ぐっすり眠りたい!50代の「寝言」「いびき」対策

最近、無意識に発してしまう「寝言」や「いびき」のせいで、寝ても寝た気がしない、という人、少なくないのでは? 自分だけでなく家族の安眠にも影響するこの2つの「セルフ騒音」。その原因と対策をじっくり探る。

 

実録! 50代女の「寝言」と「いびき」ストーリー

実録! 50代女の「寝言」と「いびき」ストーリー
実録! 50代女の「寝言」と「いびき」ストーリー

Q1.「寝言」と「いびき」はありますか?

エクラ調べ(178人)以下同

【寝言】

Q1.「寝言」と「いびき」はありますか?

【いびき】

Q1.「寝言」と「いびき」はありますか?
自覚というよりは他人から指摘されて知るケースが多い睡眠中の騒音。寝言は「ある」が4割、「わからない」が3割。いびきは「ある」と「わからない」を合わせると9割超え。なかには、電車やエステでうたた寝しているときにいびきをかき恥ずかしいからと寝るのを我慢する人も。

Q2.その「寝言」や「いびき」はアラフィー以降増えましたか?

【寝言】

Q2.その「寝言」や「いびき」はアラフィー以降増えましたか?

【いびき】

Q2.その「寝言」や「いびき」はアラフィー以降増えましたか?
加齢によって増えたか自分ではわからない人が多い寝言に対し、いびきの場合は、半数以上が40代以降で増えたり激しくなったと回答。ただ、寝言は「旅行中、夢を見て叫び、友人に起こされた」「夫に寝言が増えたと指摘された」など人からいわれて気づく場合も多い。

アラフィーになると「寝言」や「いびき」が増えるのはなぜ?

教えてくれたのは
医学博士 栗山健一先生

医学博士 栗山健一先生

国立精神・医療研究センター 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部部長。睡眠障害を研究する第一人者。厚労省が発信する「睡眠教室ムービー」特設webコンテンツも監修。

ストレスで増える寝言、筋緊張低下で加速するいびき

自分の睡眠の質が下がるのはもちろん、無意識の「騒音」で同室で眠る人の安眠も妨害する「寝言」と「いびき」。年齢を重ねるにつれ、その頻度が増えたと感じるアラフィーも少なくない「寝言」や「いびき」の原因を栗山先生にうかがった。

「まず、寝言といびきは発生メカニズムがまったく違います。寝言は、体の筋肉は弛緩しているのに、脳は覚醒に近いレム睡眠のときに夢を見て言葉を発すること。一方、いびきはあおむけになったときに、気道が狭くなることで大きな音を発するもの。寝言の多くはストレスと関係しますが、親の介護や子供の独立などライフステージが変化する50代はストレスが増え、眠りが乱れる世代。加えて更年期のエストロゲンの減少で不安やイライラも感じやすく、怒りや悲鳴に近い寝言の頻度が増すことが考えられます。そしていびきは、疲れによる口呼吸や体重増加で気道が狭くなるほか、50歳前後の女性なら、舌とのどの筋緊張の低下や、呼吸をしやすくする女性ホルモンの減少が大きな要因となります」

寝言→「レム睡眠時の筋緊張調整不良」

いびき→「舌・のどの筋緊張低下」が要因!

どのようなメカニズムで寝言が発生し、いびきをかいてしまうのか。睡眠中の行動に影響を与える私たちの体の変化と、睡眠リズムをわかりやすく解説。

レム睡眠時に寝言が起こるメカニズム

寝言の頻度が増えているなら、睡眠リズムの乱れを疑って。
睡眠中は比較的浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を周期的に繰り返す。レム睡眠は体は休息し脳は動いている状態で、このときに夢を見ることが多いが、夢に反応して筋緊張の調整が乱れ言葉が出るのが「寝言」。更年期は睡眠リズムが乱れてレム睡眠が増え、不安やストレスも感じやすいので激しい寝言が増える可能性大。

