50代の「疲れやすい」「疲れが取れない」を解消!運動・食事・睡眠など、疲れにくい体をつくる5つのコツ

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「最近、疲れやすくなった」「寝ても疲れが取れない」と感じることはありませんか? 50代になると、以前と同じように過ごしていても疲労を感じやすくなるもの。そんな疲れをため込まないためには、運動や食事、飲み物、姿勢、睡眠など、毎日の習慣を見直すことが大切。疲れにくい体をつくるために取り入れたい5つのコツをご紹介。無理なく続けられる方法をチェックして、毎日を軽やかに過ごしましょう。

【教えていただいた方】

工藤孝文さん
工藤孝文さん
工藤孝文さん

内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後は大学病院などを経て、現在は福岡県みやま市にある自身のクリニックにて地域医療に注力。著書に『「毎日疲れない」にいいこと 超大全』(宝島社)など多数。

疲れにくい体をつくる「簡単な運動」

「運動しなければと思ってはいても続かない」「そもそも運動が嫌いで習慣がない」「この年齢からやる気が起きない」そんな人も少なくないのでは? しかし、まったく体を動かさないでいると疲労は蓄積されていきます。運動が苦手、時間がないという人も実践できそうな、とっておきの5つの方法を紹介します。

1. 運動よりも家事トレで消費エネルギーアップ!

OurAge×Webエクラ 1.運動よりも家事トレで消費エネルギーアップ!

わざわざジムに行かなくてもOK。運動効率が上がり、心も体も生活も整ってしまう、とっておきの方法があります。

「それは家事トレです!
運動以外の生活活動で消費されるエネルギーのことをNEAT(Non-Exercise Activity Thermogenesis:ニート)といいます。日本語では非運動性活動熱産生。  

一日の総エネルギー消費量の内訳をみてみると、50~60%を基礎代謝、約10%は食事誘発性熱産生、それ以外の30~40%がこのNEATと運動です。  

NEATは日常生活でやらなければならないこと、例えば洗濯や掃除、料理、買い物、仕事、通勤、犬の散歩、ガーデニングなどです。運動が苦手な人は、一生懸命に掃除をしたり、エスカレーターやエレベーターを使わずに階段を上る、パソコン仕事を立って行うなど、日頃からこまめに体を動かすことで、消費エネルギーを増やすことができるのです」(工藤孝文先生)  


厚生労働省でもNEATを増やすことを、生活習慣病の改善に役立てようと推奨しています。運動するのが面倒、時間ない人ほど、家事で体を動かす家事トレを!

2. 朝の散歩で脳が目覚めてパフォーマンスアップ!

朝が苦手で「外出のギリギリまで寝ている」「いつも寝起きは不機嫌」「午前中はさえない頭と疲れが取れない体を引きずっている」、そんな状態で仕事や家事を行っていませんか?

「これを解消するには、朝の過ごし方を改革することから始めてください。ポイントは目覚めて30分以内に朝日を浴びながらウォーキング(散歩)をすることです。 

これにより体内時計がリセットされ、就寝中のリラックスモードから活動モードへと切り替わります。歩いているときは安静時よりも血流がよくなるので、脳に届く酸素が30~50%増えることがわかっています。 

さらに20分以上歩いていると、快楽ホルモンであるβ-エンドルフィンやドーパミンが、30分以上で快楽&幸せホルモンであるセロトニンが分泌されます。  

こうして朝にセロトニンをしっかり分泌しておくと、夜に睡眠ホルモンであるメラトニンに変換されるので、質のいい睡眠が得られるようになります。そうすれば、朝が快適になり、よい循環が生まれます」

翌日に疲れを残さない良質な睡眠を得るには、朝の時間にかかっているのです。

3. 肩甲骨ストレッチでエネルギー工場を活性化 

「疲れた~」と思ったときにまず行いたいのが、肩甲骨のストレッチです! キーワードはミトコンドリア!

