うれしい日も、揺れる日も。その瞬間に感じたことを、まっすぐに。何げない気づきが、私たちの心をふっと軽くしてくれるはず。亜希さんの連載「ウェルビーイングでいこう!」、今回は 「気持ちよく生きるための“自分リセット”習慣」について。
vol.4 「気持ちよく生きるための“自分リセット”習慣」
シャツ¥15,000/COS 青山店(COS) その他/スタイリスト私物
私だけの時間をつくって心も体もからっぽに
先日、淡路島にある『禅坊 靖寧』で、トータル・ワークアウト代表の池澤智さんと一緒に主催しているリトリートツアーを開催しました。
今年で3年目になるこのツアーでは、朝のすがすがしい光に包まれながらヨガを行い、静かな時間の中で瞑想をする。そして、地元の旬の野菜をたっぷり使った発酵料理や体に優しい食事をいただきながら、自分の体と心に意識を向ける。ある程度のスケジュールはありますが、それ以外は自由。ただぼんやり過ごしてもいい。ふだんの生活ではなかなかもてない、「何もしない時間」がそこにはあります。
日ごろは「何もしない時間」がもったいないような気がしてしまいますよね。でも実際に参加してみると、その「何もしない」が一番むずかしくて、一番贅沢なんだと気づかされます。
ふだん、私たちの頭の中は、いつも何かでいっぱいです。仕事のこと、家族のこと、親のこと。SNSを開けば新しい情報が流れてきて、メールやLINEのやりとりが続く。だから最近は、何かを足すことより、「一度からっぽにする」ことが必要なんじゃないかと感じるようになってきました。その手段として、“ひとりの時間”が心地よいなと思っています。
若いころは、「ひとり」という言葉に、どこか「ぼっち」というイメージがついていた気がします。ひとりでごはんを食べること、ひとりで映画を見ること。誰かに「寂しい人」だと思われるんじゃないかと、勝手に気にしていた自分もいました。でも今は、ひとりでいることと、ひとりぼっちでいることは全然違うと思っています。誰かと距離を置く時間ではなく、自分の心に合わせるひとり時間。
いつもより少し遠回りして歩いてみる。気になるお店に入ってみる。それだけでも十分。待ち合わせ場所を確認するのに、何往復もしたLINEのやりとりをさかのぼる手間もなくなるし、食べたいものを食べて、帰りたくなったら帰る。トイレに行くのに「ちょっと行ってきていい?」なんて聞かなくてもいい(笑)。
そんなふうにひとりの時間を過ごしていると、「最近ちょっと無理していたな」とか、「本当はこれが好きだったんだ」とか、自分でも忘れていた気持ちが、少しずつ浮かび上がってきます。私の場合は、旅や出張で3日以上家を空けると、「やっぱり家のごはんが好きだな」と思って、大の家好きであることを再認識(笑)。少し離れてみるからこそ、見えてくるものがあるような気がしてるんですよね。
疲れたままがんばり続けるより、一度立ち止まって整えるほうが、その後の日々はずっと軽やかになる気がする。今回のリトリートツアーにも、「人生で初めてのひとり旅で来ました」というかたがいらっしゃいました。「今まで自分のためだけに時間とお金を使ったことがなかった。でも、勇気を出して参加して本当によかった」と話してくださって。その表情が、帰るころには本当に穏やかで、自信に満ちていたのが印象的でした。
「ウェルビーイング」は、「いつも元気で前向き」ということだけではないと思っています。疲れたら休めること。自分のご機嫌を自分でとれること。そして、「今の私はちょっと無理しているな」と気づけること。それも立派なウェルビーイングなんじゃないでしょうか。頭をからっぽにして、心に余白をつくる。少しずつ自分に矢印を向ける。そうすると、不思議とまた新しい元気やアイデアが入ってくる。50代からのウェルビーイングは、何かをがんばって足すことではなく、一度リセットすることから始まるのかもしれません。
今月の「亜希」だより
「今年で24年目になる母の命日に、お墓参りのため故郷へ。ここ数年続けています。母が好きだったものを食べて、生まれ育った地元を懐かしむ。この日から私の1年が始まる、といっても過言ではない、とても大事で、愛おしい日なんです」
あき●’69年、福井県生まれ。モデル、ファッションブランド「AK+1」ディレクター。現在は日テレ系情報番組『DayDay.』にて、木曜レギュラー(隔週)としても活躍中。その人気コーナーを書籍化した『DayDay.亜希のざっくりキッチン』(ワニブックス)が好評発売中。
photography:Yutaro Yamane(TRON) hair&make-up:Tomoko Noda styling:Shizuka Yamazaki model&text:Aki ※エクラ2026年9月号掲載