エクラの美容記事でもおなじみのライター・山崎敦子がお届けする韓流ドラマナビ。今回は、スター俳優のソ・ジソブ主演で人間模様を見事に描く「エージェント・キム: リアクティベーティッド」をご紹介。
男同士の熱い友情に感動!サスペンスアクション「エージェント・キム: リアクティベーティッド」
ソ・ジソブ Netflixシリーズ「エージェント・キム: リアクティベーティッド」独占配信中
エクラ世代俳優、ソ・ジソブだけがもつ強さゆえの切なさ
昨年配信された「広場」もそうでしたが、満身創痍という言葉がこれほど似合う俳優はきっと他にいないのではないでしょうか。そう、ソ・ジソブです。かの名作「ごめん、愛してる」も然り。いつ爆発してもおかしくない銃弾を頭に抱える不治の身体でありながら、身を挺して愛するヒロインを守り抜く男。もう、20年以上も前の作品なのに、主人公チャ・ムヒョクの壮絶な生き様が、いまだに鮮烈な印象で記憶されているかたも多いかと思われます。
来年50歳を迎えるエクラ世代ど真ん中のスター俳優ソ・ジソブは、水泳選手として国家代表にも選出されたことのある広い肩幅に贅肉を削ぎ落とした引き締まった身体がその特徴の一つ。そのガタイからして屈強な男を演じることが多いのではありますが、同じく屈強な男マ・ドンソクとは180度ひっくり返したかのようにイメージが異なります。
何度殴られてもきっと蚊に刺されたほどにしか感じないであろうマブリー(マ・ドンソクの愛称)に対し、ソ・ジソブは殴られれば殴られるほど、痛々しさも比例するかのようにどんどん増していく、そんな印象。再起不能なほど全身ボロボロになって、もはやノックアウト寸前。なのに、いつまでも倒れない……。お前はあしたのジョーか!と思わずツッコミ入れちゃう私ではございますが、無口で孤高な役どころが多いせいなのか、はたまた八の字に下がった眉のなせるわざなのか。強ければ強いほど、なぜか切なさがあふれ出てくる感じ。それがソ・ジソブなのであります(あくまで個人的見解です)。
でもって、今回ご紹介する「エージェント・キム: リアクティベーティッド」です。韓国の原題は「キム部長」。タイトルロールのキム部長を演じるのが、もちろんそんな哀愁漂う屈強の男ソ・ジソブです。ところが、最初に登場してくるキム部長は、銀行に勤める気弱そうな普通の中年サラリーマンなのですね。妻は娘を産んでそのまま帰らぬ人となり、今は高校生となる娘のミンジ(ソ・スミン)を男手一つで育てているのです。
人づきあいがいいわけでもなく、特別な趣味もなく、楽しみといえば、目に入れても痛くない娘の世話を焼くこと。なのに、その最愛の娘ミンジが最近はいたってそっけなく、キム部長はちょっと寂しく思っているんですね。そう、年頃の娘の扱い方に戸惑うエクラ世代の親父たちと同じです。あの、いつも抱きついてきたパパ大好きのミンジはどこに行ったのか(キム部長の気持ちの代弁)。
そのミンジですが、なんと学校でヘリ(ユ・ジアン)という同級生からイジメに遭っていたのですね。親身となってくれる友達もなく、誰にも相談できずに一人悩んでいるミンジなのですが、そのイジメがエスカレートしたことから、ヘリとケンカになり、キム部長は学校へと呼び出されることになります。
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自分に非はないと訴えるミンジなのですが、ヘリの父チュ・ガンチャン(チュ・サンウク)は大手建設会社の代表で、暴力団上がりの非情な男。学校側は娘を溺愛するチュ代表の金と権力による圧力で、お決まりのようにミンジだけに謝罪を要求するわけです。父は当然私の味方よね、と思っていたミンジをよそに、キム部長、あろうことかなんの抵抗をするわけでもなく、チュ代表とヘリの前でひざまずき、全面的降伏でことを収めようとするのです!