「ミトコンドリアは体のすべての細胞にある細胞内小器官で、体のエネルギー工場ともいわれています。脂肪や糖を使って、体を動かすためのエネルギー『ATP(アデノシン三リン酸)』を合成します。このためミトコンドリアが減ると、エネルギーが作られずに疲れやすくなってしまいます。  

このミトコンドリアは特に肩甲骨まわりの褐色脂肪細胞に多いので、ここを刺激すると増えることがわかっています。  

刺激するのに効率のよい方法が、肩甲骨のストレッチです。両手を腰に当てて、ゆっくりと左右のひじを背中の後ろで近づけます。これを5回ほど繰り返すことで、肩こりが解消するとともに、エネルギーが生成され疲労が回復します」

4. 20秒の「その場スキップ」でリフレッシュ!

OurAge×Webエクラ 4.20秒の「その場スキップ」でリフレッシュ!

オフィスワークでは長時間椅子に座りっぱなしという人は多いのではないでしょうか? なかなか運動もできないでいると、疲労はどんどんたまっていきます。  

「長時間座り続けると、死亡リスクが高まることがわかっています。人は体を動かすことで、全身の筋肉が動き、血流が促されます。これにより細胞の代謝が活発になるのです。  

なかなか運動ができない環境のときは、せめて時々席を立って、20秒間のその場スキップをするのがおすすめです。腕も大きく振ることで、全身の血流がよくなります」  

周囲に人がいない廊下や階段の踊り場などで行うといいでしょう。

5. 脳が疲れ切ったら少しきつめの運動30分! 

現代は一日中、パソコンの前に張りついて仕事をしている人、または人間関係でモヤモヤしてしまう人も多いことでしょう。そんな脳が疲れたときにこそ運動が大切です。

「運動をすると、脳内の精神の安定に深くかかわる神経伝達物質セロトニンが分泌されます。少しきつめの運動を30分行うと、抗うつ剤1錠に匹敵する効果があるといわれているほどです。 

現代の生活では、脳だけが疲れていることが多いと思いますが、この状態が最もストレスを感じることがわかっています。逆に体が疲れていても、脳が元気であれば、ストレスを感じにくいのです。 

特にストレスを発散するには、筋トレよりも有酸素運動が効果的です。仕事帰りに、最寄り駅からひと駅前で降りて30分間早歩きをする、もちろんジムでバイクエクササイズなどをして汗を流すのもいいでしょう」

イラスト/midorichan 取材・文/山村浩子
初出:OurAge 2024/10/25

疲れを回復させる「食事」の選び方

1.鶏胸肉に含まれるイミダペプチドは疲労回復の最強成分 

脂肪分が少なく、タンパク質が豊富なヘルシー食材として大人気の鶏胸肉。実は疲労回復や抗酸化作用にも優れているって知っていましたか?  

「鶏の胸肉に含まれるアミノ酸であるイミダペプチドは、疲労の原因である活性酸素によるダメージを軽減し、筋肉や精神疲労の回復を促進する効果があります。この成分は渡り鳥や回遊魚の筋肉に多く含まれることで注目されました。長時間動き続けられる秘密が、このイミダペプチドにあったのです。  

それが手軽にとれるのが鶏胸肉というわけです。夕食に鶏胸肉100gの料理をプラスすれば、睡眠中の疲労回復が促進され、翌日に疲れを持ち越さずにすみます」  

おすすめはサラダチキンだそう。片栗粉を軽くまぶして沸騰した湯に入れ、すぐに火を止めてフタをして、余熱で20~30分火を通せば、パサパサにならずしっとりと仕上がります。鶏胸肉は安価でお財布に優しいのもうれしいところ。日々のメニューに加えるといいでしょう。  

2.頑張ったときのご褒美ごはんは焼肉よりジンギスカンが正解!

OurAge×Webエクラ 2.頑張ったときのご褒美ごはんは焼肉よりジンギスカンが正解!

