アラフィーになると、ちょっとした段差につまずいたり、何もないところでも転んだり。こんなトラブルに深くかかわっているのが「股関節」。そこで今回は、Dr.KAKUKO スポーツクリニック院長の中村格子先生が、転ばない股関節・下半身をつくるためにおすすめしたい“固有感覚”の鍛え方と、読者からの疑問にアンサー。今日から始めて転倒しない体をつくり、将来の骨折・寝たきり生活を防いで。
教えてくれたのは
なかむら かくこ●Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長。整形外科医。医学博士。トップアスリートへの指導・治療経験に基づく、誰でも安心して取り組めるエクササイズ指導やわかりやすい医学解説がメディアでも人気。
暮らしのなかで「固有感覚」を鍛えよう
転ばない股関節をつくるには、やはり歩く習慣やエクササイズが不可欠。さらに、“固有感覚”を鍛えることも大事なのだとか。
「固有感覚とは、重力に対して関節や筋肉などをどの位置や角度にもっていくとよいかを、瞬時に感知して脊髄に伝えるセンサー的な感覚です。段差があれば瞬時にそれに見合った高さに足を上げて乗り越えられるのもこの機能のおかげです。固有感覚のセンサーは各関節や足裏などに備わり、足裏への刺激が少ないと衰えます。障害物をまたぐ動きでも固有感覚は鍛えられるので、意識的にまたぐ動きを取り入れて」
「固有感覚」が衰えないようにするには?
自分の固有感覚が衰えていないかどうかをチェックしてみて。
「目を閉じて両腕を水平になるように伸ばします。目を開けてみて、実際に左右の腕が水平になっているかをチェック。なっていたらOKですが、左右どちらかが下がっているなどずれていたら固有感覚が衰えているということです」。
「固有感覚を鍛えるには、障害物をまたぐのもいいですし、段差を乗り越えたり、平均台の上を歩いたり、歩道などの白いライン上をはみ出さないように歩いたりするのも効果的です。こういった動きを日常生活にちょこちょこ取り入れて」。
ちなみに、固有感覚が衰える隠れた要因になるのが“バリアフリー”なのだとか。
「家を早めにバリアフリーにしましょうという考え方もあるようですが、バリアフリーにすると段差をまたいだり乗り越えたりという動作がなくなり、固有感覚の衰えを招きます。固有感覚を鍛えるためにはおすすめしません」。
チームJマダム®から格子先生に質問!
Q.もともと、体が硬いです。今からでも柔らかくなるのでしょうか?(ぶんかさん)
A.ストレッチなどで今より柔らかくすることは十分可能です
「ストレッチをすれば必ず今より柔らかくなります。体が硬いと感じている人は、体の使い方をよくわかっていないことが多いようです。自分は筋肉や関節、皮膚など、どこが硬いかを意識してそこをよく動かすことが大切。ただし無理な開脚は体を痛めるのでNG」
Q.何年もヨガやピラティスを習っているのに、3cmくらいの段差につまずくのはどうしてでしょうか。(YUMIさん)
A.養った柔軟性などを歩行に生かせるようにしていきましょう
「ヨガやピラティスは柔軟性や姿勢の改善などに効果的ですが、歩行機能の改善にそのままつながるわけではありません。養った柔軟性などを歩行に生かせるよう、ふだんから大股で股関節を使って歩くことを意識するようにすれば、つまずきにくくなっていきますよ」
Q.朝起きると、股関節の外側あたりに痛みがあることが。更年期障害のひとつと診断されたのですが、関連はありますか?(マサコさん)
A.更年期で股関節に痛みが出ることはほぼなく、ほかの原因と思われます
「更年期が原因で股関節が硬くなることはあっても痛みが生じることはなく、ほかの原因と思われます。更年期には随所に痛みを感じやすくなりますが、病院で痛む部分をすべて伝えると“更年期症状です”と片づけられがち。本来、最も痛む場所は1カ所です。医師には一番痛む場所を1カ所ずつ伝えるほうが診断や治療がスムーズです」
取材・原文/和田美穂 イラスト/大内郁美 ※エクラ2026年7・8月合併号掲載