情けなさと憤りでミンジはキム部長に反発。家を飛び出してしまい、いつまで経っても帰ってこない。実は、謝罪だけでは怒りが収まらないヘリがチンピラに頼んで、さらにミンジを痛めつけようと呼び出していたのですね。でもって、これが深刻な事態となっていくのですが、必死でミンジを探し回るキム部長が娘の異変を察知。ということで、ドラマはここからがソ・ジソブの真骨頂と相なる次第。
人間模様が秀逸! 悩める親父たちの強い絆にもグッとくる
原作は大ヒットしたNAVERのウェブトゥーン(ウェブ漫画)「部長 K」。そのシンクロ率の高さも好評なようではありますが、何より前半の畳みかけるような展開が素晴らしく、一気にソ・ジソブ満身創痍のサスペンスアクションに引き込まれていくわけです。
なのですが、このドラマの素晴らしさは、激しいアクションやスピーディな展開にとどまらないところにあるというか。軍隊規模の銃撃アクションも、韓国お得意のナイフでグッサグッサ対決も、もちろん壮絶な殴り合いも、それはそれは本格的で魅せられるのでありますが、私的にはどんな作品であっても、アクションがどんなに激しかろうとも、それがどんなに膨大なお金がかかっていようとも、それだけではなぜか途中から飽きてしまうんですね。やっぱり描かれる人間模様がアクション以上に魅力的でなければ、当然ながら心に響いてこないものなのです。ということで、このドラマ。その人間模様が実にいい。
まず、ソ・ジソブ演じるキム部長。平凡なサラリーマンと思いきや、実は以前は北朝鮮最強といわれた工作員だったのですね〜(なぜ、最強工作員になったかなどの振り返りエピソードもきめ細かに描かれていて、その部分でも魅せてくれる構成が上手い)。あるえげつない北朝鮮軍の上司のせいで、生きるために韓国に下ることになったのですが、その存在自体が国家機密になるほど危険な男だったのです。
韓国軍部でもキム部長は特殊部隊に所属させられ、鍛え抜かれたその脅威の戦闘力で次々に危険な任務を強いられてきたのですが、それを経て、ようやく手に入れた平凡なサラリーマン生活。なのに突然振りかかってきた愛する娘ミンジの命の危機。長きにわたって封印してきた最強人間兵器という危険な力を解き放ち、孤高に立ち上がるキム部長。対抗するのはこちらも常軌を逸する娘バカっぷり親父のチュ・ガンチャン。しかも、それだけでなく、封印を解いた危険なキム部長を韓国特殊部隊チームが放っておくはずもなく、おまけにキム部長の存在を知った北朝鮮も追うという凄まじき展開に。
右から、チェ・デフン、ソ・ジソブ、ユン・ギョンホ Netflixシリーズ「エージェント・キム: リアクティベーティッド」独占配信中
無数に襲いくる敵の攻撃に孤高に立ち向かいながら、愛する娘の奪回へと突き進んでいく満身創痍のキム部長なのですが、今回は実はたった一人ではないんですね。特殊部隊チーム時代の同じく最強の人間兵器と呼ばれた2人の同僚ジンチョル(ユン・ギョンホ)とハンス(チェ・デフン)という頼もしい助っ人がこちらも身を挺しながらキム部長を援護射撃してくれるのです。
ジンチョル演じるユン・ギョンホは今年の青龍シリーズアワードで、ハンス演じるチェ・デフンは昨年の百想芸術大賞で、どちらも助演男優賞に輝いたお二人。味わい深い演技と存在感はもちろんのこと、コメディセンスも抜群で、ほろっと笑える数々のシーンで、息をのむアクション続きの展開にほっと一息入れてくれたりするわけです。このシリアス×コミカルの緩急の組み合わせも絶品で、娘や息子にはいつでも弱くなってしまう悩める親父たちの、多くを語らずとも実は強い絆で結ばれていた友情にもグッとくるんです。エクラ世代の親父たちも捨てたものじゃないなあなんて。
今回、娘のミンジを演じたソ・スミンは本作がほぼデビュー作となる、2007年生まれのまだまだ新人俳優。若きキム・ゴウンを彷彿とさせるようなビジュアルもさることながら、キム部長譲りの度胸と機転の利かせぶりをナチュラルかつ力強く表現した演技力も素晴らしく、今後が楽しみな存在。というか、この作品の大ヒットですでにブレイク中なのでこれからもチェック必須かも。さらに、ソ・ジソブの友情出演で2PMのテギョンが第4話にサプライズ出演。顔が真っ黒けっけで周囲の暗闇に溶け込んでよく見えないうえに、ほんのちょっとの登場なのでありますが、これがまさかの壮絶なシーンなんですね。極限の中で魅せるソ・ジソブとのブロマンスにもジーン。
熱い男同士の友情と、娘へ注ぐ無条件の愛と。満身創痍の哀感誘うソ・ジソブの闘いっぷりを無条件に堪能し尽くせる全10話、まだのかたはぜひ〜〜。
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