人気韓国ドラマのセリフやタイトルに注目し、ドラマ鑑賞がもっと楽しくなる豆知識をご紹介。今回は、今年夏に放送され、韓国で瞬間最高視聴率27.1%を記録した大ヒットドラマ『エージェント・キム: リアクティベーティッド』をピックアップ。監督も絶賛したという名アドリブとは?
『エージェント・キム: リアクティベーティッド』
Netflixシリーズ「エージェント・キム: リアクティベーティッド」独占配信中
『ごめん、愛してる』『主君の太陽』などで知られる、韓国のトップ俳優ソ・ジソプの主演最新作。『おつかれさま』『ワンダーフールズ』など数々の話題作で存在感を放つチェ・デフン、『トラウマコード』『伝説のキッチン・ソルジャー』などに出演し、最近は“おしゃべりキャラ”としてもブレイク中のユン・ギョンホと共演。愛する娘を助けるために、仲間と力を合わせて命がけで戦う痛快アクション。
あらすじ
娘の失踪をきっかけに、一見平凡な父親が特殊工作員時代に培ったスキルを呼び覚まし、娘の捜索へと乗り出す。だがその結果、望まぬ相手から目をつけられてしまい……。
このフレーズに注目!
「제발 안경 쓴 아저씨들은 건드리지 말자!」(眼鏡をかけたおじさんを怒らせるんじゃねえ!)
今年6月~7月にかけて放送された『エージェント・キム: リアクティベーティッド』。NetflixグローバルTOP10の非英語TVショー部門で世界1位となり、韓国国内では「SBS金土ドラマ」として毎週金曜・土曜に地上波でも最新話が放送され、わずか第3話で視聴率20%を突破。最終回は全国平均視聴率が23.0%、瞬間最高視聴率が27.1%を記録するスマッシュヒットとなりました。
韓国のテレビ番組は、ケーブルチャンネルなどを通じて再放送が繰り返し行われるケースが多く(現地にいると見逃してもすぐ追いつけるのでありがたいんですよね)、データ分析会社ニールセン・コリアの調査によると、再放送回を含めた本作の累計テレビ視聴者数は、2563万人を超えるそう。単純計算で韓国に住む人の「2人に1人が観た」という結果に! 驚異的な数字です。
Netflixシリーズ「エージェント・キム: リアクティベーティッド」独占配信中
なぜ、ここまで人気を集めたのか。それは、“メガネをかけた冴えないおじさん3人組が実は無敵級に強い”というギャップが痛快なカタルシスをもたらしてくれるから。
ソ・ジソプが演じるのは、地味な銀行員のキム部長。男手ひとつで育てた高校生の娘ミンジとの距離感に戸惑う、優しくて気弱なお父さんですが、北朝鮮出身の元“凄腕”工作員という秘密の過去を抱えています。正体を隠して静かに暮らしていましたが、ある日ミンジが突然姿を消してしまいます。危険にさらされているミンジを救出するべく、キム部長は封印していた秘密工作員のスキルを解き放つことを決意し、“世界で最も危険な男”エージェント・キムとして再び戦いに身を投じるのです。
困り眉がデフォルトで「すみません」と謝ってばかりのキム部長が、ひとたびスイッチが入ると、重い拳で相手を打ちのめし、銃撃戦を繰り広げ、トラックに飛び乗ってバトルを繰り広げるギャップが最高で、かっこよすぎるわけです。
そんなキム部長には、パパ友であり“同じ過去”を持つテコンドー道場の師範ハンス(チェ・デフン)と、海兵隊出身のジンチョル(ユン・ギョンホ)という仲間がいて、この2人もかなりの強さ。コミカルな笑いも散りばめられており、クスッと笑えてグッとくるおじさん3人組の友情物語も多くの視聴者の胸を打ちました。
監督も絶賛したユン・ギョンホの“セリフ回収”
左からジンチョル(ユン・ギョンホ)、キム部長(ソ・ジソプ)、ハンス(チェ・デフン)/Netflixシリーズ「エージェント・キム: リアクティベーティッド」独占配信中
今回フィーチャーするのは、ユン・ギョンホが演じるジンチョルのセリフ。
第7話、暴走するトラックの荷台で敵と1対1のバトルを繰り広げるジンチョル。その怪物級の強さに恐れおののく相手に対して、「제발 안경 쓴 아저씨들은 건드리지 말자!(眼鏡をかけたおじさんを怒らせるんじゃねえ!)」と言って、とどめの一撃を放ちます。
冴えないおじさんたちが無双する本作の世界観を秀逸に表現したこのセリフ、実はユン・ギョンホのアドリブでした。
第1話の中盤、キム部長の除隊記念日を祝うために集まっていた3人は、飲食店で騒ぐチンピラ客に遭遇します。ジンチョルは3人の中でも熱血な性格で、チンピラたちの横暴ぶりを見逃せません。一触即発の雰囲気になるもキム部長とハンスになだめられ、「わかってる、俺たちは眼鏡をかけたただのおじさんだ」と、“普通の人”として暮らしていくために見て見ぬふりをしようとするシーンがあります。
結局、ジンチョルは堪忍袋の緒が切れてチンピラを成敗してしまうのですが(笑)、第7話のセリフは第1話のシーンの回収になっているのです。
ユン・ギョンホは、ドラマ完結後に放送されたスペシャル番組にて、「“眼鏡をかけたおじさん”という言葉には、たくさんの意味が込められていると思いました」とアドリブ誕生の秘話を明かしています。
「"我慢しよう“、“眼鏡”、“おじさん”というワードから、気弱なイメージや、ある程度のことは我慢してやり過ごさないといけないというキャラクターの考えを感じました。ですが、そうしたもどかしさに対して、何か解放感を与えたいと思いました。“気弱そうに見えるからといって相手を見くびってはいけない”と。それで、ナム室長(第7話で闘った悪役)との対決の最後にこの言葉を投げかけたんです」
監督に提案したところ「ドラマの全体を表す最高のセリフ」と絶賛されたそう。これを知ってもう一度見てみると、決めセリフの「眼鏡をかけたおじさんを……」のところでジンチョルが眼鏡をくいっと直しているんですよね。さすが名バイプレイヤー、一瞬の動作にもすべて意味がある細やかな演技、恐れ入りました。
K-POPアイドル、俳優にインタビューを行うフリーランスライター。学生時代からライターとして活動、韓国在住経験もあり。
この連載では、韓国ドラマのセリフやタイトルに注目し、ドラマ鑑賞がもっと楽しくなる豆知識をご紹介。韓国語能力試験(TOPIK)の最上級である6級を取得したライター・轟友貴が、独自の視点でお届けします。
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