなく自信がなくなって、今思えば自分でも驚くほど心にぽっかり穴があいていたように思います。

昔から、自分にしかできないことを仕事で表現したいと思っていたけれど、正直かわりはたくさんいて、私じゃなくてもいいのでは?と思うことも増えていました。そういう小さな違和感が積み重なって、「もしかして私、賞味期限が切れたかも」と思ったんです(笑)。

自分ではスパッと割り切れても、順調だったからこそ簡単な決断ではなかったのも事実。継続している仕事のこと、子供のこと、必要とされているからこそ考えることはいろいろありました。なんせひとり親だし、この先どうなるんだろうという不安がてんこ盛り! でもなぜか「健康さえあればどうにかなる」という謎の自信が私を強くしてくれました。

今振り返ると、モデルという肩書はなくなっても、ふたりの息子の母ちゃんだということは紛れもない事実で、生きていくことをよりシンプルに考えられたのだと思います。

結果的に、その決断は正しかった気がします。さいわいにも、「AK+1」のディレクターとしての洋服作りや、お料理の連載など、社会と離れたわけではなかったので、別の立場から自分のいる場所を俯瞰できたのはとても大きなことでした。あのままずっと同じ流れの中にいたら、仕事そのものがつまらなくなり、まわりのかたがたにも失礼だったはず。

50歳のときの決断があったからこそ、今は前よりもずっと、ひとつひとつの仕事をていねいに、そして何を求められているかをしっかり落とし込み、考え、向き合うことに命を懸けられるようになった気がします。

大げさかもしれませんが、自分がそこにいる意味だったり、今まで生きてきた私という存在をちゃんと残すために働く、と思えるようになった。

そしてここ数年、YouTubeやテレビ、バイオリンなど新たなことにチャレンジしています。生放送でまともなコメントができなくて落ち込んだり、音を鳴らすこともままならないバイオリンを何万人というお客さまの前で披露したり……。でもきっと、新しいことを始めた先にしかない確かな世界が見られるはず、と信じています。

エクラ読者の皆さんも50代で転職したほうがいいとか、環境を変えるべき、ということではまったくなく、続けることにも意味があるし、踏ん張る時期もあるはず。でも、タイミングって不思議なもので予期せず突然やってくるもの。だからこそ、そのときの“直感”を信じてみるのもいいと思う。

この年齢の直感って、ただの直感じゃない。散々迷って、失敗しながら生きてきた時間の中で培ってきたもの。なんとなく、やっぱりこうしようかな、これかな?という自分の感覚を信じるだけの経験を十分積んできていると思うんです。

後悔したとしてもそれも自分の人生。自分の決断に責任をもって進んでほしい……。いつか必ず、笑いながら、いや苦笑いしながらでもいいから、自ら選択する生き方に、私ってやっぱりすごくない?と自画自賛できたら最高かも。

私たち、まだまだ直感は錆びついてない!

今月の「亜希」だより

金色の豪華な台座に乗った、白いクリームで覆われた誕生日ケーキ。赤い数字の「57」のろうそくが立っており、「Happy Birthday 亜希さん」と手書き風のメッセージが添えられている。ケーキの上には、白いマシュマロと赤いラズベリーが飾られている。

「連載の撮影を終えて、着替えてメイクルームから出てきたら『Happy Birthday』の歌とともにケーキと花束が。57歳の誕生日をサプライズでお祝いしてもらいました。母が亡くなった年まであと3年。そこを目標にまだまだ突っ走ります!」

亜希
亜希
亜希

あき●’69年、福井県生まれ。モデル、ファッションブランド「AK+1」ディレクター。現在は日テレ系情報番組『DayDay.』にて、木曜レギュラー(隔週)としても活躍中。その人気コーナーを書籍化した『DayDay.亜希のざっくりキッチン』(ワニブックス)が好評発売中。

photography:Yutaro Yamane(TRON) hair &make-up:Tomoko Noda styling:Shizuka Yamazaki model& text:Aki  ※エクラ2026年7・8月合併号掲載

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