物価の上昇を日々感じ、円安のニュースも気になる今、将来の暮らしに不安を感じている人も多いのでは。このインフレ時代、何も備えをしないと……。押さえておきたい経済の知識を、日本経済新聞社 編集委員の田村正之さんに解説していただきます。
チームJマダム®に不安なこと、知りたいことをアンケート
物価に加えて、税金、社会保険料も上がっていく状況に不安を感じます。(YUMIKOさん)
円安や世界情勢の不安定さを感じる中で、将来への不安を意識するようになりました。香港に5年ほど住みましたが、現地で出会ったかたがたはとても勉強熱心で、飲茶の席でも、お金や将来への挑戦について前向きに語り合っている姿が印象的でした。(MEGUMIさん)
やはり物価高と、それにどう備えるかに関心が集まっているよう。「スーパーやドラッグストアに行くたびに食品や日用品が値上がりしていて『また?』と感じることが増えました」(ゆきみさん)、「物価上昇やエネルギー価格の変動などのニュースに関心があります。将来に向けてお金を『どう守るか、どう使うか』も考えるように」(トモミさん)
物価高が続く中で、日々の生活費や医療費、老後資金が今後どのくらい必要になるのか気になっています。新NISAが始まり、資産を守る・育てる手段として投資の必要性を感じる一方で、どこまでリスクをとるべきか迷います。(TOSHIMIさん)
2%の物価上昇が30年続けば預貯金の価値は約4割減
教えてくれたのは \人呼んで日経の良心/
たむら まさゆき●証券アナリスト、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの資格ももつ。個人投資家の利益を考える目線で、長年にわ
たってインデックス投資の有用性について発信。著書に『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』(日本経済新聞出版)など。
「時代が変わってきている今、大きな経済の流れを見ながら、大切な資産を守っていきたいですね」と話すのは、長期投資による資産形成の重要性を20年以上伝えてきた田村正之さん。
「50代は、教育費や住宅ローンのめどが立ってきて、今後の老後資金を本格的に考えはじめる時期。だからこそ意識したいのが、“何もしないリスク”を避けること。預貯金だけに偏るのは、これからの時代は安心とはいえません」
エクラ読者も、日々物価上昇を痛感しているはず。「物価が上がるインフレは、単に支出が増えるということだけでなく、保有する預貯金の価値にも影響します。例えば預金金利が0.3%として、物価上昇が年2%で30年続けば、今の1000万円の価値は約603
万円に目減りします。金額は減っていないように見えても、実質的な価値はおよそ4割も減る計算です」。
物価上昇は、円安による海外からの輸入品の高騰の影響も受けています。
「円安になると輸入品の価格が上がり、日本円の購買力が低下します。つまり、国際的に見ると日本円の資産の価値が下がってしまうのです。インフレや円安に見合うだけの賃金上昇があればよいのですが、現実にはそう簡単ではありません。少子高齢化の影響で税金や社会保険料の負担が増えており、賃金の額面が上がっても手取りが増えにくい状況が続いています」
そんな時代においては、投資で幅広い資産を持つことが備えになると田村さん。
「将来は誰にも予測できません。だからこそ、インフレや円安など、どんな状況になっても対応できるように備えることが必要です。保有資産が預貯金だけというかたは資産が目減りしないよう、インフレに強い資産を持っておくことが必要。投資は攻めではなく、資産を守るための“保険”ととらえてみてはいかがでしょうか」。
撮影/柳 香穂 取材・原文/西山美紀 イラスト/小泉由美 ※エクラ2026年5月号掲載