この笑顔を見ると、20代30代のころの自分に一瞬、戻ったような気がする。同時代を生きて、同じ年月だけ年を重ねてきた。まるで彼は、同窓生のよう。懐かしい、だけじゃない。今も全力で走る織田裕二さんは、こんなにもまぶしい。
スーツ¥346,500・シャツ・ネクタイ(ともに参考商品)/トヨダトレーディング プレスルーム(ラルディーニ) その他/スタイリスト私物
デビュー当時、所属事務所の社長からいわれた言葉が、耳に残っている。
「一生懸命。あなたにはそれ以外に取り柄はないわよ、と(笑)。一生懸命だと光るものが出るけど、サボるとわかりやすいって。若いころにいわれたその言葉が突き刺さってます、今も」
だから現場ではいつも、一生懸命。
「僕ら俳優は、現場ではチームのひとりにすぎない。家を建てるとしたら、塗装屋さんかな。設計図に何も書いてなくても、この部屋のこの壁にはこんな色がいいだろうって、計算しながら塗っていく。俳優ってそういう作業です。ひとつの台詞でも、これは嘘なのか本音なのか、いろんな角度で台本を読み込んで演じると、途端におもしろくなってくる」
デビュー以来約40年、いつも物語の中心、主役ばかりを演じてきたけれど。
「実は、ギラギラ目立つのは好きじゃない。いぶし銀のように、この人がいるからゴールが決まるみたいな、アシスト的なポジションが好きなんです。こんな俺がいっても、意外かもしれないけど」
はい、意外です。
「主役じゃないと、芝居できないタイプだったんです。技がないし、ものわかりもよくないから。自分がちゃんと納得しないと、その役が生きてこない。ヘタな嘘はつけない。自分の役に責任をとりたいから、そういうことになってしまった」
演じるのではなく、その役を生きている。だから嘘が苦手で、納得しないと前に進めない。この人、青島みたいに、今も全力疾走だ。
そんな境地の今、演じてみたいのは?
「クソジジイです。でんでんさんと共演したとき、実に楽しそうにイヤなオッサンを演じていて、うらやましくなりました。橋爪功さんも、すごくチャーミングなオヤジを演じますよね。ああいう味は年をとらないと出せないよね、っていう芝居をしたい。いつか、そのうちにね(笑)」
彼が主役の、『踊る大捜査線“クソジジイ”編』がいつか生まれるのかもしれない。
おだ ゆうじ●’67年生まれ。神奈川県出身。’87年、映画『湘南暴走族』で映画デビュー。ドラマ『東京ラブストーリー』(’91年)、『振り返れば奴がいる』(’93年)、『踊る大捜査線』シリーズ(’97年~)など、数多くの人気ドラマ、映画で主演を務めている。『世界陸上』のメインキャスターを第6回(’97年)から第18回(’22年)まで担当してきた。
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『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』
58歳の青島俊作は警視庁の捜査一課で現場主義の刑事として働く。”NEXT.
EVOLUTION. WORLD.”をテーマに、連ドラの30年後を描く新たな物語。共演に趣里、白洲迅、佐々木蔵之介、増田貴久ほか。9/18、全国公開。
撮影/酒井貴生(aosora) ヘア&メイク/小泉尚子(MARVEE) スタイリスト/大迫靖秀 取材・原文/岡本麻佑 ※エクラ2026年10月号掲載