肉選びから火入れ、付け合わせやソースの味作りまで、上手にお肉を焼くコツを銀座『マルディ グラ』和知徹シェフに習う。ビギナーでも「失敗ナシ」の基本を完全マスター。まず初めにお届けするのは、牛ステーキの焼き方。
牛ステーキ(約3㎝厚さ)の焼き方
国産牛でも肩ロースやもも肉を選べば、生の状態で細かなサシが入っているように見えても仕上がりは脂っぽくなりません。外は香ばしく、中は赤々とした色を保ちつつ、しっとりと火を入れるのが目標です。厚切りの肉は、必ず焼く前に冷蔵庫から出し、肉の温度を上げておくこと。加えて表裏だけでなく、肉を立てて側面に火を入れるのも厚切りならではの肉焼きルールです。
材料(2人分)
牛肩ロース肉…約300g(約150g×2枚、約3cm厚さ)
塩…3.6g(肉に対して1.2%)
こしょう…0.9g(肉に対して0.3%)
エクストラバージンオリーブオイル…18g
バター(食塩不使用)…40g
ズッキーニ(緑、黄)…400g
ピメントスプレッド(市販品)…適量
作り方
1.調理開始の1時間前に牛肉を冷蔵庫から出しておく。肉の両面に塩、こしょうをふる。やや高い位置からふると、まんべんなくふりやすい。
2.ズッキーニは1㎝厚さの輪切りにする。
3.フライパンを中火にかけて熱する。手をかざして温かさを感じたら、エクストラバージンオリーブオイルを入れる。液面がゆらぎ、香りが立ったらバターを加えて溶かす。
バターを加えることで、バターの油分が呼び水になって肉の脂が外に出て、肉自体は軽やかになり、肉のうま味が溶け込んだ油で表面が香ばしくキャラメリゼされる
4.バターに気泡が立ったら火かげんを弱めの中火にし、1、2を同時に入れる(2は無理に広げすぎない)。
ズッキーニに塩をふると水分が出るのでふらずに焼く。あえて均一に広げないのも、火の入りすぎを防ぐため。ラフに、がいいあんばい
5.肉の表面に茶色い焼き目がついて香ばしい香りが立ったら、肉をトングなどではさんで立て、側面にも焼き目をつける。すべての側面を同様に焼く。
6.4と反対側の広い面を同程度の茶色い焼き目がつくまで焼く。焼き時間は表裏で合計20分目安。
7.火を止め、肉をバットに移す。ズッキーニをザルに移し、フライパンに残った油は別のザルで濾(こ)しボウルに移す。
ここで濾した油は、肉と野菜の味が溶け込んだ極上の調味料。チャーハンを炒めるのに使うと抜群の味に
8.ズッキーニをフライパンに戻し、塩適量(分量外)、ピメントスプレッドをふる。その上に肉を置いて10~15分休ませる(食品温度計があれば、芯温が55℃になるまで余熱で火を入れる)。
ズッキーニの上で休ませれば、肉の表面をこれ以上焼くことなく(焦がさずに)、芯まで熱を通すことができる
9.肉を食べやすく切って、ズッキーニとともに器に盛る。
火力も肉も“さわりすぎず”に、じっくりと火を入れる
肉料理は好きだけれど、自分で焼くのはハードルが高そう。そんな悩みを和知徹シェフにぶつけてみたところ「大丈夫!」と、頼もしい答えが。
「肉の選び方、下準備、火かげんの基本を押さえれば、必ずおいしく焼けます」
まず肉選びと下準備から話を聞いた。「いうまでもなく、厚い肉は薄い肉より焼く時間がかかります。厚切りの部位は焼く前に常温に近づけておくのがマスト。逆に薄切りのサーロインなら豪勢なステーキも、約10分で調理できます」
レアやミディアムレアでもおいしい牛肉に対し、豚肉は食の安全面からもしっかりと焼く必要があるため、同じ厚さならば豚肉のほうが時間を要すること、さらに脂身は赤身より火が入りにくいことも覚えておくように、と教えてくれた。
「塩は焼く前にふるのが基本。塩をつまんだ手を肉から少し遠ざけ、高い位置からふるとまんべんなくふれます」
ビギナーほど焦がすことを恐れ、頻繁に火かげんを調整してしまいがちだが「極力、一定の火力で。返すのも最低限が鉄則」だそう。付け合わせの野菜も一緒に調理すれば、手軽でうま味も余さず使え、一石二鳥! 今夜にでも挑戦したい。
Profile
わち とおる●『マルディ グラ』オーナーシェフ。フランスや東京の一流店で学んだ技術を軸に、世界各地への旅から得たアイデアを盛り込んだ料理、肉料理の表現に定評がある。著書多数。
『マルディ グラ』
東京都中央区銀座8の6の19
野田屋ビルB1
☎︎03・5568・0222
18:00〜22:30LO
定休日:日曜
Instagram:@mardi_gras_official_1
撮影/邑口京一郎 取材・原文/佐々木ケイ ※エクラ2026年9月号掲載