夏本番に向け、ビール欲が高まる時季。デパートの酒販コーナーや専門店はもちろん、スーパーでもバラエティ豊かなビールが手に入る今、毎日のビールはどう選ぶ?なじみ深く安定のおいしさの国産大手メーカーのアイテムを軸に、ビールの楽しみをお伝えします。
語りつくします。三者三様のビール愛”
「一日の終わりに飲みたい定番は、あの銘柄でなくては!」と、ビールには一家言あり。食のプロのお三方に、推しの理由や楽しみ方をうかがいました。
(右)フォトグラファー 宮濱祐美子さん
みやはま ゆみこ●雑誌や料理書などで幅広く活躍。器や工藝にも造詣が深く、作家からの信頼も厚い。撮影を担当した書籍は『鍵善 京の菓子屋の舞台裏』(小学館)ほか。
(中)料理家 ワタナベマキさん
グラフィックデザイナーを経て’05年より活動開始。季節の食材を生かしたレシピに定評がある。新刊『ワタナベマキの大人はこんな自炊でいい』(主婦の友社)が発売予定。
(左)フードライター 小石原はるかさん
こいしはら はるか●マニアックな“偏愛系記者”として多くの媒体に寄稿。著書『自分史上最多ごはん』(マガジンハウス)、『東京最高のレストラン』(共著、ぴあ)ほか。
いろんな味を知っていても 毎日飲みたい定番はひとつ
身近な場所で買える国産メーカーのビールは、いつでも気軽に楽しめるけれど「とりあえず」とはいわせない! 温度に酒器、飲み方やおつまみまで細かなこだわりはあるけれど気取りはナシ。本音のビールトークが止まりません。
小石原さん(以下:小石原) 夜はもちろん、状況が許せば朝でも飲みたいほどのビール好きです。おふたりの話をうかがうのを楽しみに参りました。
宮濱さん(以下:宮濱) 私も毎日飲みたい派です。銘柄も決まっています。
ワタナベさん(以下:ワタナベ) こだわりがすごい(笑)。私も日々の生活の中で、ビールを飲む時間は大事ですね。
小石原 初めにお互いの“推し”銘柄を明かしませんか?
宮濱 ぜひ。私は「アサヒスーパードライ」命です。よく仕事をする編集者やライターさんの間でちょっと有名で、出張先で食事するときに「スーパードライ」を飲める店を探してくれるほど(笑)。
ワタナベ 私は、家で飲むなら「SPRING VALLEY BREWERY」です。外で飲むときは「サッポロ 黒ラベル」が多いかな。小石原さんは?
小石原 ゴリゴリの「サッポロ」党で。自宅で料理教室をしていた母が「黒ラベル」の小瓶を常備していて。孵化したヒヨコが初めて見た世界のように、ビール=サッポロの刷り込みがあり(笑)。もちろん今は味こそが選ぶ理由で、のどごしの爽快感、行きすぎない苦味とほどよいコクが「サッポロ」の魅力かなと。
宮濱 「スーパードライ」は、ポジティブな意味で“情報量の少なさ”がいいんです。すっと入っていく、引き算の味。外でも家でも和食が多くなって、「スーパードライ」好きに拍車がかかりました。
小石原 納得。私も温泉旅館で長風呂したあとや、暑い日に体を動かしたあとなどは「スーパードライ」を欲します。
ワタナベ 私は、撮影などの仕事終わり、試食もあるのでおなかは空いていないのですが、1杯飲みたい。そんなとき、ビールだけで満足できる「SPRING VALLEY BREWERY」がぴったり。「豊潤ラガー496」がメイン、暑い時季は「シルクエール 白」を選びます。
小石原 私は家では「黒ラベル」缶を箱買い。でも生ビールも飲みたいので「サッポロ」直営店にもしょっちゅう行きます。大衆酒場では「サッポロラガービール(赤星)」で、年2回発売される缶商品も必ず1回2箱は買います。
宮濱 さすが、徹底されていますね。
宮濱さんのFavorite
アサヒ アサヒスーパードライ
家でも外食時でも1杯目は「アサヒ」!
缶に記載の(福島、茨城など製造工場がわかる)製造所固有記号をチェックするほどの「スーパードライ」フリーク。缶から直飲みはご法度、かつ冷たさを追求する姿勢から、新幹線飲みでもカップ入り氷でプラカップを冷やす周到ぶり。京都の定食店で「かつ丼のあたま(ごはん抜き)」と楽しんだのが最近の感動更新体験。
ワタナベさんのFavorite
キリン SPRING VALLEY BREWERY
おなかはいっぱいでも仕事終わりの1杯を
撮影終わりや、撮影と試作やデスクワークの間などに、重すぎないビールでのどを潤すのがお決まり。代官山の直営店「スプリングバレーブルワリー東京」に出かけ、店限定の商品を楽しむことも。マイクロブルワリーのクラフトビールは基本外飲みで、アトリエに近い「ふたこビール醸造所」は身近な給水(!)スポット。
小石原さんのFavorite
サッポロ サッポロラガービール
定番から限定商品まで「サッポロ」推し
大衆酒場は「サッポロラガービール(赤星)」がある店を選ぶほど。瓶ビールは手酌で「自分がおいしいと思うペースで」楽しむ。「サッポロクラシック」「エーデルピルス」など地方・飲食店限定商品も網羅。「生ビールを飲みたい」から通う「銀座ライオン」ではビールがすすむ味で低カロリーの「こんにゃくのピリ辛炒め」を逸品とあがめる。
愛する定番を、よりおいしく。1杯のビールにかける情熱!
