社会的役割の変化や更年期の影響などで、不安や焦燥感が募る40、50代。「なんだかしんどい」と感じるのは、あなただけではありません。波立つ心を整えるのは、日々の習慣とささやかなセルフケア。がんばりすぎてクタクタの人でも、今日から取り入れられる方法を厳選!
教えてくれたのは
トミー●’78年生まれ。豊富な臨床経験と深い共感力をもとに、SNSで「心を軽くする言葉」を発信する人気ドクター。『精神科医Tomyが教える50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)など、悩みに寄り添う著書も数多く出版。
1.太陽を味方にする
太陽の光には、メンタルを整えるメリットがたくさんある。
「日光を浴びると、安心感や前向きさにかかわるホルモンのセロトニンの分泌が活発になります。特に朝の光は体内時計をリセットし、夜に自然と眠くなるリズムに整えてくれます。熟睡できれば、メンタルの土台が安定する好循環に。さらに、日光浴により皮膚で生成されるビタミンDは骨の健康も支えます。むやみに紫外線を避けすぎず、上手に味方につけましょう」。
2.運動は最強の薬に
運動は、うつ病や認知症の治療にも役立てられている。意欲や快感にかかわるドーパミンやセロトニンを活性化させ、ストレスホルモンを抑制するほか、記憶や学習にかかわる脳の働きを支える作用も。
「運動中は意識が体に向くため、悩みや心配事にフォーカスしにくくなります。そして、ヨガなどで呼吸を深めれば、副交感神経が優位になって心が落ち着きます。心がつらいときは、体を動かしてみる。その発想が大切です」。
3.笑いスイッチを増やす
“笑う”行為も日光浴や運動と同様に、気分を上げる脳内ホルモンを分泌し、メンタルにプラスに働く。
「お笑いの動画を見たり、おしゃべりすると自然に笑顔になれる友人に会ったり、自分が笑顔になれるスイッチをいくつももっているのが理想です。モヤモヤを蹴散らすイメージで、思いっきり笑うと、体のこわばりも心の緊張もほぐれます。ただし、しんどいときに『笑顔にならなきゃ』とがんばるのは逆効果。心から笑うことが大切です」。
4.“今、この瞬間”に集中する
ネガティブな考えがめぐるのは、頭が暇になっているサイン。“今、この瞬間”に集中すれば、モヤモヤは薄れていく。
「例えば、考え事をしながら洗い物をするのではなく、手元の動きにしっかり注意を向けてていねいに作業する。それでもモヤモヤが浮かんでしまうときは、スーパーに買い物に行ったり、ティータイムにしたり、別の行動に切り替えてみて。環境や動作が変われば、自然とそちらに意識が向き、心の渦が鎮まっていきます」。
5.創作に没頭する
編み物をしたり絵を描いたり、創作は「できた」「進んだ」という小さな達成感の連続。自分の感性をかたちにする行為そのものが癒しになり、自己肯定感が高まって前向きになれる。
「『手仕事は心を整える』といわれるように、作業に集中することで雑念が減り、不安が一時的に遠のくという、マインドフルネスに近い効果も得られます。作品を贈って誰かに喜ばれるなど、人とのつながりが生まれることで、さらにメンタルにいい影響が広がります」。
6.悩みを書き出して“セルフ傾聴”する
「なんかしんどい」というモヤモヤを放っておくと、不安やストレスはどんどん増幅してしまう。今どんな状況で、自分はどう感じているかを書き出すことで、モヤモヤの輪郭が少しずつ見えてくる。
「書くことは、感情をまるごと受け止める行為。自分の話を自分で聞く“セルフ傾聴”にもつながり、心を鎮める効果があります。からまった思考がほどけ、悩みを客観視できるので、冷静に対処法を工夫することもできるように」。
7.不要なものを手放す
持ち物が多いと、判断の回数が増えたり視覚のノイズになったりして、知らないうちにエネルギーを消耗してしまう。不要なものを手放すだけで、脳や心の負担を減らせる。
「行っていないジムなども、地味にストレスになります。月に1度くらい、ワードローブや生活全体を見直し、違和感のあるものや不要なものは手放しましょう。常に自分にフィットするものだけに囲まれていれば、悩みが生まれにくい環境をつくれます」。
8.寝る時間と起きる時間を固定する
休日でも夜更かしや朝寝坊をせず、毎日なるべく決まった時間に寝起きすることで、ホルモンの分泌や免疫機能を調整するサーカディアンリズムが整う。その結果、自律神経のバランスが乱れにくくなり、イライラや不安、だるさが軽減されやすい。
「サーカディアンリズムの安定は、睡眠の質の向上にもつながり、心の安定に直結します。まずは起きる時間だけでも固定し、毎朝必ず太陽の光を浴びるように心がけましょう」。
9.「あのころ」を味わう
かつて親しんだもの、例えば好きだった音楽、何度も見た映画やドラマなどをじっくり味わう時間は、心の癒しにつながる。いい思い出と結びついているものなら、なお効果的。
「よく聞いていた歌をカラオケで熱唱したり、なじみの店に行ったり、なんでもいいと思います。悩みがなかったころを思い出して、心がゆるんでいくでしょう。ささやかな現実逃避ですね。心がしんどいときほど、こうしたホッとする時間が助けになります」。
10.“好き”で喜ばれることを探す
自分のためだけに生きていると、ふと疲れてしまったり、どこか虚しさを覚えたりするもの。そんなときこそ、自分の好きなことや得意なことを通じて、誰かの役に立てないか模索してみよう。
「たったひと言の『ありがとう』で、疲れが吹きとんだり、驚くほど回復できたりしますよね。でも自己肯定感を上げることが目的になると、かえってしんどくなってしまうことも。“自分のやりたいこと”で誰かに喜んでもらえるのがポイントです」。
取材・原文/熊坂麻美 イラスト/金子なぎさ ※エクラ2026年6月号掲載