エクラ世代におすすめしたい書籍を厳選! 潰瘍性大腸炎になり、13年間の闘病生活を送った著者が病室の人間模様を綴った『六人部屋の十三年間 病室で出会った忘れられない人たち』、執筆開始から7年の歳月をかけて完成したという辻村深月の『ファイア・ドーム』など4冊を厳選。
『六人部屋の十三年間 病室で出会った忘れられない人たち』
入院から見えてくる人間のリアル。おもしろ役立つ回想記
頭木弘樹
晶文社 ¥1,980
著者は、ベストセラー『絶望名人カフカの人生論』を生んだ博覧強記の文学紹介者。20歳で潰瘍性大腸炎を発症し、13年にわたり闘病をつづけた経験をもつ。そのほとんどを過ごしたのが、病院の6人部屋。病状も年齢も職業も性格も異なる患者が同居するプライバシーのない空間で、家族や見舞客、医師や看護師も交え繰り広げられる人間模様は、おかしく悲しく愛(いと)おしい。あなた自身や大切な人が入院という非常事態に直面したとき何が起き、どう乗り越えるかを学べる必読書だ。
『ファイア・ドーム』
悪意がないから怖い。誰もが噂の被害者&加害者に
辻村深月
小学館 上・下 各¥2,090
25年の時を経て同じ街で起きた受付嬢誘拐殺人と小学生の失踪。2つの事件をめぐる物語の主役は、噂だ。人々の好奇心や正義感が無責任な噂と化して広がり、関係者を傷つけ人生を変えていく。新たな事件の火種となる。圧倒的リアリティと繊細な心理描写に、寝不足必至!
『わたしの骨はどこへいく?』
骨を通して軽やかに死と向き合う終活エッセー
安田依央
集英社 ¥1,980
司法書士の顔ももつ作家が、60代突入を機にとことん考える。身寄りが高齢の親しかいない自分は死後どうすれば滞りなく火葬され、骨になれるのか。骨の行く先として何を選びたいか……。死について明るく前向きに思いをめぐらすことは、今をよりよく生きる推進力にもなる。
『ここはこどものいない国』
人間の工場生産が可能になったら、出産や家族の意味は?
武田綾乃
講談社 ¥2,475
99.9%の人間が工場で生産される200年後の日本では、犬猫より手間がかからず成長もしないペットベイビーが大人気。遺伝子工学が進歩し、人々が効率や便利さ、心地よさを追求しつづけたなら、こんな未来が待っているのかも……。奇想の近未来小説が投げかける問いは、重い。
photography:Maho Kurakata text:Sayaka Hosogai ※エクラ2026年9月号掲載
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