「今日は疲れた~」という日の自分へのご褒美はお肉!  と決めている人もいるのではないでしょうか? そんなときは焼肉よりもジンギスカンがおすすめです。

「特にラム肉(生後1年未満の子羊肉)は高タンパクで必須アミノ酸も豊富。ビタミン、ミネラル、鉄分が豊富で栄養価が高い食材です。これらは疲労回復を助けるのに大切な栄養素ばかり。 

また、ラム肉の脂肪は、融点が人の体温より高いため、私たちの体内に入ったときに溶けにくく吸収されにくい特徴があります。しかも体によいとされる不飽和脂肪酸なので、悪玉コレステロール値や血圧を下げ、動脈硬化や血栓の予防効果も期待できます。脂肪細胞の増加を抑制して、糖や脂質の代謝を促進する働きも。 

さらに脂肪燃焼を促進させるアミノ酸の一種であるL-カルニチンは、100g当たりの含有量が牛肉の約3倍ともいわれ、とても豊富。脂肪燃焼を助けてくれるので、ダイエットにも最適です」

3.ランチはGI値が低いそばや玄米が◎ 

なんだか疲れが抜けないと思った日のランチには迷わずそばを! そばはGI値が低い、優秀な食材です。

GI値はグリセミック・インデックスの頭文字をとったもの。食後の血糖値の上昇度を示す数値のことです。血糖値が急激に上がると、そのときは元気になった感じがしますが、その後、急降下します。この血糖値の急上昇と急降下が起こることを血糖値スパイクといいます。これが大きいほど、体は疲れやすくなります。 

GI値は数値が高いほど血糖値スパイクが起きやすくなります。ですから疲れたときこそ、GI値が低いものを選ぶといいのです。その筆頭食材が日本そばや玄米です。これらは穀物の核が残っているので消化に時間がかかり、GI値も低くなります」 

疲れたなと思った日こそ、ランチにそば屋や玄米を提供する飲食店へGO!

4.午後3時のおやつ習慣が疲労に効く! 

OurAge×Webエクラ 4.午後3時のおやつ習慣が疲労に効く! 

今日は仕事などの都合で夕食が遅くなる、また、常に夕食は遅いという人は、午後3時~4時の間におやつを食べておくといいそうです。

「食事と食事の間が空きすぎて空腹の時間が長くなると、その後の食事がドカ食いになりがちです。すると糖質の吸収が上がり、血糖値スパイクが起こりやすくなります。これが疲労の一因です。 

また、脂肪をため込む働きがあるBMAL1(ビーマルワン)というタンパク質は、夜10時~夜中の2時に最も多く分泌され、午後3時~4時に最も低くなります。寝る前に飲食すると太りやすいというのは、この点にあります。これを考慮すると、午後3時~4時頃のおやつなら安心です。  

そのおやつも低GI値のものを! おすすめはナッツ、ヨーグルト、ダークチョコレートなどです」

5.朝食を抜かず、夕食は寝る3時間前までに! 

疲れない体を手に入れるためには、規則正しい生活を実践することは必須です。それには食事をとる時間が大事。

「まず、朝食は抜かないでください。理由のひとつは、朝食は体内時計をリセットするのに効果的だからです。

  体内時計とは人がもともと持っている生体リズムで、体温やホルモン分泌などに関与しており、朝目覚めて夜に寝るといった、一定のリズムを刻んでいます。朝、太陽光を浴びて、朝食をとることで、そのリズムを整えてくれるのです。体内時計がずれてくると、夜眠れずに疲労の大きな原因になります。  

もう一点は、朝食を抜くと前の日の夕食から次の食事が昼になります。絶食の時間が長くなると、昼食や夕食のあとに血糖値スパイクを起こしやすくなります。  

朝食を抜く生活を続けていると、次第に代謝が悪くなり、必要なホルモンなどが分泌されにくくなり、疲れやすくなります」  

また、夕食のあと、テレビを見ながらお菓子や晩酌のつまみを、ダラダラ夜遅くまで食べていませんか? 飲食(水以外)は寝る3時間前までが鉄則です。  

「寝る直前まで飲食をしていると、胃に食べ物が残った状態で寝ることになります。これでは胃や腸、肝臓、腎臓などの消化器たちは休むことができません。質のいい睡眠がとれないので、疲労がたまっていきます。  

残業などで夕食が遅くなるときは、午後6時~7時頃に軽く何かお腹に入れておき、帰宅後は消化のいいスープ程度にとどめることをおすすめします」  

飲食を寝る3時間前に終える生活をしていると、朝の目覚めが格段によくなりますよ!

