更年期世代に突入すると、これまでは感じなかった“体の不調”を感じやすくなるもの。連載「変わりゆくカラダ学」では、アラフィーからのカラダのお悩みに専門家が回答! 今回は、よくわからない謎の咳について。
咳ぜんそく
【読者のお悩み】
よくわからない謎の咳がもう1カ月近く止まらないのですが……
――48歳・会社員
最近、「風邪をひいたあと、咳だけが何週間も続いている」「風邪薬を飲んでも咳が止まらない」といった症状に悩む人が増えています。
長引く咳の原因は、百日咳やマイコプラズマ肺炎などの感染症や、逆流性食道炎による気管支への刺激、鼻炎による後鼻漏(こうびろう・鼻水がのどに流れ込む状態)などさまざまですが、特に多いのが「咳ぜんそく」という病気です。気管支に慢性的な炎症が起き、少しの刺激でも咳が出やすくなった状態で、ぜんそくの一歩手前です。
風邪などの気道感染症を機に発症することが多く、寒暖差や乾燥などでも悪化します。ぜんそくというと子供の病気のように思うかもしれませんが、近年はアレルギー疾患の広がりや大気環境の変化などから、咳ぜんそくの罹患は年齢を問わず増えています。遺伝も関係するほか、疲労やストレスも悪化要因で、多忙なエクラ世代にもよくみられます。
症状は痰を伴わない乾いた咳が続くことで、夜間や明け方、起床時に悪化しやすく、熱やのどの痛みなどの風邪症状はほぼありません。「風邪の治りかけ」と思いがちですが、咳が3週間を超えたら、もはや風邪ではないと考えましょう。2週間以上続いたり市販薬で改善しない場合は受診を。まずは内科でもかまいませんが、症状が続く場合は呼吸器内科へ。胸部X線や肺機能・呼気検査などを行い、肺炎などの病気がないかも確認できます。
咳ぜんそくの治療には、気管支の炎症を抑えるステロイド薬と、気管支を広げる薬が配合された吸入薬を用いることが多く、アレルギーが強い場合は抗アレルギー薬も併用。風邪薬では治らなかった咳も、正しい診断と治療によって数日で改善を実感できるケースは少なくありません。ただし症状が治まっても気管支の炎症は残るため、薬は自己判断で中断せず半年程度は続けるのが基本。放置すると本格的なぜんそくへ進行しかねないので早めの受診が肝心です。
セルフケアとしては、十分な睡眠をとり、疲労やストレスをためないことです。また、咳ぜんそくは副交感神経が優位な夜に悪化しやすいうえ、寝室は気道を刺激するハウスダストも多いので、寝具はこまめに洗濯し、寝室を清潔に保ちましょう。エアコンの風が直接当たるのを避け、フィルターを定期的に掃除することも大切です。乾燥で咳が誘発される人はマスクで気道を保護するのもおすすめ。
また、更年期世代は女性ホルモンの変動で、のどの詰まり感や息苦しさを感じやすく、咳が悪化することがあります。この場合、婦人科のホルモン補充療法で改善する場合も。そのほか、肥満は気管支の不調や逆流性食道炎のリスクを高めるため、適正体重を保つことも大切。「たかが咳」と軽く考えず、早めの対策を心がけましょう。
【お話をしてくれたかた】
きしもと くみこ●医療法人社団ハピコワ会理事長。ハピコワクリニック五反田院長。アレルギー専門医、総合内科専門医。呼吸器診療を中心に子供から大人まで、専門性の高い医療の提供を目ざす。
【お悩み募集中!】
この違和感は何? この不調は私だけ? 気になる体のお悩みがありましたら、編集部(mail : info.eclat@ms.shueisha.co.jp)まで声をお寄せください。
text:Miho Wada illustration:Ogasawara ※エクラ2026年9月号掲載