レム睡眠

舌やのどの筋緊張低下がいびきを起こすメカニズム

加齢による舌とのどの筋肉のゆるみで、いびきの音が大きく。
あおむけに寝たとき、気道が狭くなり、そこを空気が通るときに周囲の粘膜が振動する音が「いびき」。飲酒で筋肉がゆるんだり、花粉症や鼻炎、疲れなどからくる口呼吸も上気道をふさぐ原因だが、年齢を重ねるごとにいびきが大きくなるのは、舌の根元やのどの筋肉の緊張がゆるみ、舌が落ち込んで上気道をふさいでしまうため。

正常な舌とのど

舌やのどの筋緊張低下がいびきを起こすメカニズム

あおむけだと重力で舌が落ち、上気道が狭くなるが、鼻呼吸や舌とのどの筋力維持により、粘膜の振動音は小さく寝息程度。

筋緊張がゆるんだ舌

舌やのどの筋緊張低下がいびきを起こすメカニズム2

加齢による筋力低下、肥満、アルコール摂取であおむけ時の舌の落ち込みが激しく上気道が狭くなるため大きな振動音に。

その3大要因は、この3つ!

1.女性ホルモンの減少

女性ホルモン

レム睡眠の出現が増え不眠や呼吸トラブルも。
幸福ホルモンでもあるエストロゲンの減少で不安やイライラを感じやすくなる。そのせいでレム睡眠が増え、寝言も増加。また呼吸を促進する女性ホルモンが減ることに加え、筋力低下で舌が落ち、気道が狭くなり、いびきに。

2.過度なアルコール摂取

過度なアルコール

筋肉がゆるんで舌が落ち、自律神経が乱れ悪夢に。
深酒は浅い眠りを増やし途中で目が覚めやすくなる。自律神経を乱し、悪夢や寝言のリスクファクターにも。さらに筋肉の緊張がゆるんで舌が落ちいびきも発生。女性はアルコール分解に時間がかかるので影響は大きい。

3.疲れ・ストレスの蓄積

ストレス

緊張で浅い眠りが増え、疲れで口呼吸しやすく。
ストレスがたまると体も脳も緊張状態に。寝言の頻度が増え隣の人をたたくといった行動につながることも。また疲れると舌やのどの筋肉がゆるんで気道が狭くなるうえに、回復のために酸素を取り込もうと口呼吸になりいびきに。

「寝言」と「いびき」に試したい4つのこと

眠っている間の行動だけに、自分で制御するのがなかなかにむずかしそうな「寝言」と「いびき」。でも、実は、生活を見直したり、睡眠時の工夫で軽減する可能性大。深刻になりすぎず、まずはトライ!

自分にとって、いい睡眠を得られるルーティンを

激しい寝言を呼ぶ悪夢をコントロールするのは正直むずかしいけど…。

「夢を見るのはレム睡眠時で、そのときに脳は昼間経験したことを記憶に刻む作業をしているといわれます。だから、眠りにつく前にその日受けたストレスをリセットすることが大切。また睡眠の質を上げることで、浅い眠りが増えないよう睡眠リズムを整えましょう」

一方、舌根部の筋肉の緊張が弱くなる加齢によるいびきの場合は?

「まずは睡眠中の寝姿勢を変え、アルコールを控えたり口呼吸を減らして気道を確保することが有効。ただし、家族からクレームが出るほどの大きないびきや、いびきで眠れず、日中の活動に支障が出るなら、専門医の受診をおすすめします」

そして、自分にとって、いい睡眠を得られるルーティンを見つけることも有効な「寝言」「いびき」対策。

「好きな香りや音楽でリラックスしたり、ゆったり入浴したり、自然に深い眠りにつける入眠儀式を」

【寝言対策】毎日こまめに「ストレスリセット」!