イラスト/midorichan 取材・文/山村浩子
初出:OurAge 2024/9/27

疲れたときの「飲み物」の選び方

朝起きてから、一日に何度となく口にするドリンク類。その目的は水分補給をはじめ、仕事の合間の小休止で気持ちを落ち着かせたり、やる気を出すために飲むこともあります。そんなドリンク類も、何を選んでいつ飲むか、ちょっとした工夫をすることで、疲労回復にひと役買ってくれます。工藤先生がおすすめする6つの工夫がこれ!

1. 午後3時以降は断然、クエン酸パワーのレモン炭酸水!

ランチが終わり仕事がしばらく続いた午後3時、そろそろ疲れもたまってくる頃です。この時間帯から飲むものは、ミネラルウォーターよりもレモン水やレモン炭酸水(糖質の入っていないもの)が疲れを癒してくれます。  

「レモンの酸味であるクエン酸には疲労回復の作用があり、多く含まれるビタミンCの抗酸化作用が細胞の酸化を防ぎます。レモン水でもいいのですが、炭酸水には血流を促し新陳代謝を高め、老廃物を排出する効果があります。レモン炭酸水なら疲労回復のダブル効果が期待できます。  

注意したいのは、レモンに含有するソラレンという物質が、紫外線に当たるとメラニン色素を作る働きがあります。摂取して強い太陽光を浴びると、日焼けやシミの原因になることも。そのため、飲用するのは紫外線が弱まる午後3時以降がおすすめ。晩酌にレモンサワーというのもいいですね。  

ただし、糖質入りの甘いレモンジュースはNGです。水かただの炭酸水にレモンを搾るのがベスト。また、炭酸水は飲みすぎると、体を酸性に傾けることもあり、腸への刺激が強すぎると下痢や腹痛を起こすことも。くれぐれも飲みすぎには注意してください」(工藤孝文先生)

2. お疲れさまの一杯はビール! ホップが疲れに効く 

OurAge×Webエクラ 2 お疲れさまの一杯はビール!  ホップが疲れに効く 

仕事終わりや一日の終わりに晩酌をする人も少なくないでしょう。日本酒派、ワイン派とさまざまだと思いますが、最初の一杯に断然おすすめなのがビールなのだそう。

「ビールの醸造に使われる原料のホップには、疲労回復、鎮静作用、リラックス効果、食欲増進の効果があります。さらにエストロゲンに似た働きがあるフィストロゲンが含まれているため、ホルモンバランスを整える作用も期待できます」  

「お疲れさま!」の一杯で疲れが取れる気がするのは、ちゃんと裏づけがあったのです。ただし、飲みすぎは禁物。かえって睡眠の質が低下して疲労回復ができないことも。350mlの缶ビール1本程度がいいそうです。

3. 紅茶やコーヒーにシナモンを加え、漢方ドリンクに!

カプチーノやチャイ、アップルパイやドーナッツでおなじみのシナモン。独特の甘い香りが魅力のスパイスで、古代エジプトや中国でも昔から薬用として使われてきました。

「シナモンは体を温めて、血流をよくする効果があるので、冷え症、肩こり、腹痛、月経痛などをやわらげます。また、体内の余分な水分を排出する利尿作用で、むくみの改善やデトックス効果で体をすっきりさせ、脂肪細胞の減少、血糖値を下げる効果で、ダイエットにもいいといわれています。これらの多様な効果から、疲れない体にするためには最適なスパイスといえます」

