更年期症状の不調は自律神経を整えて防ぐ!【更年期対策ルーティーン】

心身にさまざまな不調が起こる更年期には不安がつきものだけど、正しい知識をもっておくだけで心が軽くなるもの。今回は、更年期症状の治療法や向き合い方について、産婦人科医の八田真理子先生に教えていただきました。

教えてくれたかた

産婦人科医 八田真理子先生

産婦人科医 八田真理子先生

聖順会ジュノ・ヴェスタ クリニック八田院長。
幅広い世代の女性の健康をサポート。著書は『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)など。

婦人科での治療や生活習慣で更年期の不調は防げる

更年期にはさまざまな対策が用意されているのでご安心あれ。病院での治療にも数種類あり、閉経間近から閉経後なら治療の第一選択肢はHRT(ホルモン補充療法)。

「HRTは女性ホルモンを補う方法で、内服薬、はり薬、塗り薬があります。即効性があり、1週間程度で効果を感じることもありますし、肌の潤いがアップしたり、骨粗鬆症や動脈硬化を防げたりとアンチエイジング効果も。デメリットは、乳がんや子宮体がん、血栓症のリスクを高める点。ただ、乳がんについてはHRTを5年以上続けた場合、行っていない場合の1.26倍リスクが高まるという程度で、乳がん検診やセルフチェックをきちんとすれば予防でき、5年以上続けることも可能です。また、基本的にエストロゲンだけでなくプロゲステロンも補充するので子宮体がんのリスクが高まるのも防げますし、経皮吸収のはり薬や塗り薬を選ぶことで血栓症のリスクも下げられます。メリットが多いので症状がつらいならおすすめです」

また、漢方薬やエクオールのほか、メンタル症状が強ければ抗うつ剤などでの治療も可能(の枠内参照)。「漢方薬は体質を改善していく治療法で、全身の不調に効果を発揮します。2カ月ほど続けると効果を感じる人が多いようです。また、エクオールはエストロゲンに似た働きをし、手指のこわばりなど更年期の不調の改善を下支えしてくれます。たとえていえば、HRTが寒いときにすぐに体を温めるガスファンヒーターなら、漢方薬はじんわり温める電気ストーブ、エクオールは下から温める床暖房というイメージですね」

 更年期障害の主な治療法とは?  【HRT(ホルモン補充療法)】
女性ホルモンを補う方法。更年期の不調改善や、閉経後の骨粗鬆症などエストロゲンの欠乏に伴う症状に有効。内服薬、はり薬、塗り薬がある。保険適応。

【漢方薬】
更年期症状によく用いられるのが、加味逍遙散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)。婦人科や漢方薬局で処方してもらえる。更年期症状には保険適応。市販の漢方薬もある。

【エクオールのサプリメント】
エストロゲンと似た働きをする大豆由来の成分。更年期症状への効果のデータがある。ドラッグストアや通販などで購入でき、婦人科での取り扱いも増えている。

【抗うつ剤・精神安定剤】
イライラやうつなどのメンタル症状が強い場合は、抗うつ剤や精神安定剤が処方される場合も。保険適応。メンタル症状が強い場合、心療内科を受診してもOK。

そして、更年期の不調の改善になによりも大切なのが日々の生活習慣。

「更年期になると、自分の生活習慣がもろに体に出ます。特に食事は体調にそのまま反映されるので、バランスのよい食事を心がけることが大事。また、適度な運動は自律神経を整え、更年期症状の改善に効果的です。それから、睡眠が十分にとれていないと更年期症状が悪化しやすいので、7時間は寝るのが理想的」

そのほか、下記の習慣もチェック。

「こういった習慣は見た目の若さの維持にもつながります。更年期は自分の体と向き合い、今までの悪い生活習慣をリセットする絶好の機会です。健康のためのルーティンをつくって、この先の人生のために、よい再スタートを切ってくださいね」

八田先生がアドバイス! 日常生活の改善ポイント

とにかく十分な睡眠
バランスのいい食事
(特に魚・肉・卵などのタンパク質や発酵食品をしっかりとる)
日光をよく浴びる
適度な運動をする

日常生活の改善ポイント

骨密度を下げない
(足踏みやジャンプをしたり、ビタミンDをとる、など)
体を冷やさない
心身の不調を我慢しない
リラックスできる時間をもつ
心がときめくものを見つける

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