激しい寝言の頻度が多いなら、背景に不安やイライラ、プレッシャーなどのストレスがありそう。ストレスをゼロ、はむずかしいので、たまらないようそのつどこまめに解消する心がけを。深い眠りをじゃまするアルコールやカフェインなどを避けるほか、寝る前はホラーやサスペンスなど興奮する映画、心を暗くする情報を遠ざけて。
【寝言対策】毎日こまめに「ストレスリセット」帰宅前の運動

1.帰宅前の運動

いやなことや不安があるとき思考を止めるのはむずかしいので、ジムなどで体を動かし汗をかいて発散させる。疲れきって眠るイメージ。

【寝言対策】毎日こまめに「ストレスリセット」寄り道で気分転換

2.寄り道で気分転換

帰りにウインドーショッピングをする、知らない道を歩くなど、ルーティンとは違う新鮮な行動で、日中のネガティブな記憶を上書き。

【いびき対策】あの手この手で「気道を広く保つ」!

睡眠中に気道が狭くなることで不快な音を発するのが、いびきのメカニズム。その音を小さくするシンプルにしてダイレクトな対策は、なんといっても気道を広く保つこと。寝るときの姿勢を変えるだけで改善できることもある。また肥満も気道が狭くなる要因なのであごから首まわりのすっきり感をキープしたい。
【いびき対策】あの手この手で「気道を広く保つ」横向き寝

1.横向き寝

あおむけは舌が落ち込むので、抱き枕を使うなど横向きの寝姿勢を意識して。枕やマットレスなどの寝具は寝返りの打ちやすさで選ぶ。

【いびき対策】あの手この手で「気道を広く保つ」口呼吸を抑制

2.口呼吸を抑制

いびきが発生しやすい口呼吸。口が開かないようにとめたり、鼻腔を広げるテープも試して。読者アンケートでも効果ありの声が多数。

「寝言」「いびき」ともに予防効果が期待できるのが、ホルモン治療!

女性ホルモンの分泌が急降下する更年期は情緒が不安定になったり不眠になったり。ホルモンの減少で自律神経が乱れて体温調節が上手にできなくなり、ほてりや冷えが睡眠の質に影響するケースも。

そんな睡眠トラブルに効果的なのが、エストロゲンを補充するホルモン療法。不安やうつ症状を緩和し呼吸を促進するので、寝言やいびき対策に役立つはず。

ケアしても改善しない「寝言」「いびき」は病気の場合も…

寝言の場合「レム睡眠行動障害」
睡眠中に「突然大声で叫ぶ」「悲鳴を上げて飛び起きる」「隣に寝ている人をたたく、蹴る」。悪夢を見ているときに現れることが多いレム睡眠行動障害。通常はレム睡眠中は筋肉がゆるんでいて実際に体は動かないはずなのに、筋肉の緊張を調整する機能が妨げられ寝言や行動に現れてしまう。進行すると激しい行動が増える。

どんな治療ができる?

症状を抑えるために抗てんかん薬を服用。ただ、パーキンソン病やレビー小体型認知症などに関連するとされる特定の脳内物質がかかわっている可能性も。これらの病気の初期症状として起こることもあるので定期的な経過観察が必要。

いびきの場合「閉塞性睡眠時無呼吸症」
「寝ているときに息が止まる気が」「夜中に何度も目が覚める」「何時間寝ても朝すっきりしない」「昼間居眠りを繰り返す」。当てはまるなら、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりする閉塞性睡眠時無呼吸症かも。肥満のほか更年期に増えるともいわれ、重症になると、心血管疾患、脳血管疾患、生活習慣病のリスクが増加。

どんな治療ができる?

軽症なら下あごを前に出し気道を広げるマウスピースの装着。中等症以上なら、睡眠中、鼻に装着したマスクから気道へ空気を送り込むCPAP装置を使う治療が有効とされる。1泊の入院精密検査のほか自宅での簡易検査で測定可能。

良質睡眠のために覚えておきたいこと

無意識に続けてきた習慣が睡眠の質を下げてしまっているケースも。「寝言」や「いびき」が気にならないほど深く眠るために、やりたいこと、やらないほうがいいこととは。

ぐっすり眠るために「したほうがいいこと」

「寝言」や「いびき」が気にならないほど深く眠るために、したほうがいいこと4選。
「良質睡眠」のために覚えておきたい 日中は積極的に動くべし!