シナモンはパウダーでもスティックでも効果は変わらないそう。紅茶やコーヒーに加えれば、即席の漢方ドリンクになります。

4. 「緑茶コーヒー」は頭すっきり&気持ちを鎮める効果大 

OurAge×Webエクラ 4 「緑茶コーヒー」は頭すっきり&気持ちを鎮める効果大 

今日の食後やおやつタイムは、緑茶にしようか? それともコーヒー? とお悩みの人は、そのふたつをブレンドしてしまいましょう! なんと、このふたつを一緒に飲むと、デメリットを抑えながら、両方の健康効果がアップして、疲労回復に加えダイエット効果まで期待できるというのです。

「緑茶に含まれるテアニンとコーヒーに含まれるカフェインには、ともに利尿作用があるので、余分な水分や老廃物を排出します。また、緑茶のカテキンとコーヒーのクロロゲン酸が合わさると脂肪燃焼効果が高まります。 

一方で、カフェインには覚醒作用や緊張させる作用がありますが、緑茶のテアニンがその効果をうまく緩和し、副交感神経を優位にしてリラックスさせてくれるのです」 

つまり、頭をすっきりさせながら気持ちを落ち着けて、さらにダイエット効果も期待できる優れもののドリンクなのです。このふたつは同時に飲んでも、混ぜて飲んでもOKです。

5. はと麦茶でむくみ解消、代謝を高めて疲れ知らずに! 

「はと麦茶の原料であるはと麦はイネ科の植物で、漢方薬にもよく使われます。タンパク質は米や小麦の約2倍、ビタミンやミネラルが豊富で、食物繊維は米の約8倍ともいわれています。

特に、はと麦に含まれる成分ヨクイニンは、余分な水分や老廃物を体外に排出して、血流を促します。新陳代謝を高めることで、疲れやすい、冷え症、むくみやすいといった体質を改善して、美肌の効果も期待できます」 

こうしたヨクイニンの効果ははと麦茶でも簡単にとることができます。ほかに、スープにはと麦を入れるなどして、継続的に摂取することが大切です。

6. 水は常温か白湯でこまめにとるのが正解!

美容と健康を考えて、水を1日1.5~2ℓ飲むことを目指している人も少なくないでしょう。もちろん水分補給は大切です。しかしながら、そのとり方が重要なのだといいます。

「水分が不足すると、体が脱水状態になり、熱中症のリスクが高まったり便秘の原因にも。一方で、とりすぎで代謝しきれない水分は、体を冷やし、東洋医学でいう「水滞(すいたい)」(※)の状態になり、疲れやすく体がだるくなるなど、かえって悪影響を及ぼすことがあります。  

※水滞(もしくは水毒)は余分な水が体内にとどまって、気(エネルギー)や血(血液や体液)の巡りが悪くなっている状態。

飲み方は1時間半~2時間おきにコップ1杯(200㎖)の水を飲むのが目安。タイミングは起床後すぐ、食事の30分くらい前、運動の前後、入浴の前後、寝る30分くらい前など。喉が渇いたと感じたときには、すでに体は水分不足。渇く前に飲むことが大切です」

イラスト/midorichan 取材・文/山村浩子
初出:OurAge 2024/9/20

疲れをためない「姿勢」と「生活習慣」

あの人はいつも元気そう、それに比べて私はどうしていつもこんなに疲れているの? そう思ったことはありませんか?

「これをしさえすれば疲れないといった魔法のような方法はありません。日々のちょっとしたことの積み重ねが、疲れない体をつくる秘訣です」(工藤孝文先生) 

そんな、小さな生活習慣をまとめました。

1. 疲れない人は、立っていても座っていても姿勢がいい 

「二足歩行の人間にとって、重力に対して最も楽なのは、横から見て背骨が緩やかにS字カーブを描き、耳、肩、股関節、膝、くるぶしが一直線になった姿勢です。これがよい姿勢といわれるものです。  

人間の頭は体重の約10%もの重さがあり、成人女性では4~6㎏。この重さを首や肩、背中の筋肉が支えています。こうした重い頭を支える際も、よい姿勢をとっていると、湾曲した背骨がクッション役になって、その重さを効率よく吸収することができます。  

