血糖値の乱高下を防ぐには、糖質をとりすぎないことが第一ですが、具体的にはどんな工夫をするとよいのでしょうか。今回は糖質の摂取量の目安や食べ方の工夫、インスリン抵抗性を抑える作用がある食品など、食後血糖値の急上昇を防ぐ食事術についてお聞きしました。
血糖値スパイクを防ぐ食事術4選
1食あたりの糖質摂取量は30~40g程度が目安。食べる順番は「カーボラスト」を徹底しよう
血糖値の乱高下を防ぐには、糖質を摂りすぎないことが第一。とはいえ、極端な糖質制限は逆効果です。なぜなら、糖が不足した状態が続くと脳が「体の危機」と勘違いして、体内で糖を作る「糖新生」が起こり、高血糖を招く心配があるからです。
では、高血糖を防ぐための炭水化物(主食となるごはんやパンなどの糖質)の摂取量は、どのくらいを目安にするとよいのでしょうか。
矢野先生が糖尿病の患者さん30名を対象に、糖質の摂取量と高血糖の関係を調べるデータをとったところ、「1食あたりの糖質の摂取量が40g程度であれば、目立った食後高血糖は起こらない」という結果が出たのだそうです。
「以来、私が推奨している糖質の摂取量は約40gです。具体的には、ごはん1膳分に含まれる糖質が約50~55gなので、その7~8割の量が目安です。主菜や副菜にも糖質が含まれていますから、まずはメインのおかずを食べて、ごはんの量を控えめにするのが第一歩。食べすぎてしまいがちな人には、子ども用のごはん茶碗を使うようにすすめています」
一方、パン食の場合はどうでしょうか。
「6枚切りのパン1枚あたりの糖質量が約30g。ジャムをつけると糖質過多になりがちなので、バタートーストやチーズトーストにするといいですね。朝食にトースト1枚と目玉焼き、ソーセージ、サラダを添えると、タンパク質と脂質、食物繊維を一緒にとることができます。糖質オンリーはなく、タンパク質や脂質を一緒に摂ることが、血糖値スパイクの予防につながります」
昼食にそば、うどんなどの麺類を食べるときも同様です。肉や卵をトッピングしたり、お惣菜の小鉢を添えたりして工夫しましょう。
そして、食べる順番も大切。
「まず初めにタンパク質と脂質、そして食物繊維をとってから、最後に主食を食べる『カーボラスト』を意識していただきたいです。近年の研究によれば、「炭水化物を食事の最後に食べた群は、そうでない群にくらべて食後のインスリンの分泌量の変動が小さく、食後血糖値が抑えられた」というエビデンスもあるのです。
カーボラストを実践すると、自然と満腹感が得られるようになり、炭水化物の摂取量を無理なく減らすことができますよ」
水溶性食物繊維をしっかり摂取すると、血糖値が上がりにくくなる
食物繊維には水溶性食物繊維を不溶性食物繊維がありますが、積極的にとりたいのは水溶性食物繊維を豊富に含んだ野菜と海藻類をはじめとした食品です。
「なかでもオクラやしいたけ、こんにゃく、ワカメ、昆布などは腸のなかでゲル状になり、糖質を包みこみながら移動します。これらの水溶性食物繊維は腸のなかで糖質をゆっくりと吸収するので、主食よりも先に水溶性食物繊維が豊富な野菜や海藻類を食べることによって、食後血糖値が上がりにくくなるんです」
葉物野菜を積極的に食べよう!おすすめはブロッコリー
矢野先生が高血糖の患者さんたちの問診をすると、「野菜は体にいいから、たくさん食べています!」という人たちが多いのですが、実際には、糖質を多く含む野菜を選んでいるケースが多いのだとか。
「たとえばジャガイモやトウモロコシ、ニンジン、カボチャなどを組み合わせて食べると、糖質過多になりがちなので、食べすぎないようにしたいですね。特にポテトサラダやマカロニサラダは糖質のかたまり。サラダと呼ぶべきではありません!副菜の一品としてサラダを添えるときには、やはり葉物野菜を食べてほしいですね」
野菜のなかでもとくに注目したいのはブロッコリーなのだそうです。
「ブロッコリーにはスルフォラファンというインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなる状態)を改善する作用がある物質が豊富に含まれています。『肥満の人、2型糖尿病の人にブロッコリーから抽出したスルフォラファンを摂取してもらったところ、空腹時の血糖値が改善した』という報告もあるんですよ。なので、私自身も毎日ブロッコリーを食べるようにしています」と矢野先生
ちなみにスルフォラファンには抗酸化作用、がん予防、脂肪燃焼効果もあります。ブロッコリーと同じアブラナ科の野菜、キャベツやカリフラワーにもスルフォラファンが豊富に含まれているので、アブラナ科の野菜を毎日の食卓に取り入れるとよいでしょう。
フルーツに含まれる果糖には糖質が多く含まれるので、食べすぎないように注意!
では、逆に食べすぎないように注意すべき食品もあるのでしょうか。
「『主食のごはんやパンを食べすぎないようにしているのに、血糖値が下がらない』という患者さんの場合、『健康によい』と信じて食べている食品が原因になっているケースが少なくありません。とくに注意していただきたいのがフルーツです。フルーツに含まれている果糖は、直接血糖値を上げることはないのですが、中性脂肪を増やして脂肪肝の原因になります。近年、脂肪肝の人が高血糖になるケースが増えているので、フルーツを食べすぎないように注意しましょう」
なかでも糖質が豊富に含まれているのはバナナ、ぶどう、マンゴーなど。一方、糖質が比較的少ないとされるのはいちご、グレープフルーツ、もも、スイカなどです。
日本糖尿病学会が推奨する1日あたりのフルーツの摂取量は、りんごなら1/2個、ももは1個、みかんは2個とされています。ジャムやドライフルーツ、シロップ漬けの缶詰、フルーツジュースは血糖値を急上昇させやすいので、なるべく控えるほうがよいでしょう。
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