日中は積極的に動くべし!

日中の活動量が多く、エネルギーを消耗すれば、体はほどよく疲れるので、夜は自然に休息のスイッチが入り、寝つきがよくなり中途覚醒も減るもの。あまり動かなかった日はひと駅手前で降りて歩くなど体を動かす工夫を。

「良質睡眠」のために覚えておきたい 朝は太陽を浴び朝食をとるべし!

朝は太陽を浴び朝食をとるべし!

体内時計のずれをリセットするのが、朝太陽光を浴びること。そして、朝食をとることも体のリズムを整えるのに有効。量が少なくても毎日同じ時間に食べるのが理想。体の活動スイッチがONになり覚醒モードに。

「良質睡眠」のために覚えておきたい 入浴の1時間半後にベッドに入るべし!

入浴の1時間半後にベッドに入るべし!

副交感神経のスイッチを入れ、リラックスモードに切り替える入浴。でも入浴直後は寝つきが悪くなるという事実が。お風呂で温まった深部体温が下がりはじめる1時間半後が入眠がスムーズになるタイミングと心得て。

「良質睡眠」のために覚えておきたい 貧血予防のための鉄分をとるべし!

貧血予防のための鉄分をとるべし!

ミネラル、特に鉄分不足になりがちな現代女性。鉄分が足りないと貧血状態になり、冷えやむずむず脚症候群などのリスクにつながり不安定な睡眠の原因に。睡眠サプリや薬に頼る前に、まずは鉄分の補給がおすすめ。

ぐっすり眠るために「しないほうがいいこと」

「寝言」や「いびき」が気にならないほど深く眠るために、やらないほうがいいこととは。4つのポイントをおさえれば、快眠が目指せる!
ぐっすり眠るためにしないほうがいいこと4つとは?眠るためのお酒は避けるべし!

眠るためのお酒は避けるべし!

アルコールを摂取すると、筋肉の緊張がゆるんで舌が落ちていびきが出やすくなり、浅い睡眠が増えるため夢や寝言も増える可能性大。ストレス解消のためなら早めの時間に適度な量を。ナイトキャップを習慣にしないで。

ぐっすり眠るためにしないほうがいいこと4つとは?午後3時以降のコーヒーは避けるべし!

午後3時以降のコーヒーは避けるべし!

頭をすっきりさせ、集中力アップに役立つカフェインだが、過剰に摂取すると睡眠の質が低下するうえ、利尿作用があるので夜中に尿意を催すリスクも。夕方以降はカフェインを多く含むコーヒーや玉露を極力控えたい。

ぐっすり眠るためにしないほうがいいこと4つとは?就寝前のスマホ・パソコンは避けるべし!

就寝前のスマホ・パソコンは避けるべし!

スマホやパソコンが発するブルーライトは、交感神経を優位にし、心も体も緊張状態に。寝室にスマホやタブレットを持ち込まないのは大前提。やむなく夜のPC作業をする場合は、メガネなどでブルーライトをカット。

ぐっすり眠るためにしないほうがいいこと4つとは?眠くないのにベッドに入るのは避けるべし!

眠くないのにベッドに入るのは避けるべし!

ベッドは眠るための場所、と脳に認知させるため、眠くなるまではベッドに入らない。なかなか寝つけなかったり、夜中に目覚めてすぐ眠れないときは一度起きてベッドを離れる。ベッドの中で読書や食事もやめること。

おすすめ「快眠」グッズ

エクラの編集スタッフたちがおすすめする「私の“快眠の友”」をご紹介。サプリメント、枕、ドリンク、精油。「寝言」や「いびき」でお悩みのかたは、ぜひ試してみて。

編集スタッフたちの「私の“睡眠の友”はこれ」

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