ところが、首が前に傾いた悪い姿勢だと、首や肩にかかる負担は2倍以上になるといわれています。一見、楽そうに見える猫背の姿勢ほど、体への負担は増して、疲れやすくなるのです。  

さらに、よい姿勢を維持するときに使われる、背中、お腹、お尻などにある抗重力筋が適度な刺激を受けると、脳内ホルモンのセロトニンが分泌されることがわかっています。セロトニンは別名『幸せホルモン』と呼ばれ、心のバランスを整える働きがあるので、ストレスを感じにくくなります。  

座り姿勢では、椅子に深く座り背もたれに背中をつけて、両足の裏全体を床につけ、膝を90度以上に曲げ、肩の力を抜いた姿勢がベスト。  

脚を組んだり、両膝をつけて足をハの字に広げた姿勢は、体や骨盤の歪みを引き起こし、膝やふくらはぎにも悪影響があり、痛みの原因になるので注意が必要です」  

こうした正しい姿勢習慣を身につけるだけで、疲れ具合が変わってくるというので、ぜひとも実践を!

2. 階段を上るときは足元を見ないのが正解! 

長い階段を上るとき、すぐに息が切れて、途中でため息をつきながら上っていませんか? 一方でスイスイと足取り軽く上っていく人もいます。その違いは、単なる運動不足の問題だけではないようです。

OurAge×Webエクラ 2 階段を上るときは足元を見ないのが正解! 

「その違いのひとつは上るときの姿勢です。よくあるのが、足元を見て前かがみになっている状態。これだと重心が体の中心からずれるので、頭や体を支えたり、股関節や膝への負担を軽減しようと、そのまわりの筋肉が使われます。より多くのエネルギーが必要になるのです。  

また、つま先だけを階段のステップにかけて上ると、バランスをとろうと、膝が前に突き出た形になるので、余計に脚の筋力が必要です。長く続けていると、膝のトラブルを引き起こしかねません。  

足元を見ずに、視線を3段ほど先に向け、姿勢を真っすぐに保ちながら、ステップには足裏全体でしっかり踏み込むこと。こうすると体重が真下にかかるので、疲れを軽減することができます」

3. 落ち込んだときこそ「そわかの法則」でポジティブ思考に

落ち込むことがあったり、気分がさえないとき、そんな心はそのまま体の疲れとして現れます。そんなときこそ「そわかの法則」だといいます。

「『そわか』とは『掃除・笑い・感謝』の頭文字をとった言葉です。これらを実践すると幸運がやって来るというものです。  

皆が嫌がることを率先して行い、笑顔を絶やさず、人への感謝の気持ちを持つことです。落ち込んで何もする気が起きないときこそ実践すると、ネガティブな感情から解放されて、心を立て直すスイッチになるはずです。これは私自身が実践している方法です」

4. 天気に敏感な人は天気予報のチェックを習慣にする 

雨や曇りの日はなんとなく元気が出ない、低気圧が近づくと頭痛がひどくなるといったことはありませんか? 犬を飼っている場合は、雨の日は一日中寝ているといった愛犬の行動で気づくこともあります。

OurAge×Webエクラ 4 天気に敏感な人は天気予報のチェックを習慣にする 

「実は、気圧の変化は心身に影響を与えることがあります。天気によって頭痛が起きたり足腰が痛むといった症状は、最近は日本でも『天気痛』として注目されています。

こうした天気痛への対処で大切なのは、自分カルテを作ることです。不調を感じた日と症状をメモしておくのです。すると、『雨の日は頭痛がひどい』『曇りの日は気分が落ち込む』といった、天気との法則性がわかってきます。すると、その前に薬を飲むなどの対応ができるようになります」  

天気予報をチェックする習慣をつけることで、前もって心身の不調に対する準備ができ、不要な疲れを未然に防ぐことができます。

5. 週末のデジタルデトックスで脳にも休日を! 

仕事でパソコンに向かい、通勤や休み時間にはスマホを見てしまう…。そんな人は少なくないのではないでしょうか?

