体や心が揺らぎやすい更年期世代。夏は低気圧や酷暑などが重なり、さらに不調が続出。その背景にあるのが自律神経の乱れ。だが、実はちょっとした習慣で整えられる。そこで、「睡眠」で効果的に自律神経を整える具体的な方法をご紹介。実践して夏を軽やかにのりきって。
教えてくれたのは
自律神経研究の第一人者としてアスリートなどへのコンディショニング、パフォーマンス向上指導にかかわる。著書は『科学的に証明された 自律神経を整える習慣』(アスコム)など。
夜はリラックスして過ごし、副交感神経にうまく切り替えて
自律神経を整えるために、なによりも大切なのは“睡眠”だと小林先生は話す。
「睡眠時間が短かったり睡眠の質が悪かったりすると、副交感神経が高まらないので疲れが抜けません。すると翌朝、交感神経が異常に高い状態で起きるので、動悸がしたり、イライラしたりとコンディションが最悪に。その状態で仕事をすることで、さらに交感神経が刺激されます。これが続くと自律神経失調症になりかねません。
また、睡眠不足で自律神経が乱れた状態だと、医学的治療を受けても効果が半減するという報告もあります。夏は熱帯夜でいつもの時期より睡眠不足になりやすいので注意が必要です」
では、睡眠の質を高めるコツとは?
「自律神経は、日中は交感神経が優位で、夜になったら自然に副交感神経優位に切り替わるのが正しいリズムです。でも現代人は夜遅くまでスマホなどを見ている人が多く、夜になっても副交感神経に切り替わらず、睡眠の質が下がっている人が多数。
朝は起きたら太陽光を浴び、日中は活動的に過ごし、夜はなるべくリラックスして過ごして副交感神経への切り替えを促し、早めに就寝するといったリズムの整った生活を心がけましょう」
下記の方法も睡眠の質の向上に効果的。
食事は寝る3時間前までに終えられるように
夕食は就寝3 時間前までにすませるのがポイント。
「食べ物の消化に要する時間は3 〜5 時間程度。特に食後3 時間は消化活動が活発に。この時間に寝てしまうと眠りが浅くなるうえ、食べたものが脂肪として蓄積され肥満の原因にも。ですから23時に寝るなら、遅くとも20時には食べ終えるのが理想的。食後3時間は腸を働かせる“ゴールデンタイム”なのでリラックスして過ごして」。
最強の入浴方法は、寝る2時間ほど前に39〜40℃で15分
知っておきたいのが自律神経によい入浴法。
「寝る2 時間ほど前に39〜40℃の少しぬるめのお湯に15 分つかるのがベスト。この方法だと深部体温が38.5〜39℃くらいに上昇し、最も血行が促進して副交感神経が高まり、睡眠の質が向上します。最初の5 分は肩までつかり、残り10分は半身浴にするのがベター。熱すぎるお湯は交感神経を刺激して、睡眠の質を下げるので避けましょう」。
睡眠時間は6時間以上、できれば7時間確保
睡眠不足は自律神経を乱す大きな要因なので十分に確保することが大事。
「必要な睡眠時間は個人や年齢によって差がありますが、多くの場合、最低6〜7 時間は必要だといわれています。忙しくてまとまった睡眠時間をとれない人は、せめて週1 回は“睡眠デー”を設けて、早めに帰宅して睡眠を7 時間とるようにしましょう」。
寝る1時間前にはスマホを手放す
寝る直前までスマホを見ている人は少なくないと思うけれど、これはNG習慣。
「スマホの画面が放つブルーライトは交感神経の働きを活発にし、眠りを浅くしてしまいます。また、寝る前にSNSやメールをチェックすることも脳に余分な情報を与え、交感神経を刺激します。寝る1時間前になったらスマホを見ないと決め、手が届かないところに置いて寝るのがおすすめです」。
エアコンは無理せず使って室内を適温に
夏は暑さで寝苦しいが、気になるのがエアコンをつけたまま寝ていいかどうか。
「暑くて寝苦しいと睡眠の質が下がり自律神経を乱します。最近の夏は熱帯夜が多く、エアコンをつけずに寝ると熱中症を招くことも。無理せずエアコンをつけて寝ましょう。冷えすぎは血流の悪化を招くので、設定温度は少し汗ばむ程度の28℃を目安に」。
取材・原文/和田美穂 イラスト/SAITO KANAE ※エクラ2026年7・8月合併号掲載