久しぶりに血圧を測ったら思った以上に高くてびっくり……。そんな「いつのまにか高血圧」が増えるのが更年期世代。放置すると重大な病気につながることも。加齢やエストロゲンの減少で血圧が上がってきても、生活習慣や運動、食事の見直しなどで十分に改善は可能。市原淳弘先生おすすめ、今日からできる方法を、生活習慣・運動編としてご紹介。
教えてくれたのは
いちはら あつひろ●専門は内分泌疾患および高血圧診療で、特に妊娠高血圧、更年期高血圧など。著書は『薬に頼らず7日で血管を変えて血圧は下げられる』(KADOKAWA)など。
血流をどんどん促進! 「ずり応力」でNOを産生
更年期に血圧が上がりやすくなる大きな原因が、エストロゲンの減少によるNO産生量の低下。つまり血圧を下げるカギはNO産生量を高めることだ。その方法とは?
「NOは血管の内皮細胞が血流によって刺激されることで分泌されます。このとき、血管の内壁を血液が“ずりずり”とこするように刺激する力が高いほど、NOの産生量が高まります。これを“ずり応力”といいます。たくさんの血液がサラサラと速く流れるほどずり応力は高まり、NOもどんどん産生されます。その結果、血管が軟らかく広がり、血圧が下がるのです。つまり血圧を下げるには、血流をよくすることが重要なポイントなのです」
では、血流をよくするには?
「体を動かさない生活が続くと、血流が悪くなってずり応力が下がり、NO産生量も減ってしまいます。大事なのは、やはり運動習慣をつけることです。特に関節をよく動かすと、そのまわりに集まる筋肉が働いて血流が効率よく促進されます。運動のほかには、ゆっくり入浴するのも効果的ですね。血流をよくすれば何歳からでもNO産生量は高められるので、ぜひ習慣にしてください」
以下が市原先生おすすめの方法。早速取り入れてみて。
1日「8000歩」歩く
NO産生を高めるのによいのが有酸素運動。
「血圧を下げるには1日30分の有酸素運動が有効とされています。なかでも手軽なのがウォーキング。通勤や買い物の行き帰りを活用し、1日8000〜10000歩を目ざしましょう。早歩きのほうが効果的ですが、速すぎると交感神経が優位になるので、いつもより少し速い程度で十分。10分を3回などと分けて歩いてもいいので、早歩きの合計が1日30分以上を目ざすと血圧降下に役立ちます」。
湯ぶねにトータル30分つかる
効率よく血流を促進できるのが入浴。
「湯ぶねに30分つかるだけで、30分の有酸素運動と同程度の効果が期待できます。まず、10分湯ぶねにつかったら、いったん上がって髪を洗い、再び湯ぶねに10分つかります。次にまた上がって顔を洗い、最後にもう10分つかればトータルで30分に。つかるときはゆっくりと深い呼吸を意識しましょう。また、血液がドロドロになるのを防ぐため、ペットボトルの水を持ち込んで、こまめに水分補給を」。
1時間に1回は立って背伸び。ラジオ体操も効果的
NO産生を下げてしまう習慣が、座りっぱなしや運動不足。
「デスクワーク中心の生活は運動量が減りがちなので、1時間に1回はトイレに立つなどして体を動かしましょう。このとき、背伸びをしたりラジオ体操をするのもおすすめ。関節まわりには多くの筋肉が集まっているので、関節を動かすだけで効率よく血流が促進します。ラジオ体操は全身の関節を動かすので血行促進効果大。第1、第2を行うと全身運動になります」。
スクワットをする
NO産生を高めるにはスクワットも効果的。
「スクワットは、太ももの大腿四頭筋やハムストリングスといった体の中でも特に大きな筋肉が鍛えられるうえ、股関節や膝関節も動かすので、血液を効率よく全身にめぐらせることができます。最初は5回からでもいいので、徐々に回数を増やし、1年後には自分の年齢分の回数ができることを目ざしましょう。腰や膝に負担をかけないよう正しいフォームで行うことが大切」。
スクワットのポイント
✓ 腕は前にまっすぐ伸ばす
✓ 背中は丸めない
✓ 膝はつま先より前に出ないように
✓ おしりを突き出しながら、太ももが水平になるまで落とす
✓ 足は肩幅程度に開く
ゆっくり片鼻呼吸をする
ストレスで呼吸が浅くなったときなどに行いたいのが片鼻呼吸。
「深い鼻呼吸は副交感神経を優位にし、血圧を安定させる効果があり、片鼻ずつ行うことで呼吸がより深くなります。方法は、目を閉じてリラックスし、鼻から2〜3回深呼吸。次に右の親指で右鼻を押さえ、左鼻からゆっくり息を吸い込んだら両鼻をつまんで息を止めて数秒キープ。今度は左鼻だけふさいで右鼻から細く長く吐き出したら、息を止めて、今度は右鼻から吸い、左鼻から吐き出します。 これを2〜3回繰り返しましょう」。
取材・原文/和田美穂 イラスト/AZUSA ※エクラ2026年6月号掲載