「パソコンやスマホの画面を見ているだけで、脳は多くの情報を受け取り、それを処理してフル回転で働いています。たとえ体を動かしていなくても、夕方になるとぐったり疲れるのはそのためです。  

この脳疲労を解消するためには、スマホやパソコンを使わない時間を長くすることが大切です。気がついたらスマホを手にとっている人は、スマホ依存症かもしれません。できたら一週間に1日、これらに触らない日をつくってはどうでしょうか? せめて、夜何時からは触らないようにするなど、できる範囲で始めるといいでしょう」  

【スマホ依存度チェック】

□ スマホが手元にないと落ち着かない
□ 一日中スマホに関することを考えて、どうしても触ってしまう
□ メールやSNSを必要以上にチェックする(すぐに返信しないといけないと考える)
□ ネットサーフィンや動画の視聴をしていると、気づくとかなりの時間がたっている
□ 気づいたときには小遣い以上に課金していた

ひとつでも当てはまるならスマホ依存症かもしれません。少しずつでも、見ない、触らない時間をつくって、脳を休ませることをおすすめします。

イラスト/midorichan 取材・文/山村浩子
初出:OurAge 2024/10/4

疲労回復のカギ「睡眠」を見直す

「睡眠中は心拍や呼吸が穏やかになり、体温や血圧が下がります。これにより、日中に活動して疲れた体や脳は休息モードに入ります。睡眠の働きはそれだけではありません。傷ついた細胞を修復したり、記憶や情報、感情の整理、免疫力を高めるなど、体や脳、心のメンテナンスをしています」(工藤孝文先生)

  これらすべてが滞りなく行われると、翌日に疲労が残らず、シャキッと爽やかな朝を迎えられるのです。そのためには、少なくとも次の6つのことを実践したいと工藤先生。その方法とは?

1.疲れない体のためには、毎日同じ時間に起きるのが第一歩!

快適な睡眠を得るためには、寝る前だけでなく、朝からの行動が重要です。

「私たちの体には、朝起きて、昼に活動し、夜寝るという時計遺伝子が備わっています。これを体内時計、またはサーカディアンリズムといいます。1日およそ24.5時間に設定されているため、地球の自転の24時間に対して、毎日30分ほどずれが生じます。これを調整してくれるのが、朝の太陽光です。 

朝起きたらカーテンを開けて、窓越しでもいいので朝の光を浴びます。すると目の網膜が光を感じることでセロトニンが活性化します。夜になると、このセロトニンを材料に睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンを分泌します。このように、夜の快眠を得るためには、朝にしっかりとセロトニンをつくっておくことが重要。そのためには朝の太陽光が必要なのです。 

また、休日に寝だめをしようと朝寝坊をする人もいますが、いつも通りの時間に起床することが大切です。いつもよりも長く寝たい場合は、寝る時間を早めるほうがいいでしょう」  

大切なのは、夜寝る時間でなく、朝起きる時間を一定にすること! 夜更かしの朝寝坊が習慣化すると体内時計がどんどん乱れて、疲労が蓄積していきます。やがて肥満や生活習慣病、うつ、免疫力の低下やがんの発症リスクも高まります。

2.昼寝を活用してトータルで睡眠時間を確保する

仕事が忙しい、自分磨きのための勉強、家族の世話や介護などで、十分な睡眠時間が確保できないという人も少なくないでしょう。  

「人間には1日7時間の睡眠が必要といわれています。年齢や季節などで多少異なりますが、少なくとも6時間は寝たいものです。  

それだけの時間が確保できない人は、昼休みや通勤時間などに少しずつ仮眠をとって、トータルで6~7時間を目指しましょう。特に、昼12時~15時の間に20分ほどの仮眠をとると、脳や体の疲労回復にとても有効です。  

