藩政時代の城下町、村上は当時の面影を残す街並みが美しい。歴史を受け継ぎ、洗練を帯びた食文化にも注目。今回は、老舗の鮭専門店『千年鮭 きっかわ』へ。
『千年鮭 きっかわ』
手で鮭に塩をすり込む作業を「塩を引く」ということから名がついた「塩引き鮭」。約1000本が天井から吊り下げられた様子は壮観だ
風土が育む伝統食、復活の立役者
村上の食文化の象徴ともいえるのが「塩引き鮭」。雄の秋鮭に塩をすり込み、冬の間中、寒風にさらして乾燥させる。風土とそこに暮らす人々の知恵が育んだ伝統保存食だ。
『千年鮭 きっかわ』は、戦後、即席食品の普及で途絶えかけた家庭料理と、村上の鮭文化を復活させた鮭の専門店だ。店の奥の作業場も開放し、類まれな製法を伝えている。隣には居間が連なり、町屋造りの建物に、明治初期からの生活様式が見られるのも貴重だ。
塩引き鮭は、しっかりとした塩気と凝縮したうま味に特徴がある。村上の鮭料理は100通りもあるといわれ、店に並ぶ商品で、あるいは系列の食事処「井筒屋」で味わうことができる。
寛永3(1626)年、造り酒屋として創業して今年で400年。「鮭のまち・村上」のランドマークで、地域づくりの中核でもある
塩引き鮭の切り身をはじめ「酒びたし(1年熟成させ薄くスライスしたもの)」「鮭の生ハム」などを村上みやげに
『きっかわ』から徒歩3分の場所にある「井筒屋」の鮭料理。白子の寒風干しや、はらこの味噌漬けなど8品¥3,550~(予約推奨)
Data
新潟県村上市大町1の20
☎︎0254・53・2213
9:00~17:30
定休日:元日
https://www.murakamisake.com/
撮影/宮濱祐美子 取材・原文/佐々木ケイ ※エクラ2026年10月号掲載