演じる役ととことん向き合い、自分のものにしてしまうのが、織田裕二さんの流儀。「踊る大捜査線」の青島役と出会うまでにも、次々と与えられた役を自分の当たり役にしてきた。
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「最初のころは不良少年の役しかこなかったんです。俺自身もちょっと斜に構えたところのあるガキで、ツッパリではないけれど大人は信用してないぞ、みたいな(笑)。そこに『東京ラブストーリー』の話がきて、初めてポケットに手を突っ込まない役だった(笑)。カンチは不良とは真逆の平凡な、もっと土のにおいのする男だったので、そこで初めて普通の男を演じることになったのかな」
そのカンチがいつのまにか、時代を代表するような、人気キャラクターに。
「驚きました。モテるようになった。でも、みんなが見ているのは俺じゃなくてカンチなんだよね(笑)。ある人が、ファンの人たちは自分がリカになりたいものだから、カンチを必要としているんだって分析してくれて、なるほど、と思った。その瞬間からカンチがイヤになっちゃった(笑)。そりゃモテたいけど、これは俺じゃない。だからモテても意味がない」
「今まで演じた役の中で、自分に一番似てるのは、青島かもしれません」
その後、当時は恋愛ドラマ全盛だったにもかかわらず、毛色の違う作品に出たいと切望するようになる。
「そのドラマに主演したときは、絶対失敗できないと思いました。これが支持されなかったら、同じような志をもつほかの俳優さんたちにも迷惑がかかる。もう、絶対に当てるぞって臨んだのが『振り返れば奴がいる』です」
彼が演じたのは、天才外科医。傲慢で身勝手なアンチヒーローだ。そのころ主流だったトレンディドラマとはひと味もふた味も違う修羅場の連続で、今も名作として語り継がれている。
「そこからの青島だったので、ちょっとこう、役を作り込むのはいったん休んでみようと思った。いいさじかげんで素に近い、ふだん着に近い芝居をしました。だから今まで演じた役の中で一番自分に似ているのは、青島かもしれません」
(インタビュー後編に続く)
おだ ゆうじ●’67年生まれ。神奈川県出身。’87年、映画『湘南暴走族』で映画デビュー。ドラマ『東京ラブストーリー』(’91年)、『振り返れば奴がいる』(’93年)、『踊る大捜査線』シリーズ(’97年~)など、数多くの人気ドラマ、映画で主演を務めている。『世界陸上』のメインキャスターを第6回(’97年)から第18回(’22年)まで担当してきた。
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『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』
58歳の青島俊作は警視庁の捜査一課で現場主義の刑事として働く。”NEXT.
EVOLUTION. WORLD.”をテーマに、連ドラの30年後を描く新たな物語。共演に趣里、白洲迅、佐々木蔵之介、増田貴久ほか。9/18、全国公開。
撮影/酒井貴生(aosora) ヘア&メイク/小泉尚子(MARVEE) スタイリスト/大迫靖秀 取材・原文/岡本麻佑 ※エクラ2026年10月号掲載