ただし、1回の仮眠は15~20分にとどめ、夕方以降は夜の睡眠に影響が出るので避けます。眠らなくても、目をつぶるだけでも効果はあります。  


一方、8時間以上の睡眠、休日の寝だめは逆に疲労感を生むこともあるので避けてください」

3. パジャマにこだわる!素材はシルクがベスト 

OurAge×Webエクラ 3 パジャマにこだわる!素材はシルクがベスト 

部屋着や運動着などで寝ている人はいませんか? 実は、何を着て寝るかで、睡眠の質が大きく変わるのだと工藤先生。

「パジャマと部屋着や運動着とでは目的が違います。パジャマには肌触りがよくて、汗の吸湿性や放出性がいい素材、体を締めつけない着心地のいいデザインであることが必要です。これらを考えると、私がすすめているのはシルクのパジャマです。

季節や個人差はありますが、人は寝ているときに約1ℓの汗をかくといわれています。シルクは汗の吸湿性と放出性が高く、夏は涼しく、冬は暖かいという特性があります。 

ナイロンなどの通気性の悪い素材だと、ベッド内の温度や湿度を快適に保てないため、自律神経が乱れて睡眠の質を下げ、疲労回復を妨げます。 

シルクのほかによいと思うのがガーゼ素材。これも肌触りがよく、汗を吸い、熱がこもりにくいので、特に夏におすすめです。  

ちなみに冷え症で靴下を履いて寝る人がいますが、足の先から熱の放出ができず、よい睡眠を妨げる可能性があります。冷える場合は足先があいたレッグウォーマーがいいでしょう」

4.入浴は寝る1~2時間前にぬるめの湯が鉄則 

「人の体は寝る前に体の深部体温を下げることで、眠気を誘い眠る準備をします。眠くなると手足の先が温かくなるのは、手足の皮膚表面の血管を開いて熱を放出させているからです。

深部体温の下がり幅が大きいほど脳の温度が下がり、入眠しやすくなります。そのためには、寝る1~2時間前にお風呂に入って体を温めておくことをおすすめします。 

湯の温度は季節にもよりますが38℃前後が目安。温度が高すぎると交感神経が活発になるので逆効果。長風呂も体温が上がりすぎる可能性があるので避けたいもの。 

湯船につかるのは、ぬるめの湯に10分を目安にしてください」

5.快眠を妨げるいびきは横向き寝で解決 

OurAge×Webエクラ 5.快眠を妨げるいびきは横向き寝で解決 

40歳を過ぎた頃からいびきをかくようになったという人は少なくありません。それは喉の筋肉の老化や疲れが一因です。いびきは熟睡を妨げ、気道がふさがれて呼吸が一瞬止まる睡眠時無呼吸症候群の原因にも。

「いびきは吸い込んだ空気が鼻や喉を振動させる音です。特にあお向けで寝ていると、舌が緩んで気道を圧迫するので、いびきをかきやすくなります。その解決策として、気道を確保しやすい横向き寝がおすすめです。  


向きは右向きがいいでしょう。胃は体の右側に曲がって

6.途中で目が覚めても時計を確認しない 

睡眠障害には、なかなか寝つけない、途中で目覚めてしまうなどさまざまなケースがあります。

「質のよい睡眠を確保するためには、寝る2時間前から蛍光灯などの青系の明るい光を避け、暖色の間接照明にします。明かりの強さを調整できるとベストです。就寝中は足元を照らすフットライト程度にして、真っ暗にするのがおすすめです。 

また寝つきが悪いときや途中で目覚めてしまっても、時間を確認するのはNG! 『あ~、1時間たったのにまだ眠れない』『今からだと3時間しか眠れない』など、焦るだけです。睡眠に焦りや不安、イライラすることは禁物。時計を見ることでそうした感情が増幅するので、時計は見ないことです。  

眠れないときは腹式呼吸をして副交感神経を刺激するのがいいでしょう。鼻からゆっくり4秒かけて息を吸います。そして7秒息を止めて、口からゆっくり8秒かけて息を吐きます。これを3回ほど繰り返すと、心が落ち着いてくると思います」

良質な睡眠を味方につけることが、疲れない体になる第一歩! 今日から試してみてください。

イラスト/midorichan 取材・文/山村浩子
初出:OurAge 2024/9/13

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