祇園の路地を歩いていると、ふと足を止めたくなるような佇まいのお店に出会いました。
店名は「白」。
暖簾も看板も控えめで、知らなければ通り過ぎてしまいそうなほど静かな空間です。
店内に一歩足を踏み入れると、土壁と木の温もりに包まれた落ち着いた空気。大きな窓から差し込む柔らかな光が美しく、まるで時間の流れまでゆっくりになったようでした。
今回のお目当ては、もちろんおはぎ。
季節ごとのお菓子が販売されていて目移りしますが、以前から何度来ても買えなかったから、余計に予約してワクワクして引き取りにきました♪
私の中でおはぎといえば、祖母や母が作ってくれた素朴なおやつというイメージでしたが、「白」のおはぎは少し違いました。
ひとつひとつがまるで小さな作品。
艶やかな粒あんに包まれたおはぎは、どこか凛としていて美しいのです。
甘さは驚くほど上品。
小豆の風味がしっかり感じられ、後味はすっきり。
「甘いものを食べた」というより、「小豆を味わった」という感覚に近いかもしれません。
店内では包装してくださる待ち時間に冷えた美味しいお茶をいただきました。
「むしやしない」という言葉。
「虫養い」と書き、昔から京都では小腹が空いた時にいただく軽い食事やおやつのことを意味するそうです。
確かに、おはぎ一つで不思議と心もお腹も満たされる。
食事ほど重くなく、けれどお菓子とも少し違う。
そんな絶妙な存在だからこそ、京都の人たちは昔から「むしやしない」と呼んできたのでしょう。
『白』のおはぎをいただきながら、ただ甘いものを食べるのではなく、季節を感じ、静かな時間を味わう。
そんな京都らしい豊かな文化に触れた気がしました。
実はこの日2026年5月にオープンしたばかりの「京都一の傳 祇園ハナレ」。
昭和2年創業の西京漬け専門店「京都一の傳」が、旧本店の想いを受け継いで誕生させた新しい旗艦店です。祇園の町家を活かした落ち着いた空間で、「このひとくちで、京都を旅する。」をコンセプトにした御膳を楽しむことができます。
京都一の傳が長年守り続けてきた秘伝の「蔵みそ」に漬け込んだ銀だらは、箸を入れるとほろり。
香ばしく焼き上げられた身からは、上品な甘みと旨みが広がります。
前菜や炊き合わせにも京都らしい繊細な仕事が施されていて、まさに一皿ごとに季節を味わう御膳でした。
祇園で出会った、静寂と美しさを味わうひとときでした。