ワタナベ 家飲みの際のこだわりは?
宮濱 帰宅後、缶とグラスを冷凍庫に入れて手早くシャワーを浴び、キンキンを飲むのがお決まりです。グラスは小ぶりで、極薄まではいかない薄手のもので。
小石原 私は、休日や時間に余裕がある日は、朝から飲みたい。ゆっくりお風呂につかったあとや、ていねいに作った焼きそばと合わせて楽しむのが至福。そして実は、家では缶から直飲み派。酒器を冷やす手間なしに冷たさが感じられるので。
ワタナベ お見受けするイメージとギャップが(笑)。私は今の季節はテラス飲みが楽しみ。グラスはやはり、小ぶり、薄めが好み。あと、ちょい飲みにぴったりの250㎖缶は、銘柄問わず見つけたら買っておきます。おつまみは?
宮濱 和食党なので、おひたし、冷ややっこ、漬け物など簡単なものが多いかな。
小石原 私は焼きそば以外だとハムエッグも好き。塩・白こしょうで!
ワタナベ さすが、細部にこだわりが。
小石原 いやいや、ちくわをかじりながら飲むのも好きですよ(笑)。
宮濱 練り物いいですね、私もよく食べているかもです。ワタナベさんは?
ワタナベ 揚げ物一択です。今ならアスパラなど旬の野菜が多い。飲んでいるビールを衣に加えてカラッと。怒られそうですが、キッチンで揚げたてをつまみながら飲むのが最高。
宮濱・小石原 おしゃれ~!
完成された味わいながら、寛容で余白があるのがいい
小石原 職業柄、常にダイエット中なので「サントリー PSB」にもお世話になっています。満足感のある味でカロリーゼロなのがありがたい。「そこまでして飲むなよ」と突っ込まれそうですが。
宮濱 わかります。私は休肝日も「アサヒ ドライゼロ」を飲みますから。
小石原 ノンアルは、「アサヒ」いいですよね。ちなみに「サントリー」は、リニューアルした「サントリー生ビール」も軽やかさがよく、最近のお気に入り。
ワタナベ 話題のクラフトビールは? ふだんから飲まれますか?
小石原 最近、アジア料理店などを中心に品ぞろえが充実したレストランがあるので、クラフトビールは基本、外食で。
ワタナベ 私もカフェなどで打ち合わせの際、“おやつ感覚"で飲む感じ。
宮濱 おやつ感覚! 名言出ましたね。私もブルワリー取材などの機会も多く、おいしさは理解しつつも、晩酌はやっぱり「スーパードライ」(笑)。
小石原 宮濱さんのアサヒ愛が深い。
宮濱 外食が高級なレストランだったり、店に「スーパードライ」がないとわかっていたら、あらかじめ1本飲んでから出かけますから。
ワタナベ・小石原 すご~い!
宮濱 完全にオン・オフの切り替えスイッチになっています。
ワタナベ 同感。仕事終わりの1杯は究極のリラックスですよね。
小石原 だからいろんな意味で懐が深い、国産メーカーのビールに行きつくのかもしれません。おいしいけれど押しつけがましくなく、幅広いおつまみに合う包容力がある!
ワタナベ そうそう。おつまみも気張りすぎ、語りすぎは禁物。かえって無粋なような気さえする。
宮濱 先に話したように、飲み方の小さな工夫を楽しめる余白があるのもいい。
小石原 季節や地域限定の商品も各社魅力的で、掘り出すとさらに楽しいです。
ワタナベマキさんのビールにはこれ!レシピ
ディープフライのポテトチップス
材料(作りやすい分量)
じゃがいも……2個(300g)
塩……小さじ2/3
青のり(好みで)……適量
揚げ油……適量
作り方
❶じゃがいもはよく洗い、皮つきのままスライサーでごく薄切りにする。水にさらして、ザルに広げペーパーで水気を押さえる。
❷2~3時間ほどそのまま置き、表面の水気をしっかりと乾かす。
❸鍋に揚げ油をたっぷりと入れて180℃に熱し、②を入れて揚げる。軽く色づいてきたら、油の温度を少し上げて(200℃)、最後に30秒ほど揚げて油をきる。
❹油がきれたら器に盛って、塩と好みで青のりをまぶす。
撮影/メグミ 取材・原文/佐々木ケイ ※特集内の商品価格は、特に記載のないかぎり、編集部調べです ※エクラ